2-2 狙撃主 ウォーカー
グイドの店はまた一段と大きくなっており、前までは木造だった所がほぼレンガで出来ている。
「はぇ、あいつも荒稼ぎしてんなぁ」
俺は少し呆気にとられていたが、すぐに我に戻り店の扉をくぐるとそこにはでかでかと展示されているBARがあった。
「へっ?」
俺はそのBARに釘付けになっていた。
何故ゲーム内で未発見だと言われてる軽機関銃が壁に掛けてあるのか、あれは本当に使えるのか、ってか値札に書いてある値段高すぎね?とつらつらと文句がわいてきたが、その思考は店の奥から出てきたグイドの一言で中断された。
「ウォーカー、久しぶりだな」
「おお、グイド久しぶり。って言っても1週間しかあいてないけどな」
「どんなことでも一週間も間があけば、感覚が変わるもんだ。こと、ゲームにおいてはそれが顕著だな」
「そんなもんかね」
俺は苦笑いで答えた。
グイドはわらいながらBARを指さした。
「そんなもんだよ。おまえが熱心に眺めてたそのBARだってつい昨日ドロップしたのを俺が買い取ったんだ。一週間あればゲームの常識なんて変わっちまうさ」
「いや、大型アプデがあるならまだしも……」
「いやいや、RPGならゲームが進めば新しい武器が出てくるなんて普通だぞ」
「そうなのか?」
「ああ。ウォーカーも気がついてると思うが、現状このゲームで見つかっている銃の大半が一次大戦期の銃だがまだ見つかってない銃も多い。例えばGewehr98やスプリングフィールドM1903、あとはC93マシンピストルなんかもまだ見つかってないな。」
今グイドが名前を挙げた銃はBAR同様かなり有名なので、まだ見つかってないのが不思議なくらいだ。
「そうか、俺のやってた対戦FPSは最初から『○レベルで○○を解放』って言うのが最初からわかってたからなぁ」
「確かに対戦タイプだとそうなるな。武器のレベルで強さが変わるとなると初心者が入りにくくなるからな」
グイドも納得したようだった。
「そう言えばウォーカー、今日はいったいどうしたんだ?」
思い出したように口を開いた。
「ドーラに会って借金のことを話したいなと思っていたんだけど、今いる?」
「いや居ないぞ。というかなんでいると思ったんだ?」
「え、なんかいつも一緒にいる気がしたからなんだけど、違うの?」
「いつも一緒にはいない、と思う。」
「そうかぁ?」
自分でも驚くくらいうざい声が出たが、グイドは意に介さず淡々と返してきた。
「で、他にも何か用事があるんじゃないか?」
「無視されるとそれはそれで傷つく……。」
とりあえず俺は弾薬を購入したい事を伝えた。
すると、グイドが売買手続きをしながら聞いてきた
「そういえばあの草原ボスのゴブリンは倒せたのか?」
「いや、やられたよ。まさか森林戦になるとは思ってなかったからベージュのマントが目だったかな…。」
「そうか、運が悪かったな。あそこのボスはランダムでマップが決まるから次は砂地や山岳地帯だといいな。」
「うい…。まあ、これからもう一度チャレンジしてみるよ。」
そう言っておれはグイドの店をあとにした。
おひさ!




