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メビウスリング  作者: 楓海
4/11

堕ちていた男

 楽しんで読んで戴けたら嬉しいです。

 雨が夜の街を濡らしている。


 倖広は道端に伏して倒れていた。


 酔っ払った男が倖広に(つまず)き転びそうになって怒り出した。


「酔っ払いが、こんな処で寝てんじゃねえ!! 」


 男は倖広の腹や脚を容赦無く蹴飛ばした。


 倖広は眼を覚ました。


『誰だあ…………………?

 オレを蹴飛ばしてる莫迦(ばか)野郎は…………………』


 倖広は足首に隠し持っていたナイフを握ると男の頸動脈(けいどうみゃく)目掛けてナイフを振り回した。


「痛えんだよ、このタコ!! 」


 ナイフは鈍い音を立てて男の首を裂き、血が()き出した。

 見事、動脈に命中したようだ。


 男は地面に倒れると身体をヒクつかせ痙攣(けいれん)していた。


 倖広は立ち上がり辺りを見回そうとして咳き込み眩暈(めまい)にふらついた。


『あの角野郎、はったりか…………………

 何も忘れてないぞ』


 額に手を当て軽く咳き込むと歩き出した。


「……………ったく、ここ何処だよ?

 身体(だる)いし……………………」


 倖広はフラフラと当ても無く歩いた。




 その夜、理舞(りぶ)はついていなかった。


 この街で、大きな高級クラブに勤めている理舞は人気のあるホステスだったが、残念ながら可成(かな)りのドジで、今日も客の脚に水割りを(こぼ)してママに叱られ、帰りには雨に降られると云う、つきの無さだった。


 理舞の口癖は「どっかにいい男落ちてないかなあ」で、嫌な事があるとその口癖を呪文の様に口にするのだ。


 雨が上がり、コンビニの前を歩いていると理舞は溜め息をついて言った。


「どっかにいい男、落ちてないかなーぁ」


 街路樹の傍に倒れている男を見つけて理舞は絶句した。


『うそお……………………………』


 理舞は倒れている男に近付くとしゃがんでマジマジと男を見詰めた。


 男は十八、九くらいだろうか、きりっとした(まゆ)の下にキレイな二重(ふたえ)と長い睫毛(まつげ)を閉じ、真っ直ぐ伸びた高い鼻、薄い口唇を結び、何処か女性的で柔らかな面立ちをしていた。


 理舞は思わず言った。


「落ちてた、いい男………………………」


 理舞は(しばら)く男に見とれていたが、ハタと思い立って道路に出てタクシーを呼び止めタクシーの助手席の窓を叩いた。


「運ちゃん、運ちゃん、手伝って!

 連れが倒れちゃったのよお」


 タクシーの運転手は車を降りると倒れている男を抱き起こし、胸に腕を回し車に運んだ。


 マンションに着いてもその調子でタクシーの運転手に男を部屋のベッドまで運ばせた。


「運ちゃん、有り難う」


 理舞が運転手にチップをはずむと運転手は喜んで帰って行った。


 食器棚の引き出しから体温計を探し出すと男の(わき)()した。


 体温計が鳴るまで理舞は、男が寝ているベッドに頬杖をついて男を(なが)め考えていた。


『何処の誰なんだろう?

 なんで、あんな処に落ちていたんだろう?

 もしかしてサンタクロースのプレゼント? 』


 今は秋である。


 煙突も無い。


 体温計のアラームが鳴った。


 理舞は体温計を男の脇から取り出して見詰めた。


「わあ、四十度近い…………………

 ひどい熱…………………」


 理舞は氷枕を作って、男の頭の下に敷いた。


 着替えると雨で濡れた髪をタオルで拭いた。


『冷たい…………………………

 寒い…………………………』


 男は眼を覚ますと同時に起き上がり、構えて理舞を見()えた。


 理舞はその様子を見て驚いた。


『野性的防衛本能ですか………………………』


「誰だ

 お前…………………」


 男は低い声で静かに言った。


 理舞は髪を拭きながら答えた。


「それ、こっちのセリフ

 こんな夜中にどうして、あんな処で倒れてたの? 」


 男は一瞬、大きく眼を見開くとベッドに足を降ろし、座り直して言った。


「解らない」


 理舞は笑った。


「ちょっと、止めてよお

 安物のサスペンスドラマじゃ無いんだから

 ここは何処?

 私は誰?

 なんて言わないでよ」


 男は理舞を見上げて言った。


「ビンゴ、正にそれ…………………」


「えっ、マジで? 」


 男はフラついたのか、額に手を当て(うつむ)いた。


「あ、莫迦ね

 四十度近い熱あるんだよ」


 理舞は優しく男を寝かせた。


「熱のせいだよ

 風邪が治れば思い出すよ、きっと………………………」


 男は理舞の手首を(つか)んで引き寄せた。


 理舞は軽く怒って言った。


「嘘付いたな、こら! 」


 理舞は男を見詰めた。


 男は全身を震わせていた。


「震えてるの? 」


 男は理舞の身体を抱き寄せると理舞の身体ごと回転し身体を重ね、首筋に口唇を()わせ始めた。

『不安なんだ………………………

 こんなにすがる様に求められたら、抵抗できないじゃない……………

 ほんとワタシってお人好し…………………………』


 理舞は男を抱き締めた。


 男は理舞を抱きながら、心の底から()き上がる不思議な安心感に満たされていた。





 読んで下さり有り難うございます!

 やっとヒロイン登場です!

 ここまで長かった。


 ヴィジュアル系の雑誌がまた一つ休刊になりました。

 これで三冊目。苦

 別の雑誌を買ったら、私の大好きなDIAURAの達也さんがめっちゃカッコいいグラビア特集してました。

 達也さん美し過ぎる!

 笑うと、めちゃくそ可愛いんです!

 私ゃ、達也さんが叩くドラムのスティックになりたいです。(いい年して、何言ってんだか。)

 それでは、また明日。

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