秋の暮れに君を思う
あゝ
木の葉の落つるこの季節になっても君はもう帰ってこない
君はこの木の下でいつも私を待って居てくれたね
木の葉が山吹色になって
ひらひらと落つるこの季節は君の美しさがよく映えたことだよ
あゝ
君は今頃何処で何をして居たのだろう
いつものように
太陽のような温かな笑顔で私をつつんでくれたのだろうか
君が帰ってこないなら
私が木の葉の枯れ果てて落つるまでこの木の下で待とう
この木の枯れるまで待とう
君にまた会えるまで
永久に君を待とう
秋の暮れになると、彼女と銀杏の大木の下を散歩するのが好きであった主人公は、昨年銀杏の葉が落ちる時期に喘息持ちの彼女を亡くした。