1-16 狙撃手、ウォーカー7
マドカとの集合場所は最初と同じく教会だった。
早く装備を使ってみたかった俺はうきうきとスキップしながら教会へと向かった。
教会前に着くとマドカと大きな盾を持った小さい女の子が居た。
今日は小さな女の子とよく会うなぁと思いながら話しかける。
「うっす、おつかれー」
「あ、やっと来た!」
二人がこちらに気がつきマドカが手を振ってくる。
「おお?いろいろ装備が増えたみたいだねぇ」
ニヤニヤとしながらマドカが話しかけてくる。
そういうマドカも防具は初期装備ではなく、赤紫色のニーパッドとエルボーパッドに明るめの緑を使ったキャップとBDUだ。
マドカの影に隠れるように立つ少女は赤紫色の大きな盾を背中に背負い、膝と肘にはマドカと同じく赤紫色のエルボーパッドとニーパッドをしている。
「そっちの彼女は?」
おどけたように俺がマドカに話しかける。
するとマドカもニヤッニヤしながら返す。
「おっとぉ、彼女の目の前でナンパですかなぁ?」
「そんなんじゃねえって。」
二人でふざけていると少女が口を開く。
「あ、…あの、私は……その……。」
「ああごめん!ちゃんと紹介するから!ええっと彼女はモントちゃんっていうの。私がやってた前のゲームからクランとかギルドを一緒にやってた子なんだ。ジョブはタンクで恥ずかしがり屋だけど、腕は1級よ。」
マドカが紹介するとモントちゃんは真っ赤になってマドカの後ろに隠れてしまった。
「まあ、一応知ってると思うけど俺はウォーカー。ジョブはマークスマンだ。」
そう言って握手をしようと手を出しかけたところでモントちゃんはビクッとして引っ込んでしまった。
一応の自己紹介は終わったところで本題を切り出す。
「一緒に狩りっていってたけど、どこに行くつもりなんだ?」
「んー、特に決めては無かったんだけど、なんかやりたいことある?」
「俺は事情があって金策をしたいんだ。だからクエストを受けてみたい。」
「それなら取り敢えず寄り合い所に行ってみましょ。」
そう言って俺たちは移動した。
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寄り合い所は大きめの丸太小屋で、某狩りゲーのギルドのような作りだ。
中は意外に広く、平日の夜だからなのかたくさんの人が押し合いへし合いしている。
ぶっちゃけた感想を言えばもっと大きく作るべきだったと感じさせる大きさだ。
俺たちは壁に貼ってあるクエスト用紙を見るために満員電車のような寄り合い所を歩く。
昔あったTPSゲームのサービス初日にチュートリアル終了のときにノートパソコンの前を並ばされた記憶が蘇る。
あの時はゲームで並ばされるとは……。と思ったが、まさかVRゲームで満員電車を体感するとは思わなかった。
なんとかクエストを見ることが出来る位置までたどり着き壁を見上げる。
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クエスト名:草原のゴブリン退治
依頼者:町の住人
最近町を出てすぐの草原にゴブリンが増えてきておちおち外出もままならない。そこでゴブリンを適当に間引いてきて欲しい。勿論報酬も用意するぞ。
報酬:1000G
ゴブリンの素材
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クエスト名:薬草採集
依頼者:町の薬売り
薬を作ろうと思ったら肝心の薬草が全然足りやしない。仕方ないから誰か採ってきておくれ。報酬もあるわよ。
報酬:800G
レギュラーポーション×3
鎮痛剤×3
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クエスト名:蟹鍋がしたい!
依頼者:町長
今度孫が遊びに来るのじゃが、せっかくじゃから蟹鍋を食べたいと思ってのう。そこでじゃ、美味と名高いキャンサーの肉をとってきて欲しいのじゃ。報酬はたんまり出すぞい。
報酬:1200G
キャンサーの素材
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「蟹がいるのか……。」
ぽつっと呟くとマドカが聞こえていたのか、聞き返してくる。
「え?」
「いや、蟹がいるんだなと思って。知ってたか?」
「勿論。私とモントちゃんの装備のエルボーパッドとニーパッド、あと盾はキャンサーとガーニーキャンサーの素材で出来てるのよ。」
「それは知らなかった。このクエスト受けても良いか?」
「良いわね。それなら他にも川原エリアで受けられるクエストも一緒に受けて行きましょう。」
そうして俺たちは他にも川原エリアで出来そうなクエストを受注して南にある川原エリアへと向かった。
ゴーストリコンのPVPが楽しすぎるのが悪い




