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生徒会共の考えが俺の予測通りなら月島を限りなく消耗させてから生徒会チームが完全勝利する魂胆なのだろう。
全く俺が今日居ないからといって事が思うように進むと思うなよ。
「おい、今のお前凄い悪い顔してるぞ?」
「わかりますか?ええ、今とても悪い事を考えています。本当に相手の目論見を潰すのは楽しいですね」
「ゆ、歪んでるな」
「今更ですね、さて、今回は手加減はしてやらないからな生徒会長さん」
俺は訓練場から研究室へと足を運ぶ。
その際、研究員が色々とアイデアを持ちかけてきた。その中でも面白い物があったので後程、話をする事になった。
話が逸れたが俺は自分の研究部屋に入る、何故か上官がいるが気にしない。
自分の机に置いてある据置型のPCでとある事を調べる。
「おいおい、お前のやっている事って大分グレーゾーンだろ」
「何を言っているんですか、グレーどころか真っ黒なブラック 完全な違反ですよ」
「そもそもどうやってこの情報を引っ張って来てるんだ?」
PCに映っている情報はネット経由では手に入らない情報、所謂個人情報である。
「全国PCの販売率は龍ヶ峰がトップなのはご存じで?」
「確かに龍ヶ峰は幅広く且つトップに居続ける事で有名だ」
「2年前大幅に電気製品の性能を上げ、PCの総入れ替えの時期があったのは覚えていますか?」
「それは知らない筈がないだろう公にニュースでも話題になっていた」
「そのPC開発に俺も携わっているんですよ」
「!?待て、お前が龍ヶ峰に来たのは―――」
確かに俺の家族が死んでから龍ヶ峰に来たのでは時系列が合わない。
「俺の親と龍ヶ峰のパイプは昔からあった。顔合わせの時に色々と仕組ませてもらった。このPCはそのマザーです。」
「どんな子供だったんだお前は―――もともと根は腐っていたが・・・」
「ただの遊びのつもりだったんだがな、これが面白い程役立つ。龍ヶ峰の息のかかった電気製品を持つ者はPCに入れた情報は筒抜けだ」
そうして生徒会のPCから戦力データや他の対戦相手の情報も手に入れる。
その情報から俺のファイルと合わせ見て更に内容を深いものに変えていく。
そのアドバイスを僕ッ娘に送ってやる。
「この情報をどのように扱う、見せてみろ僕ッ娘」
「楽しむのは勝手だが机の書類を何とかしたらどうだ」
確かに最近疎かにしがちだったのは認めよう。
「だがこれらの書類は何故俺に回ってきているのか疑問だ」
俺は一枚の書類を上官に見せる。
「とある学園の戦力調査依頼?」
「自分の本文は学業と研究だ、スパイになったつもりはない」
「だが、ほとんど書類出来ているじゃないか」
「依頼主が龍ヶ峰の関係者でね、あまり無碍にはできない」
そう、依頼主はこの研究所の支援を行っている人物である。簡単には断れない。
とは言うが強制力はない、この研究において俺は成果を出した。その成果は無視する事は出来ない。
そもそも俺という存在は龍ヶ峰という組織の中で見過ごせるレベルを超えてきている。
下手したら龍ヶ峰自身に裏切りに遭うかもしれない。
だがその事に対しても対策もある。そして俺を切ればどうなるかわからない龍ヶ峰ではない。
既に龍ヶ峰より俺に信頼を寄せている人物は大多数いる。
しかし、まだ裏切られては困る。まだ時期ではない。動きづらくなるからだ。
それ以外の理由はない。
俺は机上の書類を片付けと同時に小崎からの生情報に目を通し続けておく。
ある程度書類をさばいていると月島達は順調に勝ち進んでいるようだ。
「やはり、司令塔を僕ッ娘に任せたのは正しかったな・・・もう少し器用に立ち回れたらいいのだがな」
「いや、お前の言う器用のレベルはシャレにならんぞ」
「?俺の言う器用は低水準のつもりですが・・・」
何故か上官に溜息を付かれてしまった
確かに俺の認める器用度は他人よりも高いかもしれないな。
それを気にしても仕方ないな無視でいいだろう。
「それにしてもお前の入れ込んでいる奴と見込んでいる奴は流石にいい素質がある。月島という奴は戦闘力は更に伸びるだろうな、もう一人も面白い、戦力としても申し分ない そして指揮官としての素質も今こうして見せてくれる」
「・・・これが教官の片鱗か」
「うっ・・・素質がある奴を見るとつい雄弁になってしまうのは自分の悪い癖だな」
「いえ、第三者からの意見は貴重です。上官の意見なら特に助かります」
俺だけの考えでは思考が固定されて物事を柔軟に考えられなくなる。故に他者の意見や考えは大切である。
月島のように稚拙な考えがあっても役に立つことはある。勿論上官は俺と対等か上の存在だ。
「本当にイレギュラーが多すぎる。」
「イレギュラー?」
「いえ、何でもありません。」
さて、月島達はどこまで勝ち進めるかは僕ッ娘にかかっている。
お前達のお手並みをこの書類の片手間に見せてもらおうか。




