早久代
残虐な表現満載です。
数年の歳月が流れた。
季節は秋を迎え、閑静な住宅街は眠り、静まり返っていた。
早久代は聴き慣れない音に眼が覚めた。
消した筈のスタンドの電気が点いている。
良夫の孝輔が起きたのかと隣のベッドを見ると、そこには小銃を構えた黒づくめの男が立って、早久代に狙いを定めていた。
成長した倖広である。
早久代は小さな悲鳴を上げた。
倖広は黒い布で鼻と口を隠していた。
「安心しろ、旦那は無事永眠した」
倖広は口で小銃を咥え、恐怖で身体がすくんでいる早久代の手足をガムテープで縛り上げ言った。
「ナイトテーブルに顎を載せて、舌出しな」
早久代は震えながら従った。
倖広は早久代の舌を、皮の手袋を着けた親指と人差し指で掴んで、七、八センチある釘で思い切り刺し、小銃でナイトテーブルに打ち付けた。
早久代の人間離れした叫びが轟いた。
パタパタと娘の絵美里が部屋に近付いて来る音がしてドアが開いた。
「お母さん、今の何…………………? 」
『絵美里!
来ちゃ駄目!!
逃げて!! 』
舌を釘で固定された早久代は呻いた。
『お願い、娘だけは…………………! 』
しかし、倖広はベッドに手をついて飛び越えると、絵美里に飛び掛かり口を押さえて床に押し倒し、ベッドに転がっているクッションを掴んで絵美里の顔に押し付け弾きがねを引いた。
絵美里は悲鳴を上げる事も無く、ぐったりと床に貼り付いた。
倖広は死んだ絵美里の髪を掴み引き摺って孝輔の上に放った。
早久代の眼の前に愛しい家族の死体が積み重なり、絵美里は眼を剥き酷い形相をして死んでいた。
早久代はいたたまれず眼を硬く閉じた。
『どうして………………………?
どうして、こんな酷い目に……………………………? 』
倖広は言った。
「ハンニバル・レクターも大絶賛の仕事振りだね
残念ながらオレには死体を喰う趣味は無いけどね」
倖広は笑った。
「あんたんとこの娘、まだ餓鬼だったんだな
あてが外れて、がっかりだよ」
早久代は渾身の恨みを籠めて倖広を睨み付けた。
『この男……………………………憎い!! 』
孝輔のベッドに腰掛け倖広は言った。
「おばさん、いい眼してるじゃん」
早久代は全身全霊を籠めて願った。
『神よ………………………
いいえ、神は許すだけ
悪魔よ!
この男に永遠の…………………………
永遠の地獄を………………!! 』
「観覧ご苦労さん
アデュー……………………」
倖広は娘の血に染まったクッションを早久代の顔に押し付けた。
早久代の視界は塞がれた。
『悪魔よ!! 』
早久代の額に倖広は弾を撃ち込んだ。
『悪……………魔…………………………………』
読んで戴き有り難うございます。
今回、残虐なシーンで書き応えありました。
倖広の残忍さが上手く伝わると嬉しいです。
活字中毒の娘に、このシーンはなかなかOK貰えなくて、結構書き直しました。
楽しんで戴けたら嬉しいです。
活字、書くのは好きなんですが、読むの苦手で
マンガとかもネーム多いと萎えます。
サスペンスは好きなのですが、頭悪くてなかなか書けなくて哀しいです。
また雨の災害が猛威を奮ってますが、皆さん大丈夫ですか?
夜中起きてると身体悪くします。
ご自愛下さい。
それではまた明日。