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時間を食べるバク  作者: 花咲 潤ノ助、檜慈里 雅(リレー小説)
1/50

1 初飛び (花咲)

 この作品は、Twitterのやりとりの中で生まれました。


 檜慈里の「時間を食べるバク」という題の小説をお互い書いてみてはどうか?という案に、花咲氏が「リレー小説」の形を思いついたことで始まります。


 奇数話は花咲潤ノ助氏、偶数話は檜慈里雅が担当しています。一話あたり1000字を目安に、作者交代します。





「私が言っていることはおかしいのでしょうか。それならそうと、はっきり言ってください」




 ……私がこの話をするのは、これで一体何度目になるだろうか。みんな全然分かっていない。


 こうしている間にも、得体の知れない魔物に、私たちの時間が食べられているということを。




 私が最初にそれに気づいたのは、もう20年前のことになる。


 その日、私は友人の家でPCゲームに興じていた。


 私たちはこの時、正に就活の真っ最中だった。二つ上の先輩からは、就活なんて適当にやってれば内定なんて取り放題、内定者全員でグアムに行った話や、豪華なホテルでの顎足付のパーティの話ばかり聞いていた。


 就活なんてそんなものなんだ、と高を括っていた。それが湾岸戦争そしてバブル崩壊を経て、時代が変わる。


 一こ上の先輩の苦渋の就活を間近に見て、我らが三流大学の実力を痛感し、同じ轍は踏むまいと早々に始めた会社訪問だったが、既にその数が30社を超えたにも関わらず、未だに内定はなく、それどころか一次選考通過の知らせさえない。


 もういい加減嫌になった、と天を仰いでいた駅で、同じくスーツを着こんだこの家の主・高森とバッタリ会った。


 同じ境遇。同類相憐れむ酒をあおり、ここになだれ込んだという次第だ。




 時間は深夜2時。酔ってもいたし、多少の眠気もあった。


 しかし私は腕時間の針が30分一気に動くのを、間違いなく目撃した。


 慌てて「あれ、高森、今何時?」と聞くと、


「ああっ?時計見ながら聞くなよ、2時半」と高森が答える。


「いや、ついさっき2時だったよね?


今、俺の時計の針が30分一気に動いたんだけど、何でお前の時計も2時半なんだよ」


「何言ってんの。ああ、さてはお前、落ちてたな?」


「違う違う、だって、俺見たんだよ。時計の針がグググって30分動くのを」


 電波時計が実用化される以前の話。腕時計が手動以外でグググと動くなんてことはなかった。


 しかし、それはお前が知らない内に眠っていたのだよ、と高森に再三諭されて、そうだったのかも知れないなと、その時はそれで納得するよりなかった。




 それから暫く、訪問先をひとつふたつと潰しながら、相変わらずまったく手応えのない日々を送った。


 あの時は高森の手前納得したことにはしたものの、自分自身合点がいったというわけではなく、気になって腕時計を頻繁に見てはいた。




 しかし、あれ以来グググと動くようなこともなく、すっかり忘れかけていた2週間後。


 時は、突然動いた。




 ほぼ何の打ち合わせもなくリレーしていっておりますので、多少の設定矛盾やキャラクターのブレはあるか……と思います。(出ないように頑張ってますが!)


 それもリレー小説の楽しさとして、お読みいただければ幸いです!!

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