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ファンタジーと銃のVRMMOでやりたいことだけをしていくゲームライフ  作者: topps
第一章 ファンタジーと銃の相性は?
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1-1 大学生、水元散歩


どんよりとした曇り空、硝煙と血と何かが焦げ、雨の近づくにおい…。

地面には迷路のように塹壕が掘られ、泥と少しの水たまりと薬莢、ショットシェルが散乱している。

辺りからは怒号と爆発とレシプロ機の唸らすエンジン音、そして絶え間なく聞こえる発砲音。


まさにそこは戦場だった。


そこに俺はまさに倒れかかっていた。

頭がぐらぐらするし音も遠くに聞こえる。

昔見た映画のラストシーンで主人公がこんな感じになって拳銃を戦車に向かって撃ってた気がする。

なんだっけ…。あぁ、シェルショックって言うんだっけ…。

ろくに回らない頭で考えていると見知らぬ人が駆け寄ってくる。


「おい!しっかりしろ!」


その男はグリーンのヘルメットを被って顔中泥まみれになっていた。

どこかで見覚えがあるなぁ…。と、考えていると男は俺のヘルメットを剥がし、外傷がないか確認してくる。


HUGhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhh………………………………BOMB!!!


近くに迫撃砲か何かが弾着して大爆発を起こした。そして俺を介抱していた男が吹き飛ばされ、俺の目の前に砲弾の破片が飛んできて視界一杯に広がった。



△▼△▼△▼


ジリジリジリジリジリジリッ!!


目覚ましの音で目が覚めた。

夢見が悪かったのか、それとも梅雨明けという季節がそうさせたのか、はたまたその両方か、知らないが体中汗まみれになっていた。

俺は目覚ましを止め顔を洗うために洗面所へと足を運んだ。


俺は都心から少し外れた郊外にある、とある工業大学に通う2年の水元散歩みずもとあゆむ。現役で大学に入り、誕生日も過ぎたので、最近晴れて20歳の仲間入りした。

趣味はゲームと映画を見ること、後サバゲーに時々行くくらいだ。

ゲームももっぱらFPSやTPSゲームのそれも銃が出てくるものが好きで最近も次の日の朝に講義がなければ朝方までゲームをしている。

大学は実家から通うには少し遠かったので近くに一人暮らしをしている。

なので朝方までゲームをしようが、昼過ぎに目が覚めようが、自由なのだ。


起きた時間が中途半端なので朝食をとらずに歯を磨いて大学に向かう準備をする。

すると、インターホンがなってスチール製の扉をガンガンたたく音がした。

そのやかましさに顔をしかめつつドアを開けると汗だくになった女の子が立っていた。


「えぇ~!エアコンついてないの~!」

「開口一番にそれたぁいい度胸じゃねえか!」

「あゆむの家のメリットなんて大学に近い、少し広い、あと夏は涼しく、冬はあったかいくらいじゃない!」

「はぁ、いいから入れ。」


そう言って部屋へ通す。


「ムギチャ、ムギチャ、冷たいムギチャ~」


と鼻歌交じりに人の家の冷蔵庫から麦茶のポットを出して勝手に飲む女は沢口まどか、同じ大学に通う2年だ。

肩口にそろえた栗毛に平均よりも少し高い身長とグラマラスな見た目をしていて、資産家の一人娘という逆玉の輿なうえに、誰にでも分け隔てなく接している姿は、まるで太陽のような大輪の向日葵を彷彿させる、という外見なためモテる。が、中身は腐ってないのが救いなオタクという、向日葵が放射性物質のセシウムを多く吸収するかのようにオタク化が進んでいる女だ。

その方向は主に「女性声優のファン」といえば聞こえは良いが、今までにその追っかけに費やした額はミリオンを超えるとか、超えないとか…。

大学生でその散財はどうなの?というレベルだ。

しかし、いくら中身残念女とはいえ女は女。

なぜ男の部屋に入り浸っているかというとまどかは俺の彼女なのだ!彼女なのだ!

去年の夏明けに告白したところ、「過度なイケメンじゃないことと、私の趣味を知ってなお告白してきたことに敬意を示して付き合ってやる。」とのお言葉を頂いた。

それから時々思い出したように彼氏彼女のするようなことをしつつ(意味深なことではなくて普通にデートとか)今の関係を続けている。


「ところで昨日もゲームしてたの?」


麦茶の入ったポットを傾けて二杯目を注ぎながらまどかが話しかけてきた。


「お前今日テストなの忘れてないか?さすがに勉強してすぐ寝たよ。」

「今日テストだっけ……?」


さっきまで汗でベタベタだったにもかかわらず、今度は顔を真っ青にしながら震えている。


「ああ。必修授業の材料力学。持ち込みは無しだぞ。」

「マ、マジ?やばいカンニングさせて!」

「いやだよ!それ俺も怒られるやつじゃん!ほれっ貸してやる。今から頭に叩き込めば間に合うだろ……多分。」


そう言って机の上に置いてあるノートを渡す。

まどかはなんだかんだ要領が良いからどうにかなるだろう。そんなことを考えながら、ノートに齧り付くまどかを見ていた。




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