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あれから俺は吹き出した汗を袖で拭い、彼に言われたことに小さく反論したのだった。


「何故君は獣族を……」


しかしそれは彼の言葉に打ち消され、ただ自分の価値観というものを跳ね返されただけとなった。

彼はもう俺を見ようともせず室内へと戻って行ってしまった。


何故か俺に残ったのは蟠りだけだった。





家に戻って彼の言葉を繰り返す。


"自分の価値観を押し付けるな"


彼は俺にこう言った。

彼は初めてあった時から俺たち村人に対して壁があった。そしてその時も似たような事を口にしていたことを思い出す。

(あれはこういう意味だったのか…)

ようやく理解したところで、彼と俺たちとの間には溝ができていることは明確だ。もう近づくことも許されない。


我々村人が彼に一方的な言葉を押し付けた記憶をもう一度振り返る。

あの時なんと言ったのだったろう。


"君があの英雄の息子だというのは本当か! 本当なら頼む!! 我々の村をもう一度救ってはくれないか!"

"俺たちにはもう勝利する術はない。 あいつらに勝つにはどうしても必要なんだ。君の力を借りたい!"


確かに、なんて傲慢で自分勝手なんだ。

今やっと彼の言っていることや気持ちがわかる。俺たちは、俺たちの価値観をただ押し付けていただけに過ぎなかったのだ。


だがやはり気になるのはあの獣族だ。何故彼は一緒に住んでいるのか。彼だって今のこの世界の状況は見えているはずだ。かつての英雄を父親に持つ彼なら尚更のはずなのに……

一体彼はどういう人間なのだろう。

真実を知るには彼にもう一度会う必要がある。

だがどうやったら彼は俺を迎えてくれるのか、まったく検討もつかなかった。


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