⑬真実―Truth Of Cat
時はさかのぼり、あのスリップ事故の直後。
<ありがとう>
そういって、白い猫は息絶えた。勇敢な一匹の獣が、今夜、悲しい死を遂げたのだ。
「…百麻」
烏摩はその白い猫に百麻と名づけた。事故に巻き込まれて亡くなった、飼い主とその猫。
猫は飼い主の強い想いを受け取っていた。
(どうか、僕に力をください…)
死ぬ間際、猫はその小さな四肢をもって力の限り石段をのぼり、最後の一段のところで倒れていた、流れ出る血が、石段にあとをつけながら。そんな白猫を、烏摩は発見した。
猫の願いはただ1つ。
飼い主に、家族や親友や好きな人へ想いを伝えるチャンスを与えること。
(あの子はここで死ぬはずじゃなかったはずなのに……)
(あの子にチャンスをあげたい……僕の大事な飼主に)
猫の願いを聞き入れた烏摩は、静かにその猫の死を看取り、そのあと彼女の権限を持って、天使がえみの魂を迎えに来たのだ。
それが、奇跡の真相。
天使の力が全てではない。
天使と、巫女と、白猫の想い―――全てが交差しておこった……
小さな雪の日の
奇跡。
【とある雪の日、1人の少女と、1匹の白猫が神社の石段を降りてすぐの橋のそばで、車のスリップ事故に巻き込まれて死んだ】
【少女の強い想いと――白猫の、まっすぐな飼い主への想いが生んだ……それはそれは小さな、奇跡のような、幻のような、ほんとの話】
~*~FIN~*~
これでこのお話は完結です。
しかし、このお話にはまだ続きがあります。
――彼女の生まれ変わり――<紫露>
――ゆうきのこれから――
――親友、栞のこれから――
――えみの家族のこれから――
――烏摩巫女の過去――
色々ありますが、これはまた、別のお話で。
いつどこで、人は死ぬかわからない。
こんな都合のよいお話があるかは分かりませんが、私は生まれ変わりを、信じて、日々を精一杯生きていきたいな、と思います。
さて、最後に。
Epilogueは、必要でしょうか?
Epilogueは、また明日にでも投稿しましょう。
それではひとまずここまで。
霧明の在庫処分セール的作品第三弾、Fluff Stuff、お楽しみいただけたのなら幸いです。このFluff Stuffには、まだ繋がったお話がありますが、また、いつか気分が乗って、かつご要望がありましたら公開しようと思います。
ではまた、別の作品でお会いしましょう。
霧明(MUA)