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2-1 バイトリーダー 水元散歩

皆さん大変おまたせしました。

三ヶ月も空いてしまい申し訳ありません。

ちょっと社会人デビューしたり身内の葬式に二回出たり卒研合格貰ったりしてたら暇が無くなってしまいました……。

これからはなるだけ更新していきますので何卒よろしくお願いします。


リーン、リーン、リーンと虫の鳴く声が真っ暗な森の中に響き、ホーホーと不規則に鳥の鳴く声がし、その風情を蛙がゲロゲロという爆音で消し飛ばした。

光源は空に浮かぶ真ん丸の満月だけだった。満月の光は確かに強いが、十分な光源とは言い難かった。

うっすらと月光が滲む夜闇を今度はガサガサと何かが動く音がする。

そこでは草がモゾモゾと不自然な動きをしていた。


「ちくしょう、ここまで暗いと狙撃なんて無理だろ……。」


動く草がしゃべり出した。

よく見るとその草は人の形をした着ぐるみ、ギリースーツでそのギリースーツを身にまとった人物は1メートル以上あるライフルを握りしめている。

その草の塊は左手にアナログの距離計つき単眼鏡を持ち、必死に周囲の様子を伺っていた。

彼の所持する【鷹の目】は文字通り鳥目なのでこの暗闇の中では全く役に立たない。


「うぅ、ちくしょう……。」


草の塊が泣き言を呻いていると目の前の草むらがガサガサと揺れはじめた。


「ッ!!」


草の塊は慌ててピストル(拳銃に)トランディション(持ち替えること)をしようとするが革製のホルスターは焦っている草の塊を嘲笑うかのようにその口を固く閉ざしている。


草の塊は間に合わないと判断したのか、1メートル以上あるライフルをガサガサと揺れる方に向ける。

そして引き金にかけた指を……。


△▼△▼△▼△▼


パチッ!!


真っ暗な部屋に音が響き蛍光灯が光り出す。


「ただいまぁ」


俺は手に持っていた鞄をいつも置いているところに放り投げるとネクタイをスルッと外してきれいにたたんだ。

スーツから着替えるのも億劫で、そのままベットに倒れ込む。


「あ゛ぁづがれだぁぁ。」


時間は夜の10時と少しを回ったところ。

アルバイト先の塾では夏期講習も始まり、毎日ほとんど同じことを別の生徒に教える苦行が始まった。

と言うのもテストの内容が毎年変わるわけではない公立高校の対策のために公立高校志望の生徒10人とマンツーマンで授業をすると皆同じ内容を必然的にすることになる。

当然生徒は一度聞けば終わりだが、講師の俺は一日の間に同じことを何度も何度も何度も何度も言わなくてはならない。そのうちに連立方程式の解き方がゲシュタルト崩壊を起こして自分でも何を言っているのか、この解き方であっているのかすら解らなくなる恐ろしい現象に巻き込まれてしまう。


「あ゛あ゛ぁ」


スーツがしわになる前に起き上がり、部屋着に着替え始める。


「ご飯ん゛ん」


変な声を上げながら散歩(あゆむ)はキッチンに入っていった。


△▼△▼△▼△▼△


はやいもので俺がゴブリンに射殺されてから1週間が経過した。その間朝から晩までアルバイト漬けだったのでゲームの世界に潜ることは出来なかったが、休憩時間中に情報収集としてまとめサイト等を巡って情報収集をしていた。

しかし、明日からしばらくの間盆休みと言うことでかなりの時間をゲームに費やすことが出来る。俺はそう思うとうきうきわくわくが止まらなくて夜しか眠れなかった。

俺は後は寝るだけの状態になり早速VRギアを頭に取り付けゲームの世界に飛び込んだ。



このゲームも1週間ほどの間にセカンドロット、サードロットが販売されスポーンポイントには人が山のようにごった返していた。


「凄い人だかりだな、とりあえずドーラとグイドの所に顔を出すかな。借金踏み倒したと思われてそうだし……。」


一応ゲーム内チャットをスマホでやりとりをして、借金を踏み倒すつもりが無いことを言ってはいたのだが。

俺は人混みを縫うようにして歩きながらドーラの店を目指した。

その途中、あたりの店を冷やかしながら見ていると、まとめサイトで発見されて話題になった.45口径拳銃のM1911A1(ガバメント)半自動小銃(セミオートライフル)のモンドラゴンM1908がプレーヤーショップに置いてあるのを見つけた。

当然のように目玉が飛び出るような値段が書いてあったが。

ドロップの条件もいまいちよくわからないが、まあ出にくいと言うことだけはわかった。


そういえばこれだけ一次大戦の銃がそろっているのに、BARM1918が無いんだなぁとぼんやり考えていた。

というのもM1918といえば一次大戦から2次大戦、果ては朝鮮戦争からベトナム戦争と長く使われてきた分隊支援火器で、装弾数20発と少ないものの大口径で連射ができ、使い勝手が良かったため長く使用されてきた銃だ。

ゲームに出てくると大体装弾数が少ないくらいしかデメリットのないバトルライフルとして扱われる事が多く、突撃銃が無い、もしくはほとんどない無い大戦期を舞台にしたゲームではとても強く設定されている事が多い。

ちなみに読み方は「バー」ではなく「B,A,R」と区切って発音するのが正しい。


そんなことを考えながらウィンドウショッピングをしているといつのまにかグイドの店があるところまで来ていた。


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