1-29 狙撃手、ウォーカー17
まだ始まらない
「試験?」
俺は素っ頓狂な声を上げる。
それもそうだ。ボス部屋だと思って入った部屋に休暇中のサンタクロースみたいな格好したおじいちゃんが居ると思ったら今度は試験をすると言い出した。
訳がわからないと言う顔をしていると老人が話し始める。
「なに、簡単な試験じゃ。ワシの使い魔をパーティーの人数分召喚するからのう、その使い魔を倒すだけじゃ。」
「使い魔を倒す……?」
「そうじゃ。使い魔はおぬしと近い武装をさせておるから一筋縄ではいかぬと思うぞ。戦うフィールドはランダムでこちらが決めるからのう、準備が出来たら言いなさい。」
と、ボス戦を示唆するようなことを言い出した。
しかし、何故このじいさんが試験を行うのだろう。
「なあじいさん、何で試験なんだ?」
「ホッホッホ、簡単者よ。この先にある街には闘技場があっての人と人が戦うのじゃ。あの街では闘技場での勝敗がそのまま街での地位に反映されるのじゃ。それに街の人間も血湧き肉躍るような戦いが好きじゃからのう。不甲斐ない戦いをされないように街に入るために試験を行うのじゃ。」
「そうか、ありがとう。」
草原エリアの第2の街ではドーラが言ってた通り、本当に闘技場があるらしい。
つまり、この試験はプレイヤーに対人の練習をさせるってことか。
俺はリーエンフィールドとM1897に弾を込めて装備し直す。
そしてじいさんに話しかけた。
「ほう、準備が出来たかのう?お主は……ほう、マークスマンじゃな。よし、ではそこの扉を潜るのじゃ。」
そう言ってじいさんが指を指した先にはいつの間にかこの部屋の入口と同じような半透明な扉があった。
っていうか、ジョブで相手が変わるのか……。
ということはさっきの言い様から察するに相手はスナイパーの可能性が高いな。
俺の今の装備は山岳用迷彩パターンしかないから雪山とかのフィールドだと酷い目に遭いそうだな。
そんなことを考えながら扉を開けると、そこにはうっそうとした森が広がっていた。
「うげぇ、森林戦かぁ……。」
森での戦いは視界が効かない分不意打ちや遭遇戦、ゲリラ戦になることが多い。
特に、相手が狙撃手となると、お互いの位置を見つけ合う前哨狙撃兵としての戦いになる。
相手の痕跡を探し、時に移動して、長時間の狙撃姿勢でのアンブッシュと高い精神力と知識を要求される戦い方だ。
これは長丁場になりそうだと思った。
正直な話、相手が狙撃手と聞いたときに室内だったら良いのにとほんのちょっと思った。
理由は簡単で、こっちにはショットガンがあるが、相手には恐らく無いと思ったからである。
もしそうだったら出会い頭にづどんと一発だったのにとおれは捕ってない狸を撃つ空想をした。
卒研とモンハンに板挟みになってるのでまたしばらく開くかもです。
そう言えばいつの間にかPVが20,000超えてて驚きました!
いつも読んでくださる皆様、ありがとうございます!




