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だから、なに?  作者: 篠宮 楓
地球という名の星の日本という国です
2/22

2 朝は荷物と格闘します

あと数話、仕事の話が続きます。

その後、異世界に飛んでいきます。

ちょっと退屈かもしれませんが、すみませんです^^;


店の朝は忙しい。



出勤してすぐに私はバッグを休憩室のロッカーに突っ込むと、徐に腕まくりをする。

気合入れないと、どーしたって仕事は終わらない。

なんたって……



「なんなのさ、売上下位店に対して、入荷ボール数二百って」

愚痴りたくもなるざます!



店の朝は忙しい。



他のお店がどうかはわからないけれど、うちの店の場合は夜間に配送センターから運ばれてきた荷物を、一点一点差異がないか検収していかなきゃいけない。

それはもうあなた、ハンディタイプのちっちゃい検収機で一点一点読み込ませていくわけですよ。

ちなみに一ボールが、段ボール箱一個ね。

その中に、大体三十六~四十八点の洋服が詰め込まれてる。

これが児童・ベビーになるともっと大変。

商品がが小さいだけに、一ボールに百点以上入ってくることがある。


それを検収し、店出ししやすいように段ボール箱に分類し、差異がないか確認する。

ちなみにそれを午前中までに終えないといけない。


売り上げ上位店ならまだしも下位店は人員が少ないから、昼休憩までに終わらせないと売り場に人がいなくなってしまうわけですよ奥様。

なので、頑張るわけです。

開店時間までに店長である私が……いつ出社しても人件費に影響のない私が、早出して頑張って終わらせなきゃいけないわけです。

本当はダメなんだろうけれど、文句言うなら人員寄越せっての!


「はぁ」


ぶちぶち言ってても仕方ない。

やらなきゃ終わらないんだから、やるしかない。


「うっし、やるか!」

気合を一言、カッターを持って段ボールの山へと立ち向かった。








「おはようございます」

朝九時。

出勤してきたパートさん達を前に、朝礼開始。

今日の作業量、シフト確認、昨日の出勤者からの申し送り等々。

それをさらっと流してさっさと店出しに取り掛かってもらう。

お客さんが来ていないうちに、集中して店出しを行えば営業中の負担が減るから。

朝礼終了とともに売り場に散ったパートさん達を見送ってバックヤードに戻ろうとした私の横に、一人のパートさんがやってきた。

「店長、一体何時からやってたんですか。検収作業」

「……三宅さん、目が怖い目が怖い」

一緒に歩きながら少しふざけて笑うと、釣り目気味の目をもっと吊り上げて地を這う低音でぼそりと呟いた。


「……店長?」


「六時です!」


ばっ、と手を上げて答えると、三宅さんが肩を落とした。

「……うちの売り上げが少ないから、こんなに店長に苦労を掛けて……」

そのまま片手で顔を覆う。

私はその肩に手を回して、ゆっくりと首を横に振る。

「それは私の所為だよ、三宅さん。売り場管理も売り上げ管理も、私の役目。本当にごめんなさい」

私の言葉に、三宅さんが顔を上げる。

「店長……」

「三宅さん……」

見つめあう二人の横を、違うパートさん……角田さん……が通り抜ける。

「いつもの阿呆劇場してる暇あったら、さっさとお仕事してくださいー」

そのまま振り返らずにバックヤードに消えていく、角田さん。

後姿を見送った私たちは、顔を合わせて歩き出す。


「なんか、いつものこれやらないと気分が乗らないんですよねー」

「そうそう。なんていうの? 挨拶代り?」


そして怒涛の検収・店出しに突入した。




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