1-7 狙撃手、ウォーカー4
「そういえばさっきのおっちゃん名前聞くの忘れてたな」
さっそくさっき買ってきたフラッシュハイダーをリーエンフィールドに取り付けながらそんなことを考えて町を歩いているといつの間にか南の門の前まで着ていた。
このゲームはエリアが変わるところは、全て門や扉が設置されている。ボスの居るエリアも岩なんかにドアがくっついてるのだとか。
南門をくぐると目の前には切り立ったクリーム色の崖が高く続いていた。
回りには岩場が広がっており、遮蔽物として身を隠せそうな反面、モスグリーンの初期装備では目立ってしまいそうだとも思った。
しばらく索敵とまわりの土地に慣れるため歩き回っていると、少し高いところに横穴が掘ってあり、その穴の手前には人間のように直立に立つ蟻が槍を持って佇んでいた。
「なんかシュールな絵面だな…。」
そんなことを呟きつつ、岩と岩がが重なりV字になっているところに、SMLEのフォアエンド(立射するときに引き金を引く手と反対の手で保持する部分)を乗せ体が蟻人間もとい、アントから見えないように隠しながら銃を構える。
そして【隠蔽】を発動させて周囲と同化する。
サイトの真ん中に蟻の頭が来るように構え、そのままその少し上を狙う。
弾丸は通常、重力にひかれて真っ直ぐに飛ぶことはないので、どの程度の距離であれば狙ったところのどの辺りに当たるのかと言うのを考えながら撃つ。
今回は少し距離があるので狙いを少し上にする。
そのまま息を吐ききりトリガーに人差し指を乗せる。
タァーンッ!
鋭い発砲音をさせ弾丸がアントの頭に命中する。
被弾したアントはそのままポリゴンの欠片となり空中に四散していった。
当たったことを確認するとすぐにボルトを引いて次の弾を薬室に送り込む。
切り立った山が多いせいか発砲音が山彦のように反響してるのを聞き流しながらアントの巣を見ていると巣の中からわらわらと5、6体のアントが出てきた。
蟻の巣を崩すと修理や外敵の排除のために働き蟻が出てくるのと同じだなと思いながら観察する。
どうやらどこから攻撃されたのか分かっていないようで、辺りをきょろきょろと見ている。
もう一体仕留めるためにアントに狙いをつけて引き金を引く。
タァーンッ!
と音をさせてアントがさらに一体倒れる。
素早くボルトを前後させる。
そしてスコープを覗き込むと、なんと、アント達は辺りをキョロキョロするだけでこちらに気がつかない。
よく観察するとアントには耳がない。
これはここまでの仮説だが、どうやら仲間が倒れたことによって攻撃されているのは判っているが、どこからかは判らないのではないだろうか?
そう考えながらアントをどんどん撃っていく。
そのうち弾が無くなり、クリップを使って弾を装填して薬室を閉鎖し、スコープを覗き込む。
そして2体のアントが縦に並んでいるのでそこを撃つ。
すると、弾丸は鋭い発砲音を上げながらアントを貫通して2体同時にダウンする。
まさに入れ食い状態で撃ちまくっていると、巣の中から少し格好の違うアントが出てきた。
すると、慌てふためいていたアント達は突然統率を持ったように行動し始め、輪陣形をとりつつ周囲に警戒をし始めた。
どうやらあの個体は上位種のようだ。
今の手持ちの弾数では上位種との戦闘は難しいので、素材の売却と弾丸の補充をするために一度町へ戻ることにした。
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蟻人間の外殻×5
アントの外殻。とても堅く、中距離からの拳銃弾なら弾くほど。
蟻人間の触覚×3
アントの触覚。ここで味覚を感じ取る。センサーの役割がある。
蟻人間のフェロモン×2
アントの出す特殊なフェロモン。金属に混ぜると、金属がよく粘るようになる。
蟻人間の手槍×1
アントの使う槍。その刃はアントの出す特殊なフェロモンを使っており、とてもしなやかで強い。
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金属が粘るって言うよね?
塑性変形するって意味で。
……言うよね?