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再会の時

「はやく、助けを……誰か……」


運良く倉庫から逃げ出したリソラだったが、嗅がされた薬品の効果が効き始め、朦朧とした意識の中で必死に助けを求めてさまよっていた。


「だ、れか……」


必死に前に進もうと歩みを進めるが、不意に視界が途切れ、意識を失ったリソラはそのまま草むらに倒れてこんでしまった。

幸い、倒れた場所が暗がりで、後から探しに来た男たちに見つかる事はなかった。



・・・



しばらくして目を覚ましたリソラは飛び起きた。


「……まさか、私眠って……!?」


辺りを見渡し、自分が草むらで眠っていたことに気づいたリソラは青ざめる。

せっかくのチャンスを無駄にし、二人を助けられなかった事実を目の当たりにして、凄まじい後悔に襲われた。

リソラは近くの窓から倉庫の中の様子を伺った。


「誰も、いない……二人はどこに……」


リサラ達の姿が見えず、不安を覚えたリソラはフラフラとした足取りで、倉庫の中へと戻っていった。

まだ薬が抜けきっていないのか、ひどく身体が重い。それでも二人の姿を探して、歩みを進める。何も出来なかった後悔に涙が溢れて止まらない。それは、悲しみよりも不甲斐ない自分に対しての怒りだった。


「リサ……アーくん……どこ?」


誰もいない部屋の中を見渡し、名前を呼ぶが返事は返ってこない。

先程まで二人がいた場所には、ひどく踏み荒らされ、アークが噛みちぎった男のものであろう血液がそこら中に飛び散っていた。

そして、その血まみれの床に自分達の荷物やアークのフードが散乱していた。


「うっ……ううっ……」


リソラは膝から崩れ落ち、嗚咽を漏らした。


「大丈夫か!?」


突如、倉庫に響いた声にリソラは驚き、振り向いた。


「だ、誰……?」


そこに立っていたのは黒い仮面をした男だった。リソラはトリオンの仲間が戻って来たのかと思い、思わず身構えた。


「君は、前に市場で会った子だね」


後からやってきた別の人物がリソラの顔を見てそう尋ねた。


「……あなたは、あの時の!」


そう言われて、市場で助けてくれた人物である事にリソラは気づいた。


「あ、あの! お願いです……!」


リソラはカバンから小さな袋をとりだし、中に入っていたお金を床にぶちまけた。


「今はこれだけしかありませんが、足りない分はあとで必ず払います!」


もうなりふり構ってはいられない。一刻も早くリサラ達を助けなくては。

そう決心したリソラは二人の男性に頭を下げた。


「どうか力をかしてください! どうか、どうかお願いします……!」


リソラは必死で頭を下げ続ける。


「ちょっと待て、少し落ち着け!」


突然の事に、小柄な人物が慌てて制止したが、リソラはそれでもなお頼み続けた。


「どうか、リサとアーくんを……! 私の、私の家族を助けてください!」


自分の無力さにはとうに気づいている。自分1人ではリサラたちを助ける事が難しい事も。

知らない世界で、頼れる人もいない今のリソラには彼らだけが救いだった。


「どうか、どうか……!」


リソラはただひたすらに頭を下げ続けた。

この続きは、冥府の剣へと移行します。

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作品的にはどちらから読んでも大丈夫なので、よろしければこちらの作品も読んでいただけると幸いです。

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