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「では、まずは対策を考える事から始めましょう」
「はい、教官」
「・・・・対策を練るにあたって相手の情報をお嬢様の知る限りを教えてください」
そうして箇条書きにして出したのが以下の項目だ。
・相手の名は石神 言葉
・成績は下の中
・性格は気が強い
・能力は身体能力特化であると推定される
・武器は特になく、格闘戦を得意としている
・他にも多く決闘を申し込んでおり、その殆どを勝ち取っている。その数は50近いという
・試合成績は未だ敗北は無く、拮抗状態での引き分けがいくつかあるという
「・・・最後の話は本当の事ですか?」
「はい、間違いはございません」
近接主体の戦闘スタイルなのは理解したが、それで自分から試合を吹っかけてそれで白星と引き分けのみ?いくら中等部の決闘と言っても近接系では強さに限度がある。
これは調べてみる価値はあるかもしれない。
「相手の遠距離対策はどうなさっているのでしょうか?そのような対戦があったと予想しますが」
「教官のご指摘通り、距離を取る、空中へと距離を取る事などを試みた者もいましたが、地上では攻撃を回避しながら距離を詰められ、空中へ離脱する前に仕留めれられています。」
「そうですか、その様子だと相手に距離を取られる 空中に逃げられるのを嫌がるということは、近づけない相手に攻撃手段を持ち合わせていないから、またはその手段が少ないかのどちらかでしょうね」
確かに俺の場合も近接しか攻撃手段がなかった、その場合俺もこの石神という奴と同じ手段を講じていただろう。
「唯一空中へ逃れた先輩がいたのですが、石などの投擲物で撃墜させていました」
「げ、原始的な手段だな、話を総合すると相手の能力は強化系と仮定しましょう・・・お嬢様の能力次第で完封狙えますね」
「それは本当ですか!?」
迫ってくるコイツの肩を掴んで落ち着かせる。
「ええ、ですがお嬢様の能力次第と申しました筈ですよ」
「はい、どのような事が出来ればよろしいですか?」
「そうですね、簡単に言えば魔法の同時行使です」
「え、それだけですか?それなら既に出来るのですが」
ほう、中学生でもう魔法の同時行使が出来るのか。だが、それは果たして使いこなせているかが問題だな。
持っていたタブレットに一度目を通し、ある玩具を研究所から持ってくるように連絡をとる。
~5分後~
「それは何でしょうか?」
「私が龍ヶ峰当主と結託し、研究している事は御存じですね」
「え!?・・・はい、調べていた事知っていたのですね」
「そうですね、そしてこれはそのプロトタイプです」
実際のところはプロトタイプどころか、ただのお遊びで作ったものだ。
ただ、コレの運用データからちょっとした兵器を別途で製作した。
「ピッチングマシンですか?」
「ええ、そう見えるように作りました。実際はそのような安全な代物ではないのですよ」
「はぁ・・・それでどうなさるのですか?」
「とりあえず、これから出す課題に取り組んでもらいます。最初は難しいと思われますが、慣れてください」
コイツを鍛えるのは正直時間のムダなのだが、龍ヶ峰当主に大きな借りを作るチャンスが増えたと考えよう。
しかし、話していた対戦相手に関して少し興味があるな、調べてみるか。




