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それから俺は女子トイレから出ると僕ッ娘に赤城は居なかった事を知らせ、そして上司と連絡を取り、行動しろと命令した。

僕ッ娘は上司に連絡を取っていなかった事を思い出し、慌てて連絡を取りに行った。


まぁ、俺は自分で意図的に取り残されたわけだ。




「どうせ居るんだろう、なら役に立ってもらうぞ」




俺は窓の外を見遣る。

すると視線の先、草叢の中から顔を出したのは




「きゃんきゃん!!」




そう、あの子狼のヴィスタである。

それを窓を開け、迎え入れる。




「命令だ、赤城の匂い 又は嗅ぎ慣れない不審者共の後を追え」



「きゃん!!」




命令を下すと小走りで校舎の外へと向かう。

俺は携帯で研究所に連絡を入れながらその後についていく。


久しぶりに新しい試作品の実験台が出来たな。






その頃、シャル・ノーエルはべリア教官に連絡を取っていた。




「教官、至急報告する事があります」



『赤城の件か』



「知っていたのですか!?」



『前回シャル達からの連絡の後、連絡が来た赤城を捕えたと』




よく見ると教官の顔色が悪い。




『これから私は相手と交渉する』



「僕も一緒に――」



『それはダメだ、相手はお前では歯が立たない今は学校に、犬童君の近くにいなさい』



「何で?僕は僕たちはValkyrieの構成員なのに・・・」



『相手が悪い、お前とはとても相性が悪い相手だ―――暗殺ギルド 大蛇(オロチ)だ』



「ッ!?」




殺しを生業とする集団の集まりであり、相手が魔法を使える者であっても対象からは外れる事は無い

暗殺ギルドの中で最も魔法を使える者を殺めているのはこのギルドだと言われている。




「でも、何故彼のそばに居ろと言うのですか?」




確かに彼、犬童雅人は猛者である事は百も承知だが暗殺ギルドが相手では無理だ。

彼はまだ自分と同じ学生なのだから。




『そうだな、彼の近くにいるのなら知っておくべきだろう。今この政府で唯一活躍出来ている男性権力者 龍ヶ峰玄一 一時期その男が大蛇のターゲットにされた事が分かった』



「え?だったら・・・」



『その暗殺を阻止したのが彼だ』



「ッ!?」



『彼はそれどころか大蛇の構成員3人を捻じ伏せた、武器も無い無能力者がだ』




僕でも歯が立たない相手を彼が・・・




『それからなりを潜めていたが―――まさか今回はValkyrie(われわれ)がターゲットにされていたとは・・・』



「僕も何か出来る事は」



『今回のターゲットはValkyrieの構成員だ、お前まで捕まってしまうと身動きが取れなく・・・すまん 通信が来た また掛けなおす』




そうして教官との連絡は途切れてしまった。




「ほむちゃん・・・」






~べリアside~


そうしてべリア教官に連絡が掛かってきた

Valkyrie支部にある一室にディスプレイから映される




『やぁ、さっき貴女が言っていた捕虜よ』




そこには酷く暴行を加えられた赤城 焔がいた。




「赤城!!」




叫んだが、赤城は答える事は無かった。

それほどまでに酷い仕打ちをされたのだろう。




「マルガ・・・」



『ふん、ザマないね。アンタが手塩にかけた部下がこんな有様なんてね』



「やめなさい マルガ」



『いつまで教官面するのかしらね 今では私はこの暗殺ギルドを仕切る長よ』




このマルガという女性はこのシャル達を育てる前に教官として指導に当たっていた部下だ。

しかし、厳しい事に有名なべリア教官の指導について行けず脱落し、暗殺ギルドに身を落とした。

そこでなんらかの功績を勝ち取り、上にあがったのだろう。




『今この場で殺して差し上げましょう。べリアさんの見ている前でね』



「よせ!!」




唐突に映像が途切れた。

何が起こったのか理解できなかった。

しかし、このままでは自分の元に赤城が帰ってくることは無いだろう。




「こんな時どうすれば・・・」




動こうにも相手の居場所がわからない。

暗殺ギルドは名は知れ渡っているが、その実どこに拠点を構えているのか正確にわからないのだ。

こうして考えている間に赤城に危険が迫っている。


すると突然映像が回復した。

しかし、そこに映っているのは予想だに出来ない事であった。




『何故お前がここに居る!?』




映像からはマルガが何者かに怯えているようだ。

しかし、マルガ本人が邪魔で相手が見えない。




『――――――――』



『何を言っている!!我々はお前の邪魔をしたつもりは―――待て、お前の従えているソレは―――』




そこで映像にノイズが走り、画面が割れたかのようになり、映像は途切れた。

しかし、そのノイズと映像が途切れる前に見えてしまった。



マルガの首が落ちる様を




「何がどうなっている!?」




訳が分からない、赤城を捕え、殺そうとしたマルガが殺された。

理解が追い付かない。

だが、マルガ以外にもそこには赤城は居る筈なのだ。

ならば危険な事は何ら変わりない。


とにかく、暗殺ギルドの場所を特定する為、町の監視カメラの映像を手配した所にまたシャルから連絡が来ていた



side out





~半時前~


俺はとある組織を壊滅させた後、赤城を回収

現在 学校に向かっている。




「一応、お前との連携訓練をしてはいたが・・・相手側が役不足もいい所だったな」



「きゃんきゃん!!」



「下調べで暗殺ギルドだと判明してから少しは期待していたんだがな・・・しかし、暗殺ギルド以外の奴がいたのは意外だったな」




無意識で溜息が出てしまう。

暗殺ギルドに居た人数は100足らず程だったが、どうやらヴィスタとの戦闘は不向きな連中であったのだろう。

その中に明らかに暗殺ギルドではない者がいた。

ヴィスタが食ってしまったから相手が誰だったのか調べようは無い

きっと、Valkyrieに強襲依頼したのはそいつ、又はそいつが所属している組織だ

まぁ、証拠らしき物は手に入ったし、それ以外の事は今となっては調べる事も不可能となった。


そこからは人に見つからないように学校に到着した。




「暗殺ギルドで暴れるより見つからないように帰還する方が骨だったな」




とりあえず、僕ッ娘を呼び出す。

一限の終わりなので数分後には俺の元に来た。




「どこ行ってたの?急にいなくなるし。それに何で組織から支給された連絡機器の番号知ってるの?」



「その機械自体が龍ヶ峰の持つ研究所で作られた製品だからだ、前回製品番号を調べれば番号くらいは余裕で調べられる」



「うわぁ・・・」



「そんな事はどうでもいい、今すぐ上司と連絡を取れ」



「え!?でも今教官は交渉を――」



「それにもう意味は無い、いいから連絡をしろ」




既にその組織は存在しないのだから




僕ッ娘が連絡の最中おどおどしていたので通信機を取り上げる。

その頃に丁度出たようだ




『すまないシャル、今忙しいんだ また後で連絡――』



「俺だ、問題は解決したから赤城を回収しに来てくれ」




俺のその言葉に横で聞いていた僕ッ娘が騒ぎ出す。

落ち着けと促すが一向に収まる様子がないので



ゴッ!!




「あぅっ!?」



「落ち着けと言ったのが聞こえなかったのか?」



「うぅ~~」




頭をさすりながらこちらを涙目で恨めし顔で見てくる




「言葉はかけたし、騒いだところで何も得する事はないだろう?」




それほど強く殴った訳ではないのに何をそこまで怒っているんだか




『赤城の回収という事は、君が暗殺ギルドに乗り込んだのか!?』



「ええ、実は彼らがヴィスタを鹵獲したという情報を得ていましてね、見学ついでに赤城の救出した」



「暗殺ギルドがヴィスタを鹵獲!?」



「それってここで現れたヴィスタの件だよね?」



「ああ、そうらしいが・・・気付け」




俺はまたポカリと僕ッ娘の頭を叩く。




「あぅ!?―――何で叩くかなぁ~?」



「学校に出現したヴィスタの件は箝口令が敷かれている筈だ、普通に喋るな」



『確かに彼の言っている事は正しい 機密事項の漏洩(ろうえい)は処罰の対象だ、で犬童君 君は何故この事を知っているのか答えてもらおうか』



「これでも龍ヶ峰当主に仕えていた時期がありまして、貴女方なら龍ヶ峰と暗殺ギルドとの騒動があったのは把握している筈だ」



『確かに龍ヶ峰の事は前々から調べていた その騒動の事も調べはついてある』




だろうな、唯一の男性権力者に暗殺を仕向けた相手がいる。

それが何処の誰なのか、そちらも調べはついているのだろうか?

まぁここでは言わなくてもいいだろう




「それなら察しはつく筈、暗殺ギルドの動向は元々調査させてあった。龍ヶ峰家から情報をもらっていても不思議ではないだろう」



『そうか、それでヴィスタはどうなった』



「暗殺ギルドで一通り暴れ終わったら闇に消えたよ、俺はうまく隠れてやり過ごしただけだ・・・俺以外にも誰かいたようだがな」




実際に誰かいたのは事実だ。

ヴィスタが勝手に食い殺してしまったが、俺には関係ない事だ。




「それより赤城の怪我の容体からして早く回収する事を勧める」



『そ、そうだな、早速手配しよう』




そういうと通信が切れた。


しかし、そうだなとはどういう事だ?

俺はさっき赤城は怪我していると言った しかし、それに驚いた様子は無く慌てただけだ。

もしかしたら、あのクズを始末した時の電子音 通信関連だしたら・・・

俺とヴィスタの共闘がバレた可能性がある。

・・・いや、あの反応だとそれは考えにくい。




「ねぇ、ねぇってば!!」



「ん?なんだ」



「ほむちゃんは無事なの?」



「命には別状はない」



「よかったぁ・・・」




今まで心配していたようだ。

緊張の糸が切れたのか地面にへたり込んでしまった。

この場面を第三者から見たらどう思われるだろうか・・・

俺が悪者で、僕ッ娘は被害者。

更に見方に寄れは 俺が泣かしたかのように見えなくもない




「雅人!!」




本当にお前は面倒なタイミングで出てくるよな。




「どうした月島」



「どうしたじゃない!!シャルさんに何をしたんだ!!」



「あ~・・・何も?」



「あ、あのね 月島君」



「シャルさんは下がって」




被害者である僕ッ娘の話を聞かない時点でコレはお前の独善なんだが・・・本当に進歩の無い奴だ。




「すまないが―――」




俺は月島の腹を殴り、首に手刀を入れて黙らせる。




「今は虫の居所が悪いんだ」




僕ッ娘は口に手を当てて声を抑える。




「あの月島君が一瞬で・・・」




僕ッ娘も月島と模擬戦をやったことがあるから実力は知っていただろう。

月島は確かに強い。昔の俺では全くもって相手にならなかった。

ならばどうするか それは簡単だ。

実力を発揮させずに倒せばいい。




「正直、コイツに物事を言う事に疲れた」




俺は月島を引き摺って場所を移動させる。

それについてきた僕ッ娘。月島の引き摺った先にはボロボロの赤城が倒れていた。




「ほむちゃん!!」




僕ッ娘が赤城に近づくが俺はそれを止める。




「落ち着け、あまり身体を揺するな 今のソイツの身体に負担を加えてやるな」




僕ッ娘は納得したのか、コクリと頷いて赤城のすぐ横に座る。

赤城の怪我は見るに痛々しく、かなりの暴行を加えられていた事が窺える。

俺は言葉をかける事もなく時間が過ぎてゆく。

暫くすると、僕ッ娘の通信機に着信が入る。




「教官、はい。はい、今は校舎裏に居ます」




俺が校舎裏を選んだのはただ単に人目がないからだ。

多分コイツ等の上司が学校に到着し、公に出来ない事からか呼び出しの類だろう。

僕ッ娘はすぐに通信は切れた。




「正門前にいるから来てくれだって」



「そうか・・・・月島(コイツ)どうしよう」



「・・・連れてく?」



「俺は構わんがそちらにとっては少々問題ありだろ。・・・置いてくか」



「置いてっちゃうの!?」



「連れていけないなら仕方ない、教室に放り込んでおけば問題ないだろ じゃあ、俺は月島を教室に置いてくから赤城を運んどけ」




俺は月島の足を掴み、引き摺りながら教室に向かう。




「あ、あはは 犬童君は本当に月島君には厳しいね」




こちらに聞こえてはいたが、返答するのも面倒なので無視した。

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