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シャル・ノーエル side




「シャルさん、本当に雅人はこないのか?」




月島君が彼との唯一の連絡手段であるタブレットを操作している僕に問う。




「うん、来ないみたい」



「まっ、アイツは前から体調不良で欠席してたからな。来れなくても不思議じゃないでしょ」



「そうだけど何だか不安だね」




今現在3人は春闘祭の選手控室にいる。

その控室で対戦相手が公表されるようになっている。

そしてその勝負方法も伝えられる。



「対戦相手は上級生か」



「うん、今彼にその事送信したよ。聞いた話によると優勝候補って訳ではないけれど手強いって」



「初戦でそんな相手と当たるなんてツイてないねアタシ達」



「それにこの試合方法も結構変わってるね、練習出来ないのはちょっと辛いかも」




試合形式は フラッグが自軍と相手軍の2つあり、それを相手チームより早く入手、または破壊する事。

フラッグは指定の場所から動かす事は出来ず、自軍のフラッグ接触は違反となり反則負けとなる。

人数が勝負のカギとなるためか、少ない人数のチームと同数に合わせる。だが、出場最低人数は3人とある。月島達はギリギリそれをクリアしていた。しかし、最低人数でも大きな不利に変わりはない。


不利な理由としては主に2つ

1 3人の内、1人でも怪我や次の試合に出られるような状態でなければそのチームは棄権扱いされる。

2 試合は1日に1回というわけではない。全員が全員消耗を避けられない。


そしてこの不利な状況をまだこの3人は気付けていない事、自覚出来ていない事も己達の不利に拍車をかけている。




「あ、きた」



「雅人から⁉︎」



「アイツは何て?」



「うん、今から内容を話すね…」





簡潔に言えば、相手の情報が載っていた。

相手は防御が主体のチームで、フラッグに3人固まっている可能性がとても高い。

可能性として1人斥候する者がいるかもしれない。しかし、それは悪手だ。

その様な者がいた場合、完全に孤立させ3人で即殺する。

防御側の対応だが2人なら数の利があるが、3人防御であるならその場合は各自判断し、フラッグの破壊に専念しろ、と記載されている。




「攻撃的な作戦指示だね」



「守ってるよりはずっといいね!!アタシ好みの作戦だ」



「雅人の作戦なら心配はいらないね」



「・・・こうやって彼に頼りっ切りになるのはよくないんじゃ―――」



「でも雅人の作戦が失敗するとは思えない、今までで雅人が間違っていた事なんてなかった」




月島君はよく彼の話をする。僕らの共通話題といえば学校行事と彼の事だけだ。

先程の発言から月島君は彼に頼り切っている、又は依存に近い状態かなと僕は思う。そして彼は月島君に対して常日頃批判をしている。多分それは彼が月島君を助けた回数が多いのかもしれない。更に彼に依存する最大の要因は彼が未だに失敗するような出来事を僕たちが見ていないからだと思う。それだけで僕も彼の事を無条件で信じてしまいそうになる。




「やっぱり頼り切りはダメだよね、じゃないと対等になれないもん」



「どうしたんだい?」



「ほむちゃん、僕決めたよ」




そうだ僕は彼の隣に立ちたい。

彼に頼られる人になりたいんだ。

でもそれは今の僕ではとてもとても遠い




「お?優勝宣言かい?」



「うんん、それは・・・過程になるかな」



「へぇ、シャルさん目標か何か決めたのか」



「うん!!目標、僕は犬童君と対等になりたい」




言ってしまった・・・でもこの二人は友達だし、問題ないよね?

でも宣言したからにはもう後戻りはできない。




「雅人と対等に・・・凄いな、考えたことなかったよ」



「まぁ、確かにアイツが凄いのはわかる。目標に丁度良いかもね。アタシもその目標にしようかね」



「二人とも凄い目標を立てるな、僕の目標は生徒会に入ってこの学校を変える事・・・雅人に頼ってばかりだけどね」



「彼の凄さは戦闘だけじゃなく頭脳戦も得意みたいだし先はまだまだ遠いけど、僕は彼に頼られるような存在になりたい」



「じゃあ、まず手始めにアタシらは目の前の相手をサクッと片付けますか」



「そうだね、僕は生徒会に入るって目標がある。こんな所で立ち止まる訳にはいかない」



「みんなで頑張ろう!!」



「「「おーーー!!!」」

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