②会議
綾と会うのは2カ月ぶりだ。クラスが違うこともあり、彼と話す機会サークルを引退してしまった今はなかなかない。
待ち合わせのカフェで悠人は話す内容をまとめながらゆっくりと彼を待つ。
綾は相変わらず30分遅刻して現れる。
早速悠人は仮想通貨の話を始める。
「綾、お前一時期仮想通貨にハマってたよな。ネットで仮想通貨って自分で作って売れるって聞いたのだけど、やり方しってるか?」
綾は少し驚いた顔をしながら返答する。
「え?お前今更仮想通貨かよ。俺が話してた時に一切興味持たなかったじゃん。それに作るって、お前作りたいの?」
彼の返答を聞くや否や、悠人は自身の構想を切り出した。美術に関する仮想通貨をつくろうとしていること。そして、それを使えるコミュニティを作り上げること。のちのちは展覧会にそのコインを導入したいこと、考えていたことを全て打ち明ける。
少しの沈黙のあと、綾が口を開く。
「それだったらトマトエクスチェンジだな。」
「トマトエクスチェンジ?」
「ああ、トマトエクスチェンジってのはマイナー仮想通貨が最初に上場する、海外の取引所だよ。登竜門みたいなとこだ。」
綾によると仮想通貨を使うコミュニティを作りたいなら、まずは通貨をトマトエクスチェンジに上場する必要があるという。またそのための上場資金と、公式サイト、ファンのコミュニティが必要だという。
「それと本気なら数人のチームをつくってやるべきだな。俺とお前とまゆみ、3人じゃむりだろう。サイト作れたり、語学に強いやつも必要だ。あと、まゆみ以外の絵がかけるやつもな。しっかりとビジネスモデルを組みたてようぜ」
綾は微笑みながら、続けて悠人にそう言った。