21
対抗策を考えて帰る支度を済ませ、校舎を出る際に見えてしまった。
「?、雅人どうしたの?」
俺が額を押さえている所を月島に見られていたようだ。
「ああ、月島か。先に言って置くが声はかけるなよ」
「?」
「校門に誰かいるが、お前には誰に見える?」
月島は校門側から見えないように校門付近を覗く。
すると月島は確認できたのか、すぐに首を引込めた。
「灰崎さんだね、でも隠れる必要があるの?」
「お前は想像がつかないのか?灰崎がここに来る理由を考えればすぐにわかるだろう」
「あ、あははは・・・」
どうやらコイツでも想像は付いたみたいだ。
「でも隠れるまではしなくても・・・」
「はぁ、お前は先を読もうとかは考えないのか?この場合、普通に出会ってしまったら必ずと言っていい程周りから注目を浴びる事になる。灰崎の存在自体、例の組織では秘匿事項な筈だ。だから無闇に注目を浴びせる訳にはいかない」
と、こんなもっともらしい事を言っているが、実際は俺とValkyrieとの関連性を疑われたらとても面倒な事になる。
「裏門から出るぞ、いいな?」
月島も頷き、行動に出ようとした時思わぬ出来事が
「あれ?犬童君達そこで何してるの?」
「全く大の男が何ヒソヒソしてんだ」
僕ッ娘と赤城が俺達の不審な行動に対して発言したのだが、それと同時に正門方面から少しばかり騒ぎが聞こえた。
まさか気付いたというのか!?たったあれだけの声量で
「悪いな月島」
「え、まさか・・・」
俺は月島の襟を両手で掴み、ハンマー投げの要領で僕ッ娘と赤城を巻き込ませるように月島を投げる。
その結果倒れこむと予測しているが確認などせず、すぐにその場から離脱する。
目指すは裏門である。
既に上履きと下履きを交換している。
裏門にも下校する生徒もいるので、なるべく生徒達が壁になるように自然に裏門を出る。
「鮮やかなお手並みです」
そう、背後から話しかけられた。
どうやら聞こえたのは俺だけらしく、声の主に俺は振り向く
「貴女は・・・朝比奈 百々さん・・・でしたか?」
「はい、それにしても本当に清々しい程の逃走劇でした」
「・・・・・」
なるほど、灰崎を正門に配置したのはダミーでこちらが本命 俺に接触するのが目的だったのか
「何か?」
「場所を変えましょう、ここでは些か目立ちます」
今はまだ他の人物に意識を向けられていないが、これ以上は確実に人目を引く。
「そうですね」
そうして場所替えをする際、朝比奈は連絡する素振りを見せない辺り、灰崎は一方的に利用された可能性が高い。
場所を変えた現時点で灰崎がいないのがその証拠だ。
いや、待機している可能性も捨てきれないが・・・あの性格で待機は難しいかもな。
「それにしても意外です」
「何がですか?」
「貴方はこのような場所は来ない人だと思っていました」
「人は見かけによらないし、自分も学生ですから」
コイツの観察眼・・・というより能力は相手の異能の有無を見抜くのは確認済みだが、どこまで情報を知り得るのか。
下手をすると嘘すら見抜く可能性すらある。しかも常時発動型・・・随分とやりづらい奴だ。
しかも先程のコイツの発言で全てを見抜く事は無いと証明された。
「思っていた」それはコイツの勝手なイメージを俺に対して持っていたという事だ。まぁ、実際間違ってはいない。勿論俺はこのような場所は好き好んで使う事は無い。
「確かに学生はよくこのようなところを利用するものだと聞きますね」
「まぁ、女性を誘った先がファミレスと言うのも学生らしいでしょう、それにここなら何の会話をしても内容を気にするような輩はここにはいません」
本当はこの場所なら武力的解決の手段が取れない事にある。
灰崎がもし合流するような可能性も捨てきれないからだ。
「それで、用件はなんでしょうか?」
「・・・何故私を推薦したの?」
「推薦?ああ、例の件か。それは俺が会った中で貴女が適任と思っただけですよ。実際似たような事を以前から行っている筈ですが」
そこで睨まれる。
一体何を聞きに来たのだろうか?
これは前置きで聞きたい事は別にある筈だ。
「推薦ねぇ・・・そのお蔭で私が代理に任命されました」
「よかったじゃないか」
俺の言葉に朝比奈は上を向いて目頭をつまむ。
それから深いため息を吐いていた。
「貴方は私が今まで苦労してきた事を仕事にしたのよ!?」
「その苦労は灰崎の件か?」
俺の台詞で言葉が詰まったような顔をする。
「図星か」
「ええ、灰崎さんに言う事を聞かせるのにとても苦労したわ」
「確かにあの性格では苦労が窺えるな。だが、これからはそうではなくなるだろう」
「え?」
「本題はその事か?」
「ええ、そうだけど・・・」
「ならあとで面白い事をしようか」




