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筋道日(きんどうにち)  作者: 信条 真也
20/22

第三章③:一彈闘舞(いつだんとうま)

まさかの一日3本目

 真也が中学三年生になった時、特別教室にて出会った意気の良い後輩の涼太りょうた深谷ふかやを一方的に打ち倒した。その直後、真也に稽古をつけてもらうことで一層喧嘩への熱に拍車が掛かった。

 その月の間、涼太は近辺の中学校で以前真也が暴れまわっていた北都中や南都中といった各地に襲撃をかけて制圧していった。それらは凡そ一週間毎、1箇所潰す度にその翌日に特別教室へ赴いて報告していた。そういった行動に真也は感心する。


「どうだった、相手は?」


「いや、もう楽勝でしたね! とにかくもう先制で打ち込んで、金的かロウキックを入れて顔面に乱れ打ちしてれば普通に勝てたんで」


「相手の体型は?」


「まぁ、僕と同じくらいでしたね~」


「あぁ、それなら問題ないけど、今後絶対に強敵が出てくるぞ? お前は、その身長でその体型なんだよ。160cmくらいしか無くて、気合いは入ってて肉付きも良い、筋肉の質も密度も良い、そして持久力が高い。だがな、お前が体重差で持ってかれる可能性があるってことを俺には予想出来る」


「押忍ッ!!」


「だから、その訓練を俺がつけてやろうかと思ってるんだけれども……。今それを教えたら、きっと楽な道をお前が進んでしまう。人間誰しも壁にぶつかることはある、俺も何回もブチ当たってきた。だから、何もヒントを与えられずにそこを突破する気構えでやっていってほしい」


「ゥ押忍ッ!!」


「あれだろ、連絡来たぞ? あの神崎 照幸(ゾンビ野郎)が出てきたんだって?」


「そうなんすよ!! 神崎先輩出てきちゃって……!」


「あいつはホント危ねぇから……頭ラリってっからさ、気持ち悪かっただろ?」


「超怖かったっす……。でも、先輩の名を出したら“あぁ、なんだ束岡の後輩か~。うちはうちでそんな大したこと無いからさ”って楽しい話をしてくれました」


 そうして涼太の活躍で特別教室の中は日々賑わっていたのだが、その特別教室というのは本来、後輩が入ってはいけない場所とされている。教師から、絶対三年生には近寄らぬようにと下級生達は釘を打たれているらしい。だが、涼太だけはそれもお構いなしに、憧れの先輩である真也を目当てにしょっちゅう特別教室に足を運んでいた。


 真也達は三年生になって直接喧嘩する機会も無くなっていた為、色恋沙汰に興味を持ち始める。その頃から真也は“サムライ”と“ウルトラマリン”いう名の青色の瓶に入っている香水を各々でよく付けていた。涼太もゆくゆくその香りを気にするようになっていく。


「束岡先輩! つかぬことをお聞きしますが……煙草の臭い、この部屋凄いじゃないですか? でも束岡先輩の近くに来ると何かスッキリとした、甘い香りなんですけど匂いがして……なんか凄く僕もその香り好きなんですよね~」


「ふむ、これ“サムライ”って香水付けてんだよ」


「“サムライ”……名前がカッコイイですね!」


「カッコイイだろ? 涼太これ買うと高ぇから、中学生で買える金額じゃねぇからさ~。涼太んところもあれだろ? 聞いたけど日立ビルシステムの下請けをやってるんだろ?」


「はい!」


「お小遣い貰えるかもしんねぇけど、たかが知れてるだろうからさぁ中一じゃ。俺がアトマイザーに入れて持ってきてやるから、それやるよ」


「あ、ホントですか!? ありがとうございますッ!!」


 涼太は歓喜に震える。


「今後もさぁ、好きなようにやりな。ただし、ギャラクってとこにはなるべく行かない方がいい。行くんだったら俺と一緒に行こう、あそこ行って下手こいたらまずヤバイことになるから本当に……。あそこは、とんでもない竜村先輩がいるから。竜村三兄弟やべぇからよ……、あそこだけはただの徒党じゃねぇから、それだけは言っとくからな? ちゃんと覚えておけよ?」


「押忍ッ!!」


「ギャラク付近にいる奴等と喧嘩する時はちゃんと俺に連絡しろ、分かった? 他ん所には気にせずやっていいから。あと、デコ助に会った時の対策とかも色々教えてやっから、ちょくちょく来いよ?」


「押忍ッ!!」


「んで、俺らダイサン溜まってっからいつでも仲間連れて遊びに来いよ。その代わりワンバンで負けた奴の罰ゲームは肩パンとか肩蹴りとかケツ蹴りとかすごいよ? それでも良い? それでも一緒にやって遊ぼうぜ!」


「是非行かせていただきますッ!! 良いんですか行っても!?」


「いいよいいよ、皆であそぼ? ギャラクに溜まってるアイツ等も、皆そうやって上下関係無く仲良くしてやってるから、うちらもそうやって仲良くやっていこうよ」


「では、是非後日伺わせていただきますんで!」


 そうして涼太は意気揚々と一礼を交わし、特別教室を出ていった。



 そして真也達はその後、学校終わってダイサンに溜まっていつものように遊んでいた。しかし、なんとそこへ涼太が話をした当日にも関わらず4人連れて現れたのだ。その事に真也達は笑い転げる。


「後日伺いますとか言っといて、速攻で来てんじゃねぇか!!」


「すいません、遊びに着させていただきやしたぁッ!!」


「お、おうし、んじゃ涼太、何やろうか?」


「そうっすね~」


「んじゃ取り敢えずワンバンな? うちら今10人くらいでやっててーー」


「涼太来たのか~? おう涼太じゃん」


 入り口付近で駄弁っていると創が近寄ってきて、笑いながら涼太に言う。


「お前何、ワンバンやんの? 死んじゃうよぉ~? 知らないよぉ~? 知らないかんね~お前ぇ?」


「大丈夫です! 僕らも溜まり場でワンバンやってたんで! 僕らもワンバン大好きでやってたんで、一緒に参加させていただいてもよろしいですか!?」


「おう、んじゃやるか!!」



つづく

今回はいつもよりかなり短いですが、次話の更新は多分ここに載せるかもしれません。



次回もお楽しみに!

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