それぞれの珠姫祭-中城麗美の場合
今年の珠姫祭では、珠姫に挑戦する事としました。
珠姫は来賓対応を行うため、ここで良い印象を与えれば、人脈作りに役立ちます。
このことは私のように、秘書を目指す人間には魅力的なのです。
共学化の際に随分と色々な物が見直され、男女平等に成っている珠妃学園にとっても、珠姫祭の珠姫は数少ない、女性のみに許された行為です。
とはいっても、規定上は女装した男性もOKに成っているので、LGBTの方への配慮も行われては居ます。
珠妃コンテストは中々厳しかったものの、無事にトップを取ることが出来ました。
それからは珠姫祭に向けて、マナー教室等が行われます。
珠姫は姫としての立ち居振る舞いが求められるのです。
中学側の珠姫の清美さんとも一緒に訓練を受けます。
清美さんは非常に明るい子供で、話も面白い子です。
非常にお兄さんの事を好きなようで、お兄さんの事を話す清美さんは非常に楽しそうです。
何故か皆からお兄ちゃんと呼ばれている不思議な方のようですが、別に本人の趣味で女子中学生にお兄ちゃんと呼ばせている変態というわけではないようです。
話を聞く限りでは、勉強も出来て優秀な方のようなので、お知り合いに成っておくのも良さそうです。
さて、当日、無事に珠姫祭開会式が行われました。
いよいよ、今日の本番、来賓対応です。
ざっと1回目の来賓のリストに目を通します。
地元の議員・社長等が居ます。
「おはよう御座います。これから当学園内を案内させて頂きます。本年度の珠姫をつとめさせていただく、中城麗美で御座います。」
先生が同行しているので、露骨に色っぽさを出すわけには行きませんが、衣装も生かしながら最大限自分の魅力をアピールします。
元々この衣装はある程度胸元が開いているので、両手を前に揃えて、丁寧に頭を下げることで胸元をアピール出来ます。
露骨に成りすぎて先生に怒れれたりしないように注意しつつ、一日の来賓対応が無事に終わりました。
そして、今日最後の仕事、閉会式も無事に終わりました。
通路に出ると、一人の男性が立っていました。
清美さんが声を掛けます。
「あ、お兄ちゃん、待っててくれたんだ。」
成るほど、この方が清美さんのお兄さんですか。
せっかくなので、私も声も掛けます。
「はじめまして、中条です。あなたが皆さんのお兄さんですのね。」
せっかくなので、私からもお兄様と呼んでみることにしました。
残念ながら私にはお兄さんは居ませんし、年下のお兄様というのも面白いでしょう。
これで各妹視点終了です。
次話からストーリーを進めていきます。