1-9 ポイントマン、ウォーカー
戦いを書くのってムズイ
とりあえず、アントの巣の前まで来てみたが見た目は完全に洞窟の入口、というかダンジョンの入口って感じだ。
「うーん、どうしたものか。」
リーエンフィールドに弾を込めながら呟く。
閉所での戦闘、いわゆるCQBなのだが、今の装備でそれを行うのは少し難しい。
一般的なFPSをやったことがある人ならわかると思うが、狭い場所での狙撃銃を扱うのはほぼ不可能だ。
サイティングして精密な射撃をしようにも倍率スコープではサイティングしたまま動けない。
ぴんとこない人には双眼鏡をのぞき込みながら家の中を自由に歩けるかと考えてみると良い。
ただまぁ、どのFPSにも突撃スナイパー(通称凸砂)がおり、俺はそれがあまり好きではないのだが。
しかし、このゲームはFPSよりもサバゲーなどに近い。
サバゲーなどをやったことがある人からすれば、閉所で倍率スコープを使うことには大して問題は無い。
理由は簡単でスコープを覗き込まず、サイティングせずに大まかに撃てば人間大の大きさのものには簡単に当たる。
今回のアントも人間より多少小さいが、腰撃ちで十二分に当たるだろう。
では、何が難しいのか?
それは、「取り回し」だ。
リーエンフィールドの全長は44.5インチ、1130㎜もの長さがある。(M4カービンで840㎜ほど)
滅茶苦茶取り回しが悪い。
学校にある箒とかよりも長いものを肩に当て、常にその先端を敵の出てきそうな方向に向けながら歩く。
しかも銃口などが角から出ていると、相手の気取られてしまうため銃の先端にまで意識を集中させなければならないのは、はっきり言って滅茶苦茶大変なのだ。
たまに銃口をどっかにぶつけちゃうし。
では、ショットガンを使えば良いのでは?と考えるが、今ショットシェルは3発しか残っておらず、しかもM30はダブルバレルタイプである。
1度に2発しか撃てないと言うことは、1度の戦闘で2体以上出てきた時点で詰みなのだ。
ちなみに、M10拳銃はもはや論外。早く45口径を撃てる拳銃が欲しい。
「よしっ!」
腹をくくってリーエンフィールドを構えながら洞窟へ入る。
念のため背中にはスリングでM30ショットガンを背負っていく。
鬼が出るか蛇が出るか、はたまた大量の蟻人間か大量に出てくるかはわからないが、気を引き締めていく。
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洞窟内は光るキノコが辺りに生えており、十二分に明るい。
いつ会敵しても良いように、リーエンフィールドを構えながら進む。
すると、ふと視界の端に大きめのいくつかのキノコがキラキラと光っているのが見えた。
十分に回りを警戒しつつ、キノコを毟っていく。
四回ほど毟ったところでキラキラしていたエフェクトが無くなった。
「なるほど、これが採取か……。」
発採取に謎の感動を覚えつつも、何がとれたのかわからないと少しモヤモヤするな、とも感じてしまう。
そんなことを考えていると、洞窟の奥の方からカサカサと足音がする。
そちらに意識を向けると、三体のアントが槍を持っているのが見える。
まだこちらには気がついていないようなので、よく狙いをつける。
しかし、距離が近すぎるせいかスコープいっぱいにアントの顔面が映し出される。
そのままトリガーを引きダンッ!と銃声をならす。
そこで1体がダウン。
攻撃に気がついた2体のアントがこちらにかけてくる。
素早くボルトを引いて次は銃の横に顔をつけ、大まかに狙って撃つ。
ダンッ!
2体目のアントの胸に弾着しポリゴンの欠片になる。
洞窟内に反響する銃声に顔をしかめつつ、すぐさまボルトを引いて3体目のアントに狙いをつける。
が、もうアントの攻撃範囲に入っており、槍を素早く突いてくる。
穂先を大きく後ろにジャンプすることで回避してわずかでも距離を稼ごうとする。
大きくひいたことによって出来たわずかな、そして貴重な距離を無駄にせず、すぐさま発砲する。
ダァンッ!
しかし、無情にも弾丸はアントのわきを掠めて洞窟の地面にわずかな土煙を上げるにとどまる。
「nuts!」
最大級の悪態をついてリーエンフィールドを放して、背中に背負ったM30の銃口をアントに向ける。
バスンッ!
リーエンフィールドとは違う銃声をあげて、飛翔する無数の軟鉄はアントの頭に集中して弾着した。
そしてアントのHPを即座に0にし、鼻の先まで迫っていた槍もろともポリゴンとなって散っていった。
△△△△△△
蟻人間の外殻×2
蟻人間のフェロモン×1
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ちなみに「nuts」は頭のおかしい人を指すスラングですので、悪態ではないです。