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そうして案内され、一応無事に到着した。




「ここが訓練施設か・・・結構良さげな設備だな」




部屋がいくつか存在し、筋トレの機械があるトレーニングルーム スポーツなどを行うグラウンドやプール 完全防備の対戦部屋などだ。

勿論完全防備の部屋に入る。




「さて、相手をしてもらおうか」




その言葉にボケっとしている僕ッ娘




「おい、聞こえているのか?」



「はい!!」



「体調不良か?なら俺一人で―――」



「いえ!!大丈夫だよ!!!」



「そ、そうか・・・」




何だろう、コイツから何かしらおかしい感じがする・・・まぁ、気にするような事じゃないか。






数時間後




「ギブアップ!!」



「何言ってんだ?まだまだいける」



「無理無理、無理だってば!!」



「知るか、ほら次いくぞ」




俺はそう言ってイジメ・・・もとい試合を再開した。

更にその2時間後




「はぁ、はぁ、はぁ・・・」




僕ッ娘は大の字で倒れていた。

今回は回避の訓練である。

ただひたすら避け続ける。

余裕があるならば反撃してもよいと伝えていた。

結果は予想していたより大分マシだった。

月島レベルではないにしろ十分強い部類に入るだろう。

以前、コイツの腕を確認をした時とは雲泥の差だ。

そして何より、上達しようとする意志があるからだ、月島との違いはここにある。




「前回練習していた時より大分よくなったな」



「えへへ、キミがたくさん指摘してくれてからね」




何故だろう、背中から冷や汗が出てきている

不快な感覚に陥る。

原因は考えなくとも理解できる。コイツだ。

だがしかし、現在コイツ等の強化を図らないと目的が果たせない。

しかし、俺の最終目的に対しコイツは明確な敵となる。その相手を強化しなければならないという現実が俺を更に不快を増長させているのかもしれない。


俺は部屋の外にある時計を確認する




「さて、終わりにするか」



「連れない事言うなよ、アタシ達とも遊ぼうぜ」




入り口に女子が6名、ここの構成員とみられるが・・・




「遊ぶ、とは何のことですか?」



「そのシャル坊と遊んでたじゃないか、アタシ達も混ぜてくれよ」



「あの先輩、僕たちは遊んでいたわけじゃ」



「アンタは黙ってな!!」




なるほど、コイツ等は僕ッ娘の先輩か

組織のトップが優秀だからといってその部下とその全員が優秀ではないようだな

所詮はただの人間の集まりと言ったところか・・・

ここは道化を演じてやろう




「なるほど、貴女方は彼女の先輩方でしたか、これは失礼しました。ではご要望通り少し遊んでいきましょう」



「へぇ、アンタ男のくせに中々話のできる奴だな」



「それは光栄でございます」



周囲を確認すればこの部屋に多くの視線が集まっていた。

それはそうだろう、上からの指示で俺を受け入れなくては行けなくなったのだ。

異物が出来ればそれに反発する存在もまた現れるのも必然

そしてその他大勢はまず俺の出方を観察する

別に受け入れられなくとも構わん。

別の手段を講じればいいだけの話だったしな。




「じゃあ、ルールを決めるよ」



「・・・ああ、規則(ルール)ね」



「続行不可、気絶、無力化が敗北条件 他は特になしでいいよね」



「待ってください先輩!彼は魔法も異能も持ち合わせていません、それでは明らかに――」



「黙ってなさいと言ったはずよ、赤城の引っ付き虫が」




僕ッ娘は俯いて黙ってしまった。


なるほど、僕ッ娘の能力はとても強力だが他人に依存する傾向がある。

自分の能力が使えるという点において、いい顔をする輩は少ないだろう。

その点を加えて仲良くしていけた赤城 焔についてまわる事は容易に想像がつく。




「さて、そろそろ始めようか」




俺はこの遊びをよく見ているようにと僕ッ娘に告げてからコイツ等の前に立った。




「じゃあ、行くよ!!」



「なるほど、1対6ですか」



「遊びなんだから真剣にやる必要はないじゃん、アンタは私達のおもちゃにされてればいいのよ」




まぁ、そんな事だろうとは思っていた。

コイツ等の下卑た目を見ればなんとなくそうなるだろうと予想はしていた。

まぁ、分かっていて敢えて受けた訳なんだがな




「知っていますか先輩、遊びは全力で殺るから面白いんですよ」




まぁ、見た感じ全力出すほどの相手ではないだろうけど




「へぇ、男が生意気な事言ってんじゃないわよ!!」




おいおい、ここまで簡単な挑発に乗るとは思わなかったぞ、程度が低いにも程がある。

流石に6人を同時に相手するには馬鹿でも少々分が悪い。

先手でどこまで削れるか―――待てよ、試作品013の試運転には丁度いい。


俺は内ポケットにある装置のスイッチを押し、手短にいた女子を蹴飛ばした。






結局苦戦することなく6人中5人を失神させ、残る1人もボコボコにした。




「くっ・・・何故魔法が、魔法がしっかり使えていればこんな男なんかに」



「おいおい、己の未熟さを他人の所為にするなよ」




しかし、試作品013は不完全、改良の余地がある。

魔法の発動を邪魔する装置だったが先程の試運転だと魔法の阻止が成功したのは多めに見積もって5割、現実的だと3割を切るかもしれない。

相手が雑魚だったからいいものを、これが強者が相手になっていたら今の手持ちでは苦戦は免れなかっただろうな。




「もう少し歯応えがあると思っていたが・・・そろそろ帰るか」




そうしてトレーニングルームの出口に向かうと




「一体何の騒ぎだ」




また別の女性が入ってきた。

どうやら先程まで防音室の外では結構騒ぎになっていたらしい。

注目が集まっている事には気付いていたが、騒ぎにまで発展するとは。

しかし、その騒ぎも先程現れた女性の一声で静まり返った。




「ん?男?」




俺の存在に気付いたようだ。

周りに状況を聞き始めた。

そして俺の所までやって来る。




「お前が教官に認められた男か、俄かに信じがたいね教官が男を認めるとは」



「さて、いきなりこんな事言われてるがアンタ誰だ」



「私か?私は―――あら、シャル君」



「シャル?誰だソイツ」



「僕だよ!!!」




ああ、そういやコイツそんな名前だったか

どうでもいいか




「で僕ッ娘、コイツは何だ?」



「この人は灰崎(はいざき) 汐音(しおん)さん ヴィスタ殲滅隊の隊長です。」



「殲滅隊隊長・・・待て、あの有名な無敗拳士か」



「あはは、無敗拳士か あまりその名は好きじゃないんだ 灰崎と呼んでくれ」




無敗拳士 世界において強者であると言われている人間の1人 その実 詳細は不明、俺も龍ヶ峰の情報網で知り得た事だ




「でだ、私の事って公にされてないんだ、どうして私の事知ってたのかな?」




灰崎の目が俺を射抜く。


なるほど、確かに実力者が持つ独特な雰囲気を持っているな。

こんなところで戦闘は避けたい。




「龍ヶ峰家で一時期世話になっていまして、その時に調べただけです」



「へぇ、あの龍ヶ峰の所で・・・ね」




灰崎は俺が遊んだ女子を見遣る。




「なるほど、騒ぎの原因はあの娘達が君に絡んできた事から起きた出来事か、災難だったな」




どうやら、状況把握に長けているみたいだな。

これなら平穏に事が進みそうだな・・・これは小崎が言ってたアレか?




「だが、彼女達の実力がここの実力と思わないでくれ」




は?




「最近、運動不足気味でな。Valkyrie(うち)の実力は見せておかないと」




結局、戦闘になるのかよ。

僕ッ娘は委縮して黙り込んでしまったからには弁護は期待できない

そりゃ、エースに逆らえないだろうな。

・・・小崎の言っていたことが冗談かと思っていたがあながち間違いではないかもな。

フラグ・・・建てたつもりはなかったんだがな。




「・・・・ただ暴れたいだけでしょう」



「ご名答、モモちゃんよろしく」



「はい、わかりました」




灰崎が後ろに居た人物に合図をかけ、倒れていた女6人を退場させる。




「じゃあ、いくぞ!!」




おいおい、マジか!?


いきなり振りかぶられて拳を避ける

予測していた速さより随分早く、回避するにも無様に床に転がりながらの回避だ。




「お!いいね、私の初撃を躱すとは、流石教官に認められた男 楽しみだ!!」




更に灰崎からの猛攻、流石にまともにやったらこんな相手長くは持たない。

確かに拳士と言われている訳だ。異能使用時の月島にも匹敵する。月島がフェイクやその他の要素を身に付ければコイツみたいな化け物になるのだろう。

だが、技のキレで言えば絶好調の月島には劣る。

それが唯一の救いだな。




「本当にいいよ!!お前!!私とここまで打ち合えたのはお前が初めてだ!!!」



「それはそれは、ヴィスタ殲滅隊隊長の無敗拳士にそんな事を言ってもらえるとは光栄ですね」




この様子だとバトルジャンキーの部類に入るな。

それに打ち合うって言ったが、そもそも俺は反撃すらしていないんだがな。

まぁ、あからさまな隙をいくつか見せているが、これ誘いだよなぁ・・・それを踏まえて行動するまでだ。




「そこ!」



「それを待っていたよ!!!」



「はぁ・・・」




反撃に見せかけたフェイク、その反撃に合わせたカウンターが見事に不発に終わり、構えを崩す。

俺はその隙に額へデコピンをブチかます。


バチンッ!!!




「うごッ!?」




正直に言うとこのデコピンは月島ですら即効ノックアウトする品物だ。




「あ、ははは、今のは・・・効いたぞ」



「あの威力で軽い脳震盪のうしんとう扱いか、流石はエースですね」




内心はそうではないかと思っていた。

先程の威力では倒れないのではないかと、しかし、倒れる以前に片膝すらつかず、ただよろけるだけで済むほどとは予測していなかった。




「君の実力は理解した、随分と心身ともに研鑚しているのだな。では私の本気を出そう!!!」




確かに灰崎は未だに魔法を使っていない、いや、身体強化の類だと思い込んでいたが それは当てが外れそうだ。

何やら大きく構えを取る。

何かを打ち出そうとしている構えだ。

これで無敗拳士の能力が披露される。



構えてから間もない時間、3秒くらいだろうか。

灰崎の両手の間に何か渦を巻くモノが出現した。



何だ?あれは、見たことがない魔法だ。


俺はこの時点で防御を諦め、回避に重点を置くことにした。




「さぁ!!コレにどう対処する!!!!精々死んでくれるなよ!!!!!」




その掛け声と同時に俺に向けソレを打ち出す。


当然、余裕を持って回避するつもりだったのだが・・・




「ぐっ!?」




脇腹を掠めていた。弾道が太過ぎたのもあるが微妙に弧を描いて向かってきていた為、完全回避は出来なかった。




「ほぅ!!!今の攻撃ですら立っていられるのか!!!なら・・・モモちゃん、何のつもりだ?」




俺と灰崎との間に灰崎曰はくモモちゃんと呼ばれている女子がいた。




「残念ですが、遊びはここまでですよ」



「おいモモ、流石にお前でも私の楽しみを邪魔しようなら―――」



「知っているかどうかわかりませんが、アナライズした結果を言っておきます。彼は無能者ですよ」




その瞬間周りが騒ぎ出した。

それを伝えられて灰崎は固まっていた。




「待ってくれモモちゃん、彼はさっきまで私と戦い合えていたんだぞ?強化系の魔法か、異能を持っている筈」



「いえ、彼は魔法も異能も使っていません、使えないのですから」




そうしてやっと俺の方を向く。




「本当なのか?」



「ええ、俺自身そんな能力はありません、そしてアンタ 人様を勝手に覗き見るとはいい趣味してるな」




俺はモモさん?に向かって攻撃的に言葉をぶつける。




「っ!!・・・ごめんなさい」




俺が更に何か言おうとするが灰崎が先に誤解を正す。




「違う!モモちゃんの異能は確かに他人の能力や異能を調べる事が出来るが、それは本人の意思を無視して発動されているモノだ」



「常時発動型か、・・・それは申し訳ありません が覗いた事で手打ちにしてくれ」



「うん、でも驚いた。汐音先輩と生身で打ち合える人がいるなんて」




確かに先程の事が出来る奴はそうそういないだろう

言外に俺を化け物扱いしている事には気付いていないようだが




「あれくらいなら他に出来る奴は2人くらいいます」



「ほぅ、それは興味深い。ぜひとも教えてくれ」



「知人に迷惑をかける訳にはいきませんので」



「なるほど、要するに私は迷惑な女っていいたいわけだな?」



「では教えた場合どうしますか?」



「勝負を申し込む!!!」




俺は予想通りではあったが額に手をやる。

この様子ではこの人物のフォローするのは・・・




「ご愁傷様です」



「私に言わないでください」



「さて、もう帰るか」



「汗かいてるだろうしシャワー使っていく?」




僕ッ娘が気を使っていてくれるのか、そうでないのか分からない発言だな。




「いや、遠慮しとこう」




なるべく危険要素は無くしたい。

無敗拳士に目を付けられるという危険要素が出来たけどな・・・・

溜息出そうだ。

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