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10/11

デニール!?デニーロ!?@10


 24時を回り日曜。


銀座、超高級ホテルの

スイートルーム。



どうしてこうなった!?



勇者は固まっていた


いや、正確には「銀ブラ」という名のアドレナリン過剰摂取による、幸福的フリーズを噛み締めていたはずだったのに。


ランチ

 銀座の穴子だし系塩オリーブラーメンを啜り、無意味にしたり顔で情強スキルで得たデータを元にブランド街を闊歩し、独り「自由」を噛み締めていたが

預かっていた3姉妹のスマホが、深夜0時の時報と共に爆発した。


【至急。部屋に来い。1秒遅れるごとに、タイキック】


タイキック!?むしろご褒美では!?


遅れるわけにもいかず

 ――勇者は、光速を超えた。


「……お呼びでしょうか、お嬢様方」

 バタン! と扉を開けた執事。しかし、そこで彼を待っていたのは魔王軍の軍勢よりもエロ恐ろしい、「現代日本の深夜の無防備」だった。


 部屋には、エステ帰りで最高に「仕上がった」三姉妹。

 長女ラサは、胸元が大胆に開いたシルクのネグリジェからポロリ。

 次女ラセは、カルバン・クラインのスポーツブラにボクサーパンツという、アスリート系のエロティシズムを体現した姿でストレッチ

 三女ララァにいたっては、もはや布面積が誤差レベルのキャミソール姿でベッドに寝転んでいる。


「……あ。来たわねポンコツ。ねえ、この『粘膜リップ』、どっちが今の私の『自己肯定感』に合うと思う?」

「カイル、こっちのシアータイツ、80デニールと60デニール、どっちが私の脚の魔力を引き出せるかしら?」


「……。……ラサ殿、ラセ殿。……そんな矢継ぎ早に。デニール!?デニーロ!?まだ映画見てません。え?違う!?まず確認ですが僕の土日の自由時間は、……?」

「はあ? 『休日出勤』ね!というより妾達と週末深夜同じ部屋で過ごせてるのよ!?むしろこっちがお金欲しいわ」


 カ脳内で、再び何かが弾けた。


「……了解しました。……大丈夫、僕、最強ですから」

 目はバキバキ、しかし手捌きは神速。

 カイルは渡されたリキッドファンデとリップを交互に睨みつける。


「ラサ殿、このリップは『粘膜』というより、もはや『深淵』。貴女の強欲な美しさに相応しい。ラセ殿、そのスポーツブラはDTをクリティカルに瞬殺に匹敵する……!」


「……褒めてんの? 喧嘩売ってんの?」

 三姉妹が「えろがる」どころか「ドン引き」の限界値を突破しそうになった、その時。


 部屋のインターホンが、無機質に鳴り響いた。

 モニターに映し出されたのは、黒髪清楚なロングヘア、地雷系メイクに特に鼻が美しい女性


『いるんでしょ? 救済してくれないなら、今すぐこの部屋の角で鼻のプロテーゼ折って死ぬんだけど』


 画面越しでも伝わる、ヤンデレ特有の迫力が三姉妹の温度が、一気に氷点下まで下がった。


「……ねえ。あの『鼻フルぴえん女』、誰よ」



知らんがな



 勇者の「日曜(二日目の地獄)」が、24時ジャストに幕を開けた。


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