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スレッドの内容は案の定 誹謗中傷の嵐であった。
その中から有益と成り得る情報がないかどうか精査していく。
「全くもって使えない情報ばかりだ」
無駄な時間を過ごしてしまった。
これでは本当に実際に実物を見た方が確実だな。
この辺りで前調べは打ち止めにするか。
「ん?小崎からか」
小崎からの報告で、僕ッ娘の動きに違和感があるとの事らしい。
その報告から僕ッ娘を注視していると確かに違和感と言うか、明らかに足を痛めているようだ。
三試合目の戦闘でどうかしたんだろう。あの様子だと他の2人にも打ち明けていないな。それはあまりよろしくない選択だ、連携が上手くいかない可能性が大きくなるのだが、幸いと言ったところか、本日の試合はもう終わっている。残り2試合は後日になる。それまでに直してしまえば問題はない。しかし、この足の庇い方はもう片方の足に負担が大きくかけている、完全な完治は難しいかもしれんな。
・・・兵器の受け渡しや個別カスタム、説明は今日の内に終わらせることが出来た。明日の試合は見に行けるかな。
残り2試合なら調べる試合相手の対象は限られてくる。その調査も今日中に終わる。
「とりあえず俺のやれる事をやってしまうか」
その後、書類を片付け、実験に必要な道具を揃え、課題を与えていた凛お嬢様のいる訓練場に向かう。
「ほぅ、これは流石と言わざるを得ないな」
俺が与えた課題は4属性の球を作りだし、維持する事。
そして慣れてきたらそれを維持しまま風魔法で浮遊する。
それも慣れてくるようなら用意した機械のピッチングマシンの放つボールを避けるか、魔法で防ぐことである。勿論先程までの課題全てを維持した状態で行う事。
この3つの課題の維持時間はそれぞれ30分である。
予想では2つ目の課題に挑戦していると思っていたが、まさか3つ目の課題をクリアしつつあるのには驚いた。
「あ、教官!」
「そのまま続けてください」
俺はそのまま訓練の様子を伺う。
正直な感想は、安定感に少々の不安があるが不安定という訳ではなさそうである。
初日でこの成果だとは思えないほどの上達ぶりだ、この様子だと次のステップに移ってもよさそうだ。
観察する事10分、訓練を辞めさせ、先程の感想をある程度評価を抑えて告げる。
その反応か嬉々としたものだった、次の課題を言い渡すと静かに聞く姿勢であることも評価するに値する。
「次は4属性魔法の維持は無しで構いません、この機械から距離30m高さ5mの位置から魔法を駆使して目標の破壊が課題です」
「あの機械を壊してしまってもよろしいのですか?」
「ええ、構いません、ですが先程の訓練より難易度が低いとは思わないように 距離と高さを指定した意味が分かりますか?」
「はい、空中で迎撃されない為の防衛だと思います」
「この訓練の意味を理解なされているようですね。とても良い事です。あの機械はレベル1と2がございますのでまずはレベル1から始めましょう」
それからの訓練の様子は中々進まないものであった。
それもそのはず、今回はあの機械の本来の使い道で使用しているからである。
最初にピッチングマシンと言ったが、見た目がそれに近く、役割が似ているというだけである。
通常のピッチングマシンは球を入れる口と吐き出す口のみであるが、この機械は投入口は上には無い。そのかわり機械の中に50球内蔵しているのである。しかもその球にも仕掛けがしてあり、球が磁石のように引き寄せられる設計をしてあるため、機械の足元には球が戻って来た際にそれを利用する吸入口が足元にあるため半永久的に球出しが出来るのである。
そして球を吐き出す口は一つではない複数ある事で本来の野球ではなく、同時攻撃が来る事を想定として作られたものである。そしてその素材も頑丈な素材そして尚且つ魔法で耐久面や水、火、電気などの弱点を克服する事に成功している。
そして先程までの訓練では吐き出し口は1つしか使われず、現在は13の吐き出し口の内、9口の同時攻撃が凛お嬢様を襲っている。
これはお嬢様の前準備などが必要なので事前にこの機械のリモコンを渡している。勿論機械にも10秒内に4球ガードを抜けた際には5秒のクールタイムを作っている。その間にお嬢様がリモコンを押すだろう。
実はこの機械はこの屋敷にある敵に対する迎撃機械の元となった試作モデルである。
本来はただの球ではなく吐き出すモノが刃物であったり、棘のついたボールなど殺傷力の高いものが使われるのである。
ヴィスタには通用しないだろうがこの機械がこの屋敷には30台地面下に隠されており、防衛時には魔女の数を減らしてくれるだろうと期待している。
その後、凛お嬢様が満身創痍になったところで訓練を終わらせる。
凛お嬢様に対する訓練の報告を当主に伝え、今日の業務は終了した。




