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翌日


昨日はあれから何事もなかったわけではないが、無事に自宅へと辿り着き、今日に至る。

赤城は欠席だが、そろそろ春闘祭に向けて特訓を行わなければならない。

なるべく、その特訓は学校の者達には秘密裏に行いたい、不特定多数に戦力がバレるのは避けたい、情報は重要だ。

俺の予想ではあるが、この3人では作戦を読まれた時、冷静に対処できる者がいない。

ある程度成長を見せてくれるのならば可能性はある、最も可能性が高いのは僕ッ娘だろう。

現時点では到底無理ではある。

まぁ、今回の特訓には嫌でも無敗拳士が絡んでくることが予測される。

これは丁度いい相手だ。普通に命の危険もなく、代償も最小限で出来るお相手ではない。

これで代償になるのは主に特訓参加メンバーと俺の精神力である。

多分十中八九ボコボコにされることは目に見えている。

ならばまた勉強させてもらおう。無敗拳士の能力も把握出来た訳でもない。

どうせなら能力解析といこう。

まぁ、主に犠牲となってもらうのは・・・コイツなんだがな。




「ん?どうしたんだい雅人」



「いや、前回はすまなかったな。急いでいたとはいえ、あんな対応して」




昨日、俺が月島の対応が面倒くさくなりゴミ箱にダストシュートした事だ。

口ではこんなことを言っているが本心は謝罪するつもりはない。

だが、今後の関係上謝罪した方が円滑に物事が進むのでそうしている。




「大丈夫だよ、まぁ、ゴミ箱に入れるまではやり過ぎだとは思うけど・・・それでも雅人とシャルさんのおかげでいい施設が使用できるように交渉してくれたんだから我慢しなくちゃね」




取ってつけた言い訳にここまで騙されてくれるんだからありがたいが、本当に頭がお花畑である。




「ああ、今回はお前に丁度いい相手がいるんだ」



「僕に?それは楽しみだな」



「ああ、楽しみにしていてくれ。今回の春闘祭までにはお前は確実に力をつけられるのは間違いない。」



「そっか、でも残念だね。赤城さん怪我で参加出来ないんだっけ?」



「それは今回の訓練だ、春闘祭には参加してもらう」



「でも結構大きな怪我だって聞いたよ?」



「誰からだ?」




俺は言っていないとしたらもう一人しかいないな。




「シャルさんだよ」



「シャルさん?・・・ああ、僕ッ娘か」



「いい加減名前覚えてあげたら?」




月島は苦笑いする。




(すこぶ)る程どうでもいいな」



「素直じゃないね」




こんなくだらない話をして学校に到着した。




「俺は少し用があるから先に行っててくれ」



「うん、わかった。」




そうして月島と別れる。

向かうのは校舎裏




「なんだ、もう来ていたのか。」



「ええ、これがそのモノだよ」




校舎裏にて会ったのは白鐘 シロである。

今日は事前に魔力蓄積装置の回収を命令していた。




「そうか、ではこちらもそれについての報酬を出そう」




俺は鉄版を取り出す。




「これについての使用方法はまた追って紙にして例の方法で渡そう。」



「わかった。」




そうして俺達は物を交換する。

その後声をかけることなくお互いに校舎に戻った。



その後、特に何かがあった訳ではなく、授業は進み、放課後。




「俺は取りに行く物があるから先に向かってくれ」



「え、うん いいけど」



「じゃあ、月島を頼んだぞ」




俺は僕ッ娘に訓練所の案内を頼み、その場を後にする。



俺は自分の家にて再度所持していく武装を確認する。

俺達は春闘祭の訓練だが相手はあの無敗拳士を相手にする事は想像するに容易い。

ならば、どのような戦術を(ろう)するか・・・

前回手合せした時は主に近接の攻撃、更に最後に行った攻撃は謎の遠距離の高火力。その上相手の能力に見当が付かないと来た。




「全く、まだまだ俺の知らない事だらけだ」




近い未来現状のまま、まともにやり合えば少なからず俺は詰む。




「かと言って今回は死とは全く無関係なお遊び、基本装備と・・・更にそこから何かしら用意すべきなのだろうか」




だがしかし、己の手札は温存すべきである。

ましてや、俺が魔法を運用する事が可能であるという事を知られるのは痛いが、どの道僕ッ娘や赤城に既にバラしている。

アイツ等が魔法だと気付いているのかはわからないが・・・下手したら身体能力として見られているのか?

そうだとしたら、俺はただの化け物 又はアイツ等の頭が残念なだけだが・・・

とにかく、先方に向かう事にするか。






俺はValkyrieの施設前へと到着した。

施設の前に門番的な人物が突っ立っていたので入れてもらうように交渉する。




「ここの施設を使わせてもらう約束をしているのだが」



「はぁ、ではそれを証明出来る物はお持ちですか?」



「・・・・・・・ないな」




困ったな、これでは入れてはもらえないだろう。

べリアさんを引き合いにも出していいがいい顔はしないだろうな。じゃあ、僕ッ娘を出すか。




「俺もここに男子と一緒に入った僕ッ娘の連れだ」



「僕ッ娘?」



「ああ・・・・・・・・名前なんだったかなぁ」



「流石にそれでは入れられないな」



「ごもっともな話だ」



「知り合いの名前を言ってくれれば確認を取るけど?」




それは有り難いな、俺の知り合いと言うと・・・僕ッ娘は、本名覚えてないしな。赤城は怪我の治療中でしかも俺達がここの施設を利用している事は知っているかわからない。

ならば、他と言うとべリアさんと・・・無敗拳士か。本名は覚えてないな。




「べリアさんかな?」



「教官!?これまた凄い事言うね、でも今教官は外出中よ」




なるほど現在べリアは外出中か、べリアは俺の知るこの組織においてほぼトップの存在だ。

だが、その彼女は教官と呼ばれている。

色々調べたがべリアという人物の上の人間が秘匿されている。

これはある意味組織として異常である。

この組織のトップの存在が知らされていないのだから、だからここに所属している人間はトップを知らされていない可能性高い。

では一般的に顔が知られており、この組織の上の存在、それがべリアただ一人なのだ。

これはまた深く調べる必要があるだろう。

まぁ、今考える事ではないな。




「まぁ、信じてもらえる話ではないな」




すると何かの電子音が聞こえる。




「はい、こちら入口警備班・・・はい・・・え?あの子達が!?わかりましたすぐに向かいます!!」




どうやら先程の電子音は通信機の類の様だ。

しかし、門番は俺に一瞥もくれることなく、建物の中に入って行ってしまった。




「何かのトラブルか、俺としては都合がいい、このまま入らせてもらおう」




前回来た時で道順は覚えている、何の問題もない。

さて、月島達の様子はどうなっている事やら





そして、トレーニングルームには・・・誰も居なかった




「ほぅ、なるほどなるほど、これはやる気がないと受け取っていいみたいだな」




確か俺がアイツ等と学校で別れたのが1時間前だ。

学校からここまでの距離はそう遠くはない。

精々かかったとしても30分程度。その30分後の集合場所にアイツは姿が見えないと来た。




「・・・・」




しかし、俺は少なからず月島の事は理解している。アイツは約束をそう易々(やすやす)と破るような輩ではない・・・俺と違ってな。

それを前提として考えると、だ。

何かアクシデントがあったのは間違いない。

トレーニングルームを見る限り、何かが破損していたり、傷がある訳でもないし、特に気にするような点はない。

ではこの場合、そのアクシデントというのは外部で生じた可能性が高い。

先程の門番の通信が答えか。その門番が慌てて建物の中に入って行ったという事は




「そのアクシデントはこの施設の中での出来事。月島はそれに巻き込まれたか、(ある)いは首を突っ込んで行った可能性が有力・・・か」




それにしてもこの訓練施設に人1人もいない。

これは異常ではないか?

俺がここに初めて来た日は何もない平日だ、にもかかわらず鍛錬している者は少なくなかった。

では現在誰も居ないのは不自然ではないのか?

それに前回無敗拳士とお遊戯して多少与えた情報に奴は食らいついた。

ならば無敗拳士がいてもおかしくはなかった。

いや、途中参加という可能性も考えられるが・・・あの戦闘狂の事だ、始めから出張って来るとは容易に想像していた。

だがその無敗拳士も居ない。

どんなアクシデントだとしても無敗拳士が向かえばそれで事足りる筈だ。

しかし、ここには誰一人もいない。

つまりそれは無敗拳士一人では手に余るという事。

だから過剰戦力かもしれないが、現状投入できる者が向かってその結果ここに誰も居ない、という仮説は立てられなくはないが・・・どうも話が飛躍しすぎている。

現状を知るには情報が不足しすぎている。




「別に俺の知った事ではないか・・・」




確かに俺の知った事ではない、だがしかし、これには月島が関わってしまっている可能性が高い。

むしろ、確定事項に入れてもいいくらいだ。

となると話は別になる。

・・・探すのか?この広大な建物の中でアイツを。




「仕方ない適当に探すか、この際施設の中を色々と物色させてもらうか。アイツを見つけるという口実もあるしな」




適当に進むと僅かに振動を感じる。




「これは・・・下か」




暫くすると階段を発見する。

しかし、俺のいる階は一階である すなはち、地下という事である。




「はぁ・・・厄介な事でなければいいが」




俺はその階段を降りていくのであった。

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