エピローグ
まゆみの描く美人画は素晴らしい。弱々しく儚げであるが凛とした強さがある。
彼女の絵は単に美人というだけでなく、人を惹きつけるものであった。
しかし、その素晴らしさとは裏腹に彼女はあまりに無名だった。そして、今金銭的な問題で芸術家を諦めようとしている。
親友である悠人はこの状況をどうにか出来ないかと悩んでいた。いや、彼女だけでない。素晴らしい絵を描くのに、評価されない芸術家は沢山いる。
芸術に対する評価は低い。いや、高尚であるからこそ、一般に浸透しないのかもしれない。
萌え絵的なイラストが多くの人に受け入れられる中、まゆみの美人画は一向に評価されなる事なく、消えて行こうとしていたのだ。
彼はこの状況をどうにかしたかった。なんか彼女の絵を、世界に浸透する方法はないだろうか。芸術を一般レベルにも広められないのだろうか。
そんなことを考えながら、テレビを眺めていると一つのCMが目に入った。
それは一時期話題になっていた、仮想通貨のCMだった。
悠人は思った。仮想通貨を使って芸術を一般レベルまで浸透させる事ができるのではないかと。
そして、まゆみが絵を描くことを続けられないだろうかと。