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「なんだ・・・この頭痛は」
腕時計を確認すると15分過ぎていた。
「ん!?このままだと遅刻する!!」
早めの登校だったのでギリギリセーフで間に合った。
俺が気を失っていた場所には誰も居なかった。
そして、自分の席について先程の事を振り返る。
俺はどうしてあそこで気を失っていたんだ?
何かを忘れている。何かを・・・
それにしても今日は何か教室が騒がしいな
「おい、聞いたか犬童 今日俺らのクラスに転校生が来るんだってよ」
「なるほど、だから騒ついてるのか」
「全く犬童は反応が薄いなぁ」
「あまり関心がないのは自覚しているが有良は異性の事に関しては関心が高いな」
コイツは小崎 有良、女性に関してはかなり詳しい変態だ
女性の事を知るなら犯罪をも犯す、ストーキングや盗撮は朝飯前と言った事のあるレベルだ
もしも俺が女だったら真っ先に通報するだろう。
「今回転校生の情報は?」
「ああ、それが男らしい」
有良は残念そうに顔をゲッソリさせる。
とりあえず女じゃなければ面倒事にはならないだろう。
だがこの時期にここに転校?ここ魔法武技第8高校はそれなりに人気はある・・・女子からな
普通なら女子高になる筈だったのがどうして共学なのか
それは男もほんの極少数に魔法とは異なる力を発現したからだ。
それは異能力と呼ばれている。
その関係もあって共学になったそうだ。
ただ能力に発現する人間は極少数、だから能力を持っていなくとも受験する事は簡単だ
試験はかなり難しく設定されている
話が脱線したな。
「能力者の可能性・・・か」
「確かにこの時期だったら有り得なくもないよな」
「そうだとしたら、どの道荒れるな」
「荒れるのは風だけにしてくれよ、パンチラ出来るし」
「本当にお前はブレないな」
「それが俺の取り柄だからな」
「俺には理解出来ないな」
俺にとって女は敵とほぼ同義だ
他の者もそうだが、あまりいい感情を持ち合わせていないだろう。
「でも俺はお前を尊敬してんだぜ」
「・・・気色悪い」
「酷ェ・・・」
こんなくだらない話をしていると時間は過ぎ、転校生の紹介へと移った。
「初めまして 月島 亮史です。こちらには昨日着いたばかりで何もわからないので色々と教えてください。」
「月島 亮史・・・亮、お前だったのか」
「ん?あ!?雅人じゃないか!!」
小言しか言ってないのに相変わらずに勘がいいな
コイツとは昔馴染みで昔はよく遊んでいた。
俺の両親が死ぬ前まではな
「わぁ~久しいな、友達と同じクラスになれるなんて」
クラスの奴らが騒ぎ始める。
「あの~質問があります。」
クラスの女子がそう言って手をあげる
「彼とはどういう関係なんですか?」
「昔よく一緒に遊んでいた友達だよ」
「じゃあ、この時期に転校してきた理由は―――」
この流れはあまりよろしくない
ここでコイツが仮に能力者だったとしたら面倒になる
「おいおい、いきなり質問攻めは可哀想だろ。これから覚える事がたくさんあるんだから体力は温存しておかないとな」
「大丈夫だよ、体力には自信があるんだ」
黙ってろ脳筋野郎
「ほほぅ、じゃあ俺とボードゲーム20連戦する体力はあるのか?なんならエンドレスでお前の限界を試してみよう」
「・・・温存させていただきます」
このやり取りで周りにどんな影響を及ぼすか・・・
かと言ってコイツを見捨てる訳にもいかない
「へぇ、転校生は犬童 雅人と知り合いだったのか」
「ああ、コイツは小崎 有良 コイツと仲良くなるのは構わんが重度の変態だから付き合い方には気を付けろよ」
「そう褒めるなよ犬童」
「あ、あははは(苦笑)」
冷や汗を流してさり気無く一歩引いた月島だった。
「俺が昼休みに校舎の案内してやる」
「ありがとう、助かるよ」
コイツは今自分がどんな立場にいるか知らない
さっさと伝えないとな。
でもコイツの場合、気にしない気がするんだよなぁ・・・