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「そう息巻いていたのにこのざまか」




訓練開始2分にて全滅、全員気絶という醜態を晒していた。

まぁ、こうなる事は想定内であり、その対策もしてある。




「では、さっそく頼む」



「あの・・・これって拷問なんじゃ―――」



「問題無い、責任は全て俺が取るし、本人からも了承済みだ」



「わ、わかりました」




しぶしぶと言った感じで助手3人は水球を作り、気絶した3人の顔にぶちまける。

すると驚いてか、3人は飛び起きた。

起こされた本人は何が何だか理解出来ていない様子だ。




「言った筈だ、休憩は挟まないと」



「ちょっと待ってくれ雅人、流石にこれはやり過ぎじゃ―――」




月島は最後まで台詞を言う事は無かった。

俺が蹴飛ばしたからである。




「誰が口答えしろと言った」



「・・・もしかして怒ってる?」




ふむ、僕ッ娘にしてはいい答えだ。正解とまでは言えないが近しいものがある。

蹴られた月島は再び起き上がる。

やはりこの装備は正解かもしれないな。




「安心しろ、そういう訳ではない。ただお前達にどれだけ甘い特訓を課して来た己の未熟さを恥じているだけだ」



「それ怒ってるよ!?」



「まぁアタシとしちゃ、少し休んだブランクもあるし。巻き返しのチャンスがあるのは有り難いね」



「・・・そのやる気は買おう。休憩は無し、早速その覚悟見せてもらおうか」





その後、13回目の叩き起こしにて赤城は根を上げた。勿論そんな事は知った事ではない。構わず続けさせる。

そして意外にも最後に根を上げた奴が僕ッ娘だった事だ。

僕ッ娘は43回目にて根を上げた。それに比べ月島はたったの8回で根を上げた・・・は?

それにしても僕ッ娘より先に助手としてついていた人間の方が早く根を上げたのは驚きだ。

まぁ、それでも合計60回は繰り返し、俺も体力の限界を迎えた。




「・・・少し休憩を入れる。飯を食うなり寝るなりして体力の回復をしろ」



「まだ続けるのか!?」



「休憩時間は・・・」




現在の時刻は22時

俺は再度月島達を見回す。

どう見ても皆疲労困憊であり、これ以上特訓を続けても得る物はないだろう。

まぁ、本人次第か




「そうだな、もう時間も大分遅くなった。月島の言うとおりこの辺りでお開きとするか」




そう言った瞬間複数の人間から安堵の吐息が出る。

しかし、出さない奴も一人いた。




「で、でも僕たちはまだ君の出した課題をクリアしてないよ?」



「ああ、それでも十分訓練にはなったはずだ」



「うん、そうだけど・・・でも。それじゃあこれから君は僕達に協力はしてくれないの?」



「・・・出来る協力はしてやる。元々は俺が依頼主だからな。だが暫くは学校に行く事は無い。」



「そ、そんなぁ・・・」



「お前達が課題をクリアできたなら再考するつもりだったが・・・お前達には出来なかった。」




どの道コイツ等がこの課題をクリアしようがしまいが俺は最後までコイツ等に付き合う気はない。




「なら最後にもう一回だけ―――」




俺は溜息を付く。

コイツを司令塔に据えたが間違いだったかもな。だが他にいないからな。




「周りを見ろ、視野が狭まっているぞ」



「え?」




今更ながら気付いたようだ。

月島は死んだかのように地に伏せている。赤城は床に大の字で倒れ肩で息をしている状態だ。

更にはサポーターとしてついていた助手は完全にダウンしていたりもする。




「お前は1人で俺に挑むのか?」



「あぅ・・・」




俺は意気消沈した僕ッ娘を見て装備していたプロテクターを外す。

プロテクターを外す際に背中を向ける

そう僕ッ娘に背中を向けたのだ。


風を裂く気配




「ッ!?」




未だ着けていた左腕のプロテクターを背中に回し、防御態勢に移る。

案の定、腕に衝撃が伝わる。

すぐにその場から離れる事も考えたが反撃に出る。

その場でしゃがみ、左足を起点にし、右足を伸脚の要領で伸ばし、その場で180度回転する。

いわゆる足掛けである。

それに簡単に引っかかってくれた。


俺は尻餅をついてしまっていた僕ッ娘を見下ろす。




「不意打ちか、悪くないな。確かお前はやらないとは断言しなかった。あれでクリアしたらそれは俺自身の油断が敗因だったかもな」




僕ッ娘は悔しがると思っていたが、ただ呆然としているだけであった。

本当にコイツは読み易いが読みにくい。




「まぁ僕ッ娘にしては今回は頑張った方か」



「・・・え?」




確かにコイツは不確定要素であるからあまり強化しておきたくはないのだが・・・ここまで貪欲に力を求めるのは評価するに値する。

僕ッ娘はこれが今のところの最大の武器だろう。

その武器は他の武器よりも群を抜いて優秀なモノだ。

才能というものも存在するが、その武器はある分野では輝くが俺にとっては貪欲に勝るものはない。

そもそもこの俺自身もそうであるのだから。

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