待てコラァ~!!!
「追いかけられる」って古典的恐怖やね。
缶コーヒーを買うためにスーパーに向かって歩いていた。あそこにしかないカフェオレがある。
その道中の商店街で阪神タイガースの帽子を被ったおっさんがジッとこちらを見てくる。竹内力に似ているイカツイおっさんだ。
僕は立ち止まって「何すか?」と聞いた。恐かったので5m程距離を置いた。めっちゃ睨んで来た。僕は後ずさった。10m程距離を置いてもまだ睨んでくる。
「おまえ、原辰徳に似てるなぁ」
阪神の帽子のおっさんはボソッと呟いた。
「えっ?」
「待て、コラァ!!!」
急に走ってこっちに来るので逃げた。コーヒー所ではない。
「なんやねん」
僕は逃げた。明らかに僕の方が足が速いので逃げるのは容易だった・・・が
「♪チリン、チリン」
「!」
チャリンコに乗って追っかけて来た。
「原ッ!俺はお前を許さんぞッ!」
細い路地に逃げた。おっさんはチャリを置き、再び走って追って来た。
これで差を広げる事に成功した。細い路地はおっさんにチャリを置かせたので成功したと言える・・・ん?
「おい、あいつ捕まえたら1万やるぞ!」
中学生っぽい奴に交渉している。僕は50m先で立ち止まり様子を見た。
中学生3人組がこっちに向かって走って来た。おっさんはおそらくチャリ置き場に向かった。
「うわぁ」
僕は警察に行こうか迷ったが、止めた。
公園の障害者用トイレに隠れた。
ガラス張りの部分から中学生に姿がヌッと見えた。
「おらんやんけ」
どっか行った。しばらくしてそっとドアを開けた。キョロキョロしてるとおっさんがいた。手をガシッと捕まれた。
「・・・お前、いっつもあそこのカフェオレ盗んでるやろ。来い!」
連行された。
実は追いかけられる理由があった。