1-13 豪運?ウォーカー
おまたせしました。
町に戻ってきた俺はまずグイドにショートメッセージを送った。
『今からアイテムを売りに行きたいんだけど、時間は大丈夫か?』
『問題ない。さっきと同じところへ来てくれ。』
すぐにメッセージの返信があり、グイドがさっき居たレジャーシートの出店へと向かった。
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「おう!」
こちらに気がついたグイドが片手をあげて挨拶をする。
「で、山岳エリアはどうだった?」
「まあ、ぼちぼちかな?そういえば、ボス部屋みたいな所でボスみたいなのと戦ったぞ。」
「ボス部屋?まあ、アイテムを見ながらら話聞くか。」
俺は山岳の洞窟であったことを話した。
すると、黙って聞いていたグイドが口を開く。
「なるほど、β版ではなかった情報だな。β版ではアントの引き返していく洞窟の中は1本通路のうえに、行き止まりだったそうだ。」
「そうなのか?」
「ああ。だから山岳エリアには上位種がほとんど出てこなくて、あんまりうまみが無いって言われてたんだ。そうだ、とれたアイテムを見せてくれ。」
「わかった。」
そう言ってトレードウィンドウに今回収集できたアイテムを乗せていく。
「ほう、石の方は鉄鉱石と宝石の原石が少しあるが、あんまり高くはならないな。キノコは、光茸という種類だ。これは夜間戦闘に有用なアイテムだからいくつか残しておくと良い。アントの素材も武器の強化に持って来いだから、少し残すとして……。問題はこのガーニーアントとキャプテンアントの素材だな。ガーニーアントの槍ははっきり言って発見例が無い。前例から照らせば、銃剣を造るのに持って来いって話だから、それに使うのが良いだろう。キャプテンアントの素材も同じで、防具か武器の強化に使った方が良い。そこでだ、スミスを紹介したいんだが、良いか?」
「スミス?かまわないけど?」
「そうか!それは良かった。ちょっと待っててくれ。」
グイドはそう言うと、チャットで誰かを呼ぶ。
暫くすると小柄な女性が現れた。
どうやらグイドの言うスミスとは彼女のことらしい。
「おお、来たか!ウォーカー紹介する。彼女はスミスのドーラだ。」
「初めまして。ウォーカーです。」
そう言って握手しようと右手を差し出す。
その右手を予想の何倍も強く握られ、びっくりした。
「ドーラよ。面白い材料があるって聞いたから来てみたけどグイド、貴方は知ってると思うけど私、気に入った相手にしか防具も武器も作らないわ。」
「それはわかっている。どうだ、その前にウォーカーの持ち帰ったアイテムの鑑定でもしてみないか?まだ未鑑定のアイテムがあるだろ?ウォーカー。」
俺は突然話を振られて驚く。
「え?あぁ、ちょっと待ってろ。」
バックパックを地面に置き口の紐を解いて手を突っ込む。
そしてバックパックの奥からあきらかにバックパックよりも大きな黒一色の箱をズモォォォっと引っ張り出した。
「「キモっ!」」
グイドとドーラがハモりながら呻く。それほどに気持ち悪い絵図らなのだ。
1mほどの黒い箱を取り出し、それをドーラに渡すとドーラは少し驚きながら受け取る。
「これは銃のドロップよね?確か銃のドロップは報告されているので拳銃が数丁ってとこよね?確かSAAがほとんどで、SAAはドロップでしか見つかっていないはずよ。その法則でいくとこの銃のドロップも同じようにドロップ限定の銃の可能性があるわね。私が鑑定して良いの?」
「ああ頼む。」
「わかったわ。【鑑定】!」
黒い箱が光を放ちながらボロボロと綻んでいく。そして完全に黒い部分がなくなると、ドーラの手には特徴的なクーリングホールの彫られたバレルとウッドストックを兼ね備えたショットガンが握られていた。
「ふーん、名前はM1897ショットガンね。知ってる?」
あまり銃に詳しくないのか、グイドはピンとこない顔をしている。
ウォーカーは興奮しながら答える。
「ああ。俺の一番好きなショットガンだ。」
「どういう銃なんだ?」
「M1897は一次対戦前にアメリカで作られた軍用ショットガンだ。塹壕という閉鎖空間での散弾による制圧効果は当初アメリカの想定していた以上の成果があった。当時ドイツは戦争中にもかかわらず、正式にアメリカに抗議文を送ったほどの銃だ。そこからついたあだ名がtrench gun、塹壕の銃という名前だ。総弾数は6発、チューブマガジンと、ポンプアクションを採用している。このゲームの初期ショットガンが2連装ショットガンって言うのを考えれば十二分に強い銃だ。」
ウォーカーは興奮冷めないまま語りだす。
そして、ドーラが思い出したように言う。
「確か、ショットガンはM30の他に発見されてるのはM1887だったわね。あの銃はチューブマガジンでレバーアクション、その上散弾の拡散性が高くて使いにくかったはずよ。このゲームレバーアクションのショットガンはちゃんと弾詰まりを起こすところまでしっかり再現されてるらしいから滅茶苦茶不評だったわ。」
今回の探索で俺は大当たりのドロップをしたようだった。
初めて小説で伏線を張ってみました。(しょうも無い伏線なので気にしないでください。)
更新に間が空いてしまい申し訳ありませんでした。これからも「ファンタジーと銃の相性は?」をよろしくお願いします。




