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俺は今、地下の階段を降りている訳だが・・・




「おいおい、さっきからの振動 何が起きている?」




先程から度々起きていた振動、その頻度が多く、そして揺れも大きくなっていた。

この事から察するに 戦闘が行われている可能性も視野に入れた方がいいだろう。

何かしらの実験という線も考えられなくもないが、それはこの組織においての責任者の不在という点で物騒な実験はまず行わない。

しかし、戦闘だと仮定して・・・何故場所が地下になる?

確かに人目にはつかないが、それにしては潜入するにしたって地下に何があるかは知らないが上層部に位置する階の情報を盗み出した方が堅実ではないのだろうか?

それとも地下に俺の知らない価値あるモノが存在しているという可能性もあるが・・・

それは部外者である月島を戦力として連れて行くのならば地下にあるモノは機密性が薄い。


ある程度降りてきた そして扉

その扉は計3つ

その中でも関係者以外立ち入り禁止の扉の隣の扉を隙間程度に開け、中を覗き見る。


中は暗く、見通すことは出来ないが棚が陳列しており、そこには大量の資料が置いてある。




ここは資料室か、情報を得るには丁度いい。

少し調べさせてもらおう。



俺は部屋の中に身体を滑り込ませ、部屋の中を慎重に物色する。

ここの書類を読み漁って分かった事はこれは研究資料であり、ここで研究されているのは魔法や異能の研究。

しかし、非人道的な実験は行っていないように見える。

この様子だと別の場所にその研究資料があるのだろう。




「それにしても、ここは研究施設なのか、保護施設なのか・・・理解に苦しむ」




この資料にここでの研究対象は皆 孤児であるというような(くだり)がある。

というより孤児達の記録がメインに記載されている。

研究がサブで保護がメインなのかもしれない。




「次の部屋に向かうか」




通路に戻ると同時に扉を突き破ってこちらに迫ってくる物体

それは簡単に躱す事が出来たが、その飛んできた物体は人間だった。

全身負傷し、血も流れてはいるが致命傷は負っていない。

飛んできた方向を見遣る。




「見つけた」




俺の見た先に月島がいた。

他にも僕ッ娘や無敗拳士などその他大勢。

そして彼らと距離を取っている子供達。


俺は大衆の前に出て、軽く言葉を発する。




「や~っと見つけた」



「雅人!?どうしてここに!?」



「君は先日の・・・」




今現在、現状を把握できているとは言い難い状況に出てきてしまった。




「何だよ、アンタ!!」




ちびの内の一人が攻撃的な聞き方をする。

・・・俺はガキが嫌いなんだよ。




「お前なんぞに用はない、用があるのはそこのカスだ」



「「え・・・?」」




ちびと、指定された月島が呆けた顔をする。




「全くよぉ・・・人がせっかく練習に付き合ってやってんだぞ?その俺を放置して・・・何か弁明はあるか?」




月島は激しく動揺し、冷や汗を流している。

そう、月島は知っているのだ。

このまま何もしなければ自分は悪夢を見るのだと。




「そ、それは・・・そう!!緊急事態だったんだ!!急な事だったから目の前の事を優先しちゃって」



「なるほど、そうかそうか、では・・・死ね」



「え?」




まずは月島の腹部に膝蹴り、月島の態勢がくの字に曲がるそこに頭を掴み地面に叩き付ける。

そこから更に後頭部に踵落し、何かもがき苦しむような声はするが無視して横に周り脇腹を蹴りあげる。

そこからまた更に動こうとすると。




「2人は友達なんでしょ!?これはやり過ぎじゃないかな」




僕ッ娘に止められた。

普通ならその仲裁を聞き入れる事は無いのだが。




「それもそうだな、おい、行くぞ。月島これからやる事がある」



「え?やる事って――熱ッ!?服引っ張らないで!首!首締まってるから!!」




何か騒いでいるが知った事ではない。

俺と月島はここを離れ、目視出来ない所まで月島を引き摺り、自分で歩けと言い、放り投げる。




「相変わらず乱暴だな、でも今はふざけていられるような状況じゃないんだ雅人」



「ああ、大体は把握している。だからお前を連れ出した」



「どういう意味だ?」




俺が見たモノを察するに、構図的には子供と構成員との対立が目立つ。

実際そのような立ち位置をしていた。

子供が相手ならそうそうに片が付きそうだが、子供は1人ではなく大勢いた。

その事を見るとガキ共全員が対立又はそれに便乗している可能性が高い。

そしてガキ共はここにて保護されている。

そんな保護対象が対立し、攻撃されても組織の構成員達としては反撃に出る事は出来ない。


その事を軽く掻い摘んで月島に話し、俺の推論が何処まで当たっているか、はたまた、見当違いをしているか問う。




「・・・多分当たっていると思う。雅人が予測した通りの現状だよ。だから一刻も早く何とかしないと」




俺は月島の頭を軽く殴る。

そして溜息を付きながらその先の推論を話す




「おい、よく考えろ月島 何故あの子供達が一斉に暴動を起こしたと思う?」



「え?何でって・・・」



「俺はここまで来るのに他の人間には遭遇していない、怪しいと思わないか?」



「・・・雅人、何か他にも起きているのかい?」



「ああ、そうだが・・・出て来い僕ッ娘 話すのに二度手間なんてことは俺はしないぞ」




そうしてひとつ後ろの曲がり角から顔を出した僕ッ娘




「気付いてたんだ」



「いや、お前ならこちら側に向かってくると予測したまでだ」



「あ、あはは、僕ってそんなに分かり易いかな?」



「人間としてはだいぶ分かり易い分類だな、さて、話を戻す。」




先程と違って真剣に話を聞く態勢に入っている。

出来れば初めからそうして欲しいモノだ。




「俺がこの中に入る際、門番の奴にも連絡が入り、中に入って行った。」



「それのどこが怪しいんだ?」




俺は月島に蔑んだ視線をプレゼントしながら話を進める。




「確かに地下で子供の反乱があったが、相手はたかが子供だ。構成員総出で相手にするような事態じゃない」



「でも自然と集まって来ていたけど・・・」



「ほぅ、自然とね・・・移動しながら話そうか」




そうして地上に向かいながらコイツ等に話す。




「俺は門番が誰かの通信を受け、それに従った という事はその通信相手は上司になる。」



「上司って、確かに目上の人はいるけど 命令出来るほどとなると灰崎さんくらいだよ」




組織においてのヒエラルキーが物凄く曖昧な発言が聞けたことで僕ッ娘に確認を取る。




「で?その灰崎は通信機などは持っていたのか?」



「灰崎さんは通信機の類は持ち歩かないんだって、主にサボる的な意味で」




なんともまぁ仕様もない理由にて確認が取れた。




「では、誰が命令を下したか?」



「え?べリアさんじゃないのか?」



「その可能性も考えられなくもないが、しかし、門番の仕事を放棄させてまで戦力を注ぎ込むほどの相手ではないし、人数が多ければ多い程警戒心を煽り、話し合いでの解決は難しくなる。その事に気付かない程頭が回らない人間ではない」




そう、この組織のリーダー格がその程度ならばこの組織はとっくに滅びている。




「じゃあ、誰だって言うの?」



「門番をしていた奴に聞けば何かわかるかもしれないが、そんな時間はない」



「時間?」



「ここで月島と話していた話題に戻る、何故子供達が反乱を起こしたのか?」



「反乱ってそこまで大袈裟な事じゃ・・・」



「今その部分はどうでもいい、あの子供たちが明確に反抗していたという事だ。それも全員の意思とも取れる行動でな」




そして気になるのが行動に出たタイミングだ。

ガキ共はここでの明確な上司、べリアが外出中に起きている。

そして今この組織の人間は地下に集中している。




「これは外部による者の作戦だろう」



「作戦!?」



「どういう意味なんだ雅人?」



「虎穴に入らずんば虎子を得ず、という諺はあるがわざわざ親虎がいるタイミングで虎子を狙う大馬鹿はいないだろ?」



「まさか・・・」



「え?何?」



「はぁ~、本当にお前は頭がアレだな。子供達の暴動は外部から仕組まれた可能性が高いという事だ。そしてその暴動は囮であると言える」




俺は目頭を押さえながら説明してやっと理解したようだ。




「じゃあ、その外部の目的って何なんだい?」



「少しは自分で考える事もしないのか?」




その言葉に目をそらす2人




「お前らなぁ・・・まぁいい、今現在相手の目星はついていない。しかし、狙いは上階にある何かだろう。それか地下にいる俺達を建物崩落させてこの組織の構成員を一網打尽にするかだな」



「建物崩落!?」




建物崩壊で生き残る事はまず無理だろう。

だがその可能性は低い、崩落させるつもりであるのならば既に何かしらのアクションを起こしているからだ。

現段階でそれがないという事は目的はこの建物にある何かという事になる。




「その可能性は今は捨ててもいい程に低い・・・まぁ、最後に崩落させるかもしれないがな」



「「え・・・?」」



「可能性の話だ、その前に下の件を片付けていれば問題はない。さて、そろそろ1階に戻れたか」




地下への階段から通路を盗み見る。


誰も居ないし、不審物も特になし




「雅人 なにしてるの?」



「お前は・・・」



「さっき彼が話していた通りなら見張りがいても不思議ではない・・・でしょ?」




僕ッ娘が俺の言葉を遮って言った事は俺を少々驚かせた。




「なるほど、そういうことか凄いねシャルさんは」



「えへへ、僕も勉強いているんだよ」



「・・・50点だな、注意すべき物が人だけではない。不審物、いわばこちらの動きを感知する物や危険物なども気負付けなければならない。」




50点とは少し上げ過ぎた気がするが最初の頃は月島並だったのでそこは評価してやりたい。

しかし、月島には期待は出来ないだろう。




「あぅ・・・」




この調子なら春闘祭の件でコイツを司令塔とし、月島を戦闘の主軸、赤城を司令塔の盾・・・この形で決まりだろうな。




「何、気にするな。月島なんぞ、その分野では点数すらやれない程酷いからな」



「ええ~、僕ってそんなに酷いかな?」



「ああ、お前は論外中の論外だ、さっさと行くぞ」




侵入者がいるであろう上層に向かう。

向かう際、見張りも、不審物も見当たらないので警戒するのみで一気に向かう。

向かうは僕ッ娘から情報を得た情報統合室、コイツの話によると教官の声紋認証などが必要であり、まず突破する事は不可能であるとの進言だったが・・・そんなモノ突破する方法はいくつか存在している。

俺の予想が正しければ、奴らはそこにいる。




「いた!!」




月島よ、何故声を上げた 上げなければ先手を取れたものを・・・




「予想より早かったな、だが想定内だ」




相手は俺達とそう歳は離れていない子供である。

男子1人、女子3人の構成 こちらが1人少ない形だが問題はないだろう、初手を間違わなければな。先手取りは失敗したがな。




「相手は4人・・・行こう雅人!!」




そう言って1人で突っ込んでいく。




「しまった、この思考は小崎の言っていたフラグだったか」



「僕もいくよ!!」




前言撤回、少しは見直していたのだが僕ッ娘もまだ状況判断と戦闘においての基礎を知らない。

何故こんなのに釣られる これは少し痛い目にあった方がいいのか?

じゃあ、俺はお前達を利用させてもらおう。




「君達はそこで何をしている!!」



「お前はわかりきった事を聞くんだな」



「なんだと」



「月島君、挑発に乗っちゃだめだよ」



「ふん、もういい 目的は達した撤退するぞ」



「了解、じゃあいくよ!!」




女子の内の一人が何かを取り出したのが見えた。

それを床に叩き付ける、それはその瞬間に発光し、その場にいた月島と僕ッ娘の視界を奪った。




「うぅ・・・、な!?逃げられたか」



「僕達何されたのかな?急に目の前が真っ白になって・・・」



「あれはスタングレネードだ、逃亡用に用意していたのだろう。」



「珍しい、雅人がやられたままなんて・・・」




俺は溜息を吐く。




「お前が・・・お前達が勝手に突っ込むからだろうが」



「「ごめんなさい」」



「まぁ、悪戯してやったよ」



「悪戯?」



「そもそも君もスタングレネードに引っかかったんだよね?」



「いや、あのスタングレネードは俺が開発に携わったからな、すぐに気付いた。」




コレを作ったのは俺である。

製作理由は魔法を妨害する為の道具として最初は製作していき、最終的には人間の五感を一時的に潰す。

先程使われたスタングレネードは視界のみを一時的に麻痺させる種類ではある。

一応龍ヶ峰家を通して販売してはいたが・・・何故奴等が持っていたのか・・・

どうでもいいか




「まぁいい、さっさと本来の目的を行うぞ」



「本来?」



「何だったっけ?」




・・・本当にコイツ等は俺を怒らせるな、わざとなのではなかろうか?

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