デニール!?デニーロ!?@10
24時を回り日曜。
銀座、超高級ホテルの
スイートルーム。
どうしてこうなった!?
勇者は固まっていた
いや、正確には「銀ブラ」という名のアドレナリン過剰摂取による、幸福的フリーズを噛み締めていたはずだったのに。
ランチ
銀座の穴子だし系塩オリーブラーメンを啜り、無意味にしたり顔で情強スキルで得たデータを元にブランド街を闊歩し、独り「自由」を噛み締めていたが
預かっていた3姉妹のスマホが、深夜0時の時報と共に爆発した。
【至急。部屋に来い。1秒遅れるごとに、タイキック】
タイキック!?むしろご褒美では!?
遅れるわけにもいかず
――勇者は、光速を超えた。
「……お呼びでしょうか、お嬢様方」
バタン! と扉を開けた執事。しかし、そこで彼を待っていたのは魔王軍の軍勢よりもエロ恐ろしい、「現代日本の深夜の無防備」だった。
部屋には、エステ帰りで最高に「仕上がった」三姉妹。
長女ラサは、胸元が大胆に開いたシルクのネグリジェからポロリ。
次女ラセは、カルバン・クラインのスポーツブラにボクサーパンツという、アスリート系のエロティシズムを体現した姿でストレッチ
三女ララァにいたっては、もはや布面積が誤差レベルのキャミソール姿でベッドに寝転んでいる。
「……あ。来たわねポンコツ。ねえ、この『粘膜リップ』、どっちが今の私の『自己肯定感』に合うと思う?」
「カイル、こっちのシアータイツ、80デニールと60デニール、どっちが私の脚の魔力を引き出せるかしら?」
「……。……ラサ殿、ラセ殿。……そんな矢継ぎ早に。デニール!?デニーロ!?まだ映画見てません。え?違う!?まず確認ですが僕の土日の自由時間は、……?」
「はあ? 『休日出勤』ね!というより妾達と週末深夜同じ部屋で過ごせてるのよ!?むしろこっちがお金欲しいわ」
カ脳内で、再び何かが弾けた。
「……了解しました。……大丈夫、僕、最強ですから」
目はバキバキ、しかし手捌きは神速。
カイルは渡されたリキッドファンデとリップを交互に睨みつける。
「ラサ殿、このリップは『粘膜』というより、もはや『深淵』。貴女の強欲な美しさに相応しい。ラセ殿、そのスポーツブラはDTをクリティカルに瞬殺に匹敵する……!」
「……褒めてんの? 喧嘩売ってんの?」
三姉妹が「えろがる」どころか「ドン引き」の限界値を突破しそうになった、その時。
部屋のインターホンが、無機質に鳴り響いた。
モニターに映し出されたのは、黒髪清楚なロングヘア、地雷系メイクに特に鼻が美しい女性
『いるんでしょ? 救済してくれないなら、今すぐこの部屋の角で鼻のプロテーゼ折って死ぬんだけど』
画面越しでも伝わる、ヤンデレ特有の迫力が三姉妹の温度が、一気に氷点下まで下がった。
「……ねえ。あの『鼻フルぴえん女』、誰よ」
知らんがな
勇者の「日曜(二日目の地獄)」が、24時ジャストに幕を開けた。




