安息日(仮)@9
土曜、午前。三姉妹の豪華スィートルーム
ポンコツ執事こと勇者は一晩中LINEと戦い続け、ついに朝日を拝んでいた。
指先は摩擦で熱を持ち、意識は「無下限」の彼方へ飛んでいる。
「……はい、これ。土日の予定とかランチとディナー、計四箇所の店選びと予約やパパたちへのリマインドは終わったわよね?」
長女ラサが、優雅にコーヒーを飲みながら「地方報告書」ならぬ「デート予定表」を突きつける。
執事は充血した目でそれを受け取り、絶望の声を上げた。
「……土日の……ランチとディナー……? 待ってください、ラサ殿。雇用契約書には『土日、ヤスミ』と……。安息日は、昨日提案してくれた定めた休息の時ではなかったのか……!?」
「あ? なに言ってんの。あんたは『執事』でしょ? 私たちがテイムしてる時の予約ぐらい休む前に済ましてくれて!?」
次女ラセが、マニキュアを塗りながら鼻で笑う。
三女ララァにいたっては、もはや虫を追い払うかのように手をシッシッと振った。
「今後はそれ以外は自由にしていいから。あー、もう、視界に入るだけで暑苦しいわ。しっ、しっ! どっか行ってて。私たちはこれからホテルの超高級エステなんだから」
カイルの脳内で、何かが弾けた。
(そうか……金曜までに土日予定スケジュール作れば……『休み』ということかッ!)
「……なるほど。了解しました。……大丈夫、僕、最強ですから」
執事が不敵な笑みを浮かべ、五条悟ばりの「最強ポーズ」を決める。
それを見た三姉妹は、一瞬の静寂の後、一斉に顔を顰めた。
「……何今の。キモいんだけど」
「睡眠不足で脳が腐ったのかしら」
「早くどっか行ってにゃん。エステの時間がもったいないにゃん」
三姉妹の猛烈なドン引きを「照れ」だと解釈した
執事は、開放感に包まれて部屋を飛び出した。
向かうは、目星つけているランチのラーメン屋。
「これが……これがいわゆる『銀ブラ』かッ! 解放感が……すごいぞ! 身体が軽いッ!!(※アドレナリンが出てるだけ)」
一方、三姉妹は最高級ホテルのプライベートスパで、至高のトリートメントを受けていた。
「あぁ……ポンコツにパパたちの対応全部丸投げして受けるエステ、最高だわ……」
「本当。あのポンコツ、便利すぎるにゃん」
サキュバスたちがアロマの香りに包まれて「えろがる」至福の時間を過ごしている頃。
夜勤明け目はバキバキ、しかし足取りだけは軽い「最強のヒモ」が、ついに◯◯とエンカウントを果たす――!?




