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だから、なに?  作者: 篠宮 楓
地球という名の星の日本という国です
1/22

1 店長ですが。

どもです、篠宮です^^

見切り発車で始めちゃいます、ファンタジー。

挫折しないよう頑張ります!


異世界行くまでが長いかも^^;

「は? 店長、ですか?」


きっと、すっごく間抜け面を晒してるだろうけれど、今はそんな事気にしてる余裕はなかった。

おうむ返しのように言われた言葉をそのまま口にすると、長机を挟んで座っていた上司が苦笑しながら頷いた。

「そう。二週間後に着任予定」

「に、しゅう……かん」

頭が真っ白になった。




私が勤めている会社は、全国にチェーン店を持つ衣料品店。

本社は東京にある為、採用自体は東京で行われているけれど、全国転勤が前提として雇用条件に入ってる。

っていうか、最初のアンケートで「地域限定の転勤」っていう選択肢があったからそれに○つけて出したんだけど、部長面接で説得されて全国に変えた。

確かに自分の意思だけれど、最終面接で、部長を目の前にして、頷かない人っていないと思う。

馬の鼻っ面に人参ぶら下げられたようなもの。

この就職難。

希望職種に就職できるだけでもありがたい、たとえ全国転勤になろうとも。

大体転勤することになるのは店長以上。

入社して早ければ二年目に店長になる人がいる事は知っていたけれど、数学が出来ないどころか算数がお馬鹿な私にそのお鉢が回って来るとは思ってなかったのだ。


確かに楽しい。

接客販売は、天職と言えるほど楽しい。

自分の勧め商品を嬉しそうに買い上げしてくれた時なんて、舞い上がりたくなるほどうれしくなる。

だから、頑張った。

お客さんに笑ってもらえるように。

お店のパートさんに笑ってもらえるように。



なのに。









「……それが仇になるとは」


大きく溜息をついて、アパートのドアを開ける。

しんとした静けさと、カーテンから差し込む外の明かりだけの薄暗い部屋。

もう一度ため息をついて、靴を脱ぐ。

ワンルームのフローリングに下した足の裏が、じんじんと痛みを訴えている。

さっさとシャワー浴びて、さっさと寝たい。

明日も人員すくない癖に、売り出しが控えてる……。


脳内で明日の自分のシフトを考えながら、肩にかけていた大きめのバッグを廊下に置いた。

ふっと軽くなった体に、思わず座り込む。

今座ったらきっと動けないって分かってるのに、つい体から力が抜けてしまった。


「あー、シャワー浴びて……ご飯食べて……寝なきゃ、駄目なのに」

そんな事を呟きながらも、体は休息を欲していて。


諦めて、ごろりと仰向けに寝転がる。

薄暗い天井に目をやって、溜息をついた。




上司に店長昇格と転勤を言い渡されて、もう三か月。

既に二ヵ月半、店長やってる。

辞令が来てから、時が経つのが早かった。

定期異動外の人事だったから寝耳に水だったのだ、店長にとっても私にとっても。

定期異動までまだ4か月近くあったから、店長職を教えてもらいながらまだのんびりと仕事をしていた。


正社員が一人ないし二人しかいないこのお店は、大半がパートさんの力で成り立ってる。

けれど社員しかできない事も、多々あるのが現状。

ここ数か月私が担当していた売り場管理と商品管理を、店長とパートさんに引き継がなくちゃいけない。

通常丸二年くらいたって店長になるわけで、それを念頭に置いた店長職の勉強中だった。

初めて任された売り場・商品管理。

店長は手を出すことをせず、雑務にまわって私をフォローしてくれていた。



だから。

引き継ぎに思った以上に、余計時間がかかってしまって。

てんやわんやの大騒ぎ~♪ って歌ってたら、店長に小突かれたけど。

ふざけない事には、やってられなかった忙しさ。


引継ぎして、帰宅して荷造りして、店内作業して、引継ぎして。

正直、よく生きてたよ……私も店長も。



どたばたどたばた引っ越し準備を終えたのは、引っ越し当日。

って言っても、元々一人暮らしだった私の荷物は段ボール七箱。

長く住んできたアパートの部屋の掃除に、一番時間をかけたって感じ。

だって、今度いつ戻ってこられるかわからないのだから。


その後は車持って転勤先行かなきゃいけないから、混まない様深夜に出発して……



「怒涛の三か月だったよね……」



救いは異動先のお店の雰囲気が、とてもよかったこと。

だから私も、頑張れる。



「弱音はいても仕方ない。やらなきゃいけないんだから、やるしかないっての」

そう気合を入れると、体を起こしてぎゅっと拳を握りしめた。

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