1-30 前哨狙撃兵、ウォーカー1
俺はとりあえず、キャニオンゴートのマントを身にまとって近くの草むらに潜む。
気持ちばかりの【隠蔽】を発動してスナイパースコープを覗き込みその使い魔を探す。
相手がどんな格好をしているか、そもそもどんな姿なのか解らないまま戦うのは難しい。
もしかしたら大きさ5ミリの蟻が狙撃銃を持っているかもしれない。そんなことになったら近づいて踏みつぶす以外の有効な手立てが思いつかないじゃないか!大変だ!
まあ、そんなアホなことは絶対にないとは言い切れないのが悲しい。
何せ俺の腰に着いてる銃剣はその蟻からぶんどったモノで作ってるからだ。
さて、前哨狙撃兵をする上で大事なことは幾つかある。
まずは何よりこちらの位置を相手に悟らせないことだ。
前も言った通り、明るいところよりも暗いところ。何もないとこよりも茂み、臭いが強い場合は風上に立たない。などだ。
嘘か本当か解らないが、アメリカ海兵隊の前哨狙撃兵は全員禁煙しているほどだとか。それほど相手にばれないための工夫は大事なのだ。
しかし、今の俺は山岳地帯用の迷彩マントを身につけているのでぶっちゃけ相手の腕によっては一発でばれる。
それは困るので、できるだけ銃口を茂みから出さないようにして、スコープをのぞいておかしな点が無いか探す。
スコープだけだと広範囲が探せないので時には肉眼で見える範囲に敵がいないかを見る。
敵を探す際に見るべきなのは人の形をしたモノではなく、自然のあり方だ。
不自然にかき分けられた茂みや草はないか、そこにあるはずのない草むらが増えてないか、逆に見えていなきゃいけないモノが隠されていないか。
狙撃手に大事なのは射撃の腕だけではなく、狙撃兵の潜みそうな場所を探し、不自然さを見つける観察眼も大切な要素なのだ。
しばらく草むらに隠れたまま索敵をしていたが、ビシッと言う弾丸が近くを通過する音がしたと思った瞬間、すぐ近くの木に弾痕がついた。
弾丸が通過するのとほぼ同時にダァーンッ!と銃声が森の中をこだました。
「クッソ、ばれてやがる。」
やはり偽装が甘かったのか、先に発見されたのは俺だった。
ただ、運が良かったのか相手の腕が悪かったのか弾は命中することなく近くを掠めていっただけだった。
俺は弾着痕と音から大体飛んできたであろう方向にライフルを構えながらその方向から再び撃たれても大丈夫なように大きな木の陰に隠れた。
大木を背に相手の大まかな位置を探りたい。
プライベート何某を助けに行く映画のように、ガムを噛んでる太った副官がいるわけでも、ましてや鏡があるわけでもない。
「さーて、どうすっかなぁ。」
ビシッ、ビシッと時々聞こえる大木に弾丸が当たる音を聞きながら俺は打開策を考える。
モンハン楽しいけど、卒研とバイトに挟まれてほとんど出来ない……。CoDww2もやりたいしR6Sも……。




