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一念
なし
ムック本
カラーの表紙
真っ白な壁面
その前に並べられた
もの
緑の丸
まりもか？
やたらと光沢のある
黒光りした皿に置かれている
その隣は
黒茶色のまるみのある器
茶器
苔から
背丈の低い
紅葉が幾本か伸びている
「わびさび」
私がカウンターに行った時
それも
借りて当然というように
森山 みさ子が薦めてくれた本
丸い蛍光灯が
ちらついている
そういえば、
あれからいく日たつか
２週間、
そこらか
曜日の感覚がない
図書館に本を返さなければ
ならない
期限延滞
ぞっとした
いつぞやの
カードローン取り立てを
思い出した
あのときも
はじまりは
こんな感じだったか
ぱらぱらと
その本をめくった
西芳寺
三千院
法然院
古刹がならんでいた
しまいのページは
東福寺方丈庭園であった
淡いつつじ
その前に幾何学模様にならんだ
ピンクのタイルと
緑の苔
はて
どこかで見た光景に
思わずみとれ
そして思った
どこかで見た
翌朝４時
なぜか早くに目が覚めた
店のシャッターを開け
どれくらいぶりかで
外にでた
出るなり
路上に
はいつくばって
記憶をさがした
なし
