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翌日俺は学校には行かず、研究施設の訓練室を利用していた。

先程まで龍ヶ峰の私兵(エージェント)達と手合せしていた。

私兵の練度はなかなかで様々な闘い方を見せられた。その内の何人かには魔法兵器を用いた手合せも行っていたので少々手を焼いた。

その後 個別に魔法兵器の指導を行い、時には使い勝手の聞き取り調査やその場で個別に即席カスタムを組み、俺に対しての評価も上々だ。




「流石、と言ったところか」



「ああ、マリク上官」




私兵の中で最も世話になったのがこの『マリク・イザース』という人物だ。




「毎回言うがお前は兵士ではない。上官と呼ぶな」



「では、教官とお呼びした方が?」



「・・・その呼び名を何処で仕入れてきた」



「企業秘密です」



「ふん、言うようになったものだな。昔はただのもやしが今では立派な上司様だ」



「これも全て上官のご指導の賜物です」



「口先だけで物事を言うな。嘘が透けて見えるぞ」



「・・・まぁ、大変世話になったとは思っていますよ」




そう、俺を最初に鍛えてくれた人物がマリクなのだ。




「それとお前身体は大丈夫なのか?」




俺の病を知っている数少ない人間でもある。




「ええ、数日前に発作が起きたのでここしばらくは大丈夫なのではないでしょうか」



「・・・やはり治る見込みは―――」



「そんな話は置いておきましょう、そうだ。訓練をつけてほしい相手がいるんですよ」



「・・・そうか、で、誰なんだ?」




俺は指を鳴らす。

するといつの間にか俺の足元にすり寄っている(ヴィスタ)が唐突に現れた




「コイツですよ」



「なっ・・・!?」



「こいつ本当に唐突に出てくるんだよな、正直認識していなければ俺も気付けない」



「コイツは以前密書に書かれていたヴィスタか?」



「ええ、正直俺はコイツに負け越しているんです」



「なん・・だと!?」




そう、コイツと殺傷なしの戦闘を行った際、最初は勝っていた。

しかし、コイツは戦い方を学習したのか。驚くスピードで成長していった。

大きさは全く変動していない。




「スタイルAで戦闘しろ」



「何だそれは?」



「コイツの戦闘に関しての縛りです」



「じゃあ、そのヴィスタ君と手合せ願おうか」




そうして教官が構えると、ヴィスタも構えた。



「さて、何分持つかな・・・」




俺は室外に出て、研究室から持ってきたタブレットを起動する。

今日は春闘祭の開催日である。

この対になっているタブレットにて指示や情報の提供をすると僕ッ娘に伝えてある。

勿論逆探知できないように設計してあるので特に通信での問題は無い。


どうやら連絡の文面から見るに多少緊張しているようだ。

とにかく、対戦相手の名前を聞き出す。

聞き出すのと同時に今まで調べてきた学園戦力分析ファイルを開く。

聞き出した内容をファイルにて確認。


これが初戦の相手としては面倒な相手だな。

こういうタイプの奴らは・・・



俺は今回の作戦をタブレットに指示する。

それにしても、今回の相手は強敵という訳ではないが・・・ある程度の強者でも相手にするのは面倒な相手である。

ただ、初戦から消耗させられる事が確定とは・・・



そうして背後で戦闘が行われている音が聞こえなくなった。

なので確認に戻る。




「・・・なるほど、これは想像していなかった」




どうやら(ヴィスタ)の方が攻めあぐねている様子だ。




「おぅ、戻ったか。お前が言うほどのものか?ただ野犬を相手しているだけじゃないか」



「上官は満足できないと・・・スタイルB」




俺がそういうと(ヴィスタ)が俺の方を見る。

俺はそれに頷いて答える。




「これからがらりと難易度が変わるので気を付けてくださいね」



「それは楽しみだな」




そうして戦闘が始まるがなんとなく予想がつく。



俺は再度タブレットに戻り、相手の情報を伝える。

先程、上官が相手したスタイルAは野犬程度のスペックだ。

しかし、スタイルBはあの一等親で出せる最高戦力だ。

いや、最高ではなかった。確かあの形態でも魔法が使えたな。

アイツの戦闘スタイルはあの俊敏さを活かし、一撃離脱法だろう、それを魔法で強化、補助していると予測している。

そして今上官が相手しているスタイルだが・・・立体移動で翻弄し、あの一頭身が鳩尾に突撃してくるという恐怖




「やはり消耗は避けられないか・・・」




俺は小崎に映像をこちらに流すように言い渡したものをliveで試合を分析している。

やはり、試合を見ている限り僕ッ娘が作戦を実行、もしくはアレンジしようとしているのは明白だ。だが、慣れていないのか想定外の出来事に直面すると途端に陣形に隙が出来る。

先程の試合では何とか切り抜けていたがまだ一回戦だ。あの程度で隙が出来るならこれから先、立て直しに苦労する事になるだろう。

その事についての指摘や、修正法などアドバイスをタブレットに打ち込んでいく。

そうしてしばらくして、勝利報告がタブレットのメールに送られてきた。それに対してまずは試合の内容を確認する。

僕ッ娘は俺が試合を見た通り、偽りない報告だった。しかもきちんと反省点を見つけ、改善に向け何かしら対策を考えているようだ。

色々ツッコミ所や抜け穴がある点は置いておいて、少々感慨深い思いになった。

そんな気持ちは横に捨て、先程まとめていたアドバイスを送信する。

そんな時、膝辺りに軽い衝撃を受けた後、肩にちょっとした重みを感じる。

経験則からこれは―――




「意外と速かったな」



俺の肩の重みの正体は言わずもがな(ヴィスタ)である。




「予想通りの時間だな、どうだ上官は?」



「きゃんきゃん!!」



「そうか、中々粘ったか」



「全くとんだ化け物を飼いやがるな」



「ええ、いい拾いモノでしたよ、コイツは隠密に長けているから魔力提供者との交渉にはとても役立っている。」



「そういえばその魔力提供者の身の安全の事は考えているんだろうな」




現在 唯一の魔力提供者 白鐘シロか、抜かりはない。




「自分の身は自分で守ってもらうつもりですよ」



「それは裏切られる可能性があるんじゃないのか?」



「協力者には欠陥品を贈呈している。本人はさぞ大満足だろう。それに俺を裏切れば自壊する仕組みは伝えてある。裏切る可能性は極めて低い」



「仲間が出来たのか、よかったな」




ナカマ・・・?




「なかま・・・ねぇ」




俺にとって万人は駒だ。

目的を達成させるためには手段は厭わない。

しかし、正直仲間という存在が何なのかわからなくなってきている。

俺にとっての仲間とはなんだ?

月島か?いや、アイツは友だ。恩を返すだけだ。

小崎は利害が一致しているだけで俺との利害がずれたら切るのは前もって決めている事だ。本人もその点は察している。




「白鐘とはビジネスの仲ですよ」



「ビジネス?」



「お互い欲しいモノを提供し合う理想的なビジネスな相手ですね」



「そうか、そういえば今日は学校の大会がある日だったな」



「ええ、春闘祭ですね。」



「お前の見込んでいる者が出場すると聞いたが、行かないのか?」



「このタブレットから指示は出していますよ。」



「依存対策か」




流石教官と言われたことはある。

俺の教育法を理解または把握しているに違いない。

月島にはいつまでもおんぶにだっこでは困る。

・・・最近月島についての思考がこのような方向に行きがちだな。

それだけ月島が腑抜けているからか・・・


そんな思考になっている内に次の対戦相手の情報がもたらされた。




「・・・前年度の準優勝者組」



「随分と厄介な相手だな」




俺は他の試合の組み合わせをハッキングにて情報を入手する。

相変わらず酷いな。これはランダムではなく、意図的に仕組まれている。

生徒会が大会の方針などを決めている筈・・・

月島達の相手は上級生の中でも上位に入る者達ばかりだ。




「生徒会がそこまでするなら俺も考えがある」

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