ほんとにあった話
かぁーごーめーかーごぉーめー
かぁーごのなぁかのとーりぃはー
いーついーつーでーやぁるぅー
って誰でも昔やったことあるじゃない?
私も昔やったの。近所の子供だけで神社に集まってさ。古びた井戸と鳥居の側だったと思う。暑い夏の夕方でね、影が多くて水も近いそこが一番涼しかったの。
山近くの田舎でさ、他に遊ぶとこも遊ぶものもなくて、涼みに行った神社がなんっっっか雰囲気ありまくるとこで、それで、それで、ね、なんとなく「カゴメカゴメ」をしたの。
今思えば、もっと明るい遊びにしとけばよかったわ。
なにもあんな雰囲気のある場所で、そんな暗い唄遊びすることなかったんじゃないかって。だからあんなことが起こったんじゃないかって。今もね、しゃがんだ時とか人の足元を見た時に思い出しちゃうの。あのときのみんなの靴…
私を含めて、たしか7人だったと思う。真ん中が私で、私を他の6人で取り囲んだの。幼稚園で私「ことり組」だったから。真ん中の「とり」をしたの。
「カゴメカゴメ」って最後に後ろの人が誰か当てるゲームでしょ?ほんとは目を塞いで閉じておかなきゃいけなかったんだけど、私どうしても当てたくって目を覆った手の下をちょっと空けて、みんなの靴を見てたの。靴で皆を覚えて順番と最後に目の前に来る人が誰かで「うしろのしょうめん」を当てようとして、それで。
あたった、と思うわ。
分からないの。分からないのよ。だって、居なかったんだもの!「うしろのしょうめん」!!!誰もいなかったの!!!!
6人居たはずなのに5人しか居なくて、みんな手を繋いでるのに「うしろのしょうめん」だけぽっかり空いてて、でも両隣の子は手を繋いでたっていうの。私が名前を呼んで、「あたったな」って声を掛けようとしたら誰もいなかったって。
青い靴の男の子よ。pumaの運動靴だったわ。「うしろのしょうめん」。
私、その子の名前を呼んだはずなのに覚えてないの。顔も思い出せない。覚えてるのは青い靴だけ。いつも一緒に遊んでた、いっこうえの…
ううん、今忘れてるとかじゃないの。そのときよ。他の子もその子の事覚えてなかったの。いつも遊んでたことは覚えてるの。引っ込み思案でおとなしい子、あんまり目立つほうじゃなかったと思う。
でも確かに居たのよ!居たはずなの!
だって!私達、神社に行く前にパピコを食べたの。観釈迦堂のおばちゃんのとこで4個買って、割って1人一本、7人居たから一本余ったわ。余った一本は喧嘩になるからおばちゃん食べてって置いてきた。おばちゃんはそのときお腹壊してたから、冷凍庫に入れてたわ。商品と一緒くたにしてた。
「カゴメカゴメ」をしたあと、気味悪くなって、みんなパニックになってた。泣きだしちゃう子もいて、私も泣いてたわ。だって私が当てたんだもの。
一番年長の子が、点呼を取ろうとして、でも青い靴の男の子を思い出せなくて、パピコの食べカスが7本あるから居たはずなのに。
みんなで探して、どうしょうもなくなって大人に言いに行ったわ。でも大人も覚えてなくて、おばちゃんは、7人居たって言ってくれたけど、他の人は信じてくれなかったわ。
男の子の両親も男の子を覚えてなかったの。その子の家でお誕生日会したこと覚えてるのに、そんな子居ないって。うちには息子は長男だけで、家にある服とかおもちゃはその子のだって。その長男も「カゴメカゴメ」を一緒にやったんだけど、弟のことは思い出せないの。いたような気はするんだけどって。
これが、ほんとにあった私の怖い話。ね?こわいでしょ?