③気づけばそこは、真っ白な世界
「ん……?ここ、は?」
気づくと、痛くもなにもない身体は、どこかで寝かされているようだった。私が次に目をあけると、そこは真っ白な世界だった。
天井もなければ床もない。だけど私は立っていた。
目の前には白い翼を生やした……て、天使っっ!!!???
「やぁ、はじめまして」
天使らしきものはふんわり微笑んで、恭しく私に向かってお辞儀した。
想像とは少し違って、もう少し人間っぽいきさくな雰囲気がある。
「こ、こんにちは」
天使がいるってことは、私は天国にいけるのか。なーんて現金なことを思っていたら。
「最初に、大変申し訳ありません」
と、神様の使いは私に深々と頭を下げた。
理由を聞けば、それはあまりにも、残酷な真実だった。
「えっっ!!!!?私が死んだのは」
「…」
「ほかの人の間違いだったって!!!!????」
天使はこくりとうなずき、申し訳ない、と小さく呟いた。彼(性別はわからないけど)が言うにはこうだ。
私はさっき、自動車のスリップ事故に巻き込まれて死んだ。けれど、それは実際、もっと早くの時間帯に起きるはずで、巻き込まれるのは、私とは赤の他人の、まったく違う人間であったという。
それって、まだか、私は天命でもないのに死んだって、こと?
「本当に申し訳ありません」
「申し訳ない、じゃないって!!!!だって私、まだやりたいことたくさんあったのに…」
しかもこいつ(天使)が言うには、私の寿命はまだ70年以上あったらしい!!!!!(そんなばかな)
……な、なんてこった。そんな馬鹿な……
じゃあ私は、このまま70年の寿命をあきらめて、おとなしく死んでいろと?
「そうではありません!!!!」
怒りをあらわにしている私に、天使はある提案をする。
「あなたの死については、現在天使の議会で検討中です。しかもその議会がきちんと結論を出さない限り…あなたは天国にも地獄にも行けないのです」
えぇっっ!!!!????
「なので、」
天使は続けた。
「あなたには…しばらく地上で違う姿となって、残りの現世での生活を楽しんでいただこうと思います」
へ?
楽し、む?