第4話:遺跡の呼び声と、影の狩人
ギルドのホールに、ざわめきが広がっていた。
朝一番の喧騒。
冒険者たちが掲示板に群がる。
俺たちは、ミアの解毒剤を飲み、腕の熱を抑えながら入ってきた。
まだ完治じゃないが、動ける程度にはなった。
受付の女性が、俺たちを見て目を丸くする。
「あなたたち……ちょうどいいわ! 緊急クエストが出たの」
掲示板の中央に、赤い紙。
【緊急:遺跡探索】
【危険度C】
【報酬:銀貨100枚+遺産の分け前】
【内容:先駆者たちの遺跡で異常発生。調査・鎮圧】
エラが息を飲む。
「先駆者たちの……遺跡?」
ミアが頷く。
「ええ。伝説の四天王が、古龍を封じた場所の一つ。
ガルド・ヴァルハートの槍が眠るという……」
女性が説明を続ける。
「昨日から、地響きが止まないの。
中から、竜の咆哮が聞こえるって報告が。
パーティで向かってくれる?」
俺は即答する。
「やるよ。
これで……伝説の代償を、少しでも払える」
エラとミアが頷く。
三人で向かう。
だが、ギルドの出口で、影が近づく。
「待てよ。新入りたち」
振り向くと、獣人族の男。
耳が尖り、尾が揺れる。
褐色の肌に、軽装の鎧。
背中に弓と短剣。
歳は俺と同じくらい、20代前半。
「カイル・ウィンドストーカー。
斥候専門だ。
お前らの噂、聞いたぜ。
竜血の霧に触れたって?
遺跡じゃ、俺の目が必要だろ」
エラが警戒する。
「なぜ……私たちに?」
カイルが肩をすくめる。
「ギルドの紹介だよ。
それに……俺も、竜に家族を殺された。
お前らと同じさ」
ミアが本から目を離す。
「獣人族の嗅覚と視力……確かに、遺跡探索にぴったり」
俺は手を差し出す。
「じゃあ……組もう。
四人で」
カイルが握り返す。
「よろしくな、リオン」
こうして、パーティは四人に。
リオン(タンク)、エラ(魔法アタッカー)、ミア(サポート)、カイル(機動/デバフ)。
伝説の四天王を思わせる構成。
まるで、運命みたいだ。
遺跡は、山の麓。
古い石門が、苔むして佇む。
地響きが、足元から伝わる。
カイルが鼻を鳴らす。
「臭うぜ……竜の血。
それに、何か変な気配」
エラが杖で門を触る。
「封印の魔法……解いて」
青い光が広がり、門が開く。
中は暗闇。
ミアのランタンが、壁を照らす。
壁面に彫られた絵。
先駆者たちの戦い。
ガルドの槍が古龍を貫く姿。
セレナの氷が翼を凍らせる。
ライラの影が卵を毒殺。
ミリアの光が仲間を癒す。
「これが……伝説」
俺は呟く。
ミアの声が震える。
「祖先の過ち……狩りすぎた代償。
ヴォルガノスが大地に血を注ぎ、子孫を増やした」
奥へ進む。
通路が狭くなり、空気が重い。
血の匂いが鼻を突く。
カイルが止まる。
「来る……!」
暗闇から、影翼蝙蝠の群れ。
翼に竜の膜が混ざり、音もなく襲う。
毒針が飛ぶ。
エラが叫ぶ。
「【氷の障壁】!」
青い壁が俺たちを護る。
針が弾かれる。
カイルが弓を引く。
「俺の番だ」
矢が放たれ、蝙蝠を貫く。
毒針を逆手に取り、蝙蝠に返す。
「デバフ……効いてるぜ!」
ミアが薬瓶を振りまく。
【麻痺霧】
緑の霧が広がり、蝙蝠の動きを止める。
俺は剣を振り、群れに突っ込む。
鱗のような翼を斬る。
血が飛び散るが、霧が出ない。
「変異種……!」
戦いが終わる。
息が上がる。
カイルが壁を調べる。
「ここ……隠し扉」
扉を開くと、小部屋。
中央に、台座。
そこに、槍の欠片。
ガルドの槍「竜穿」の一部。
ミアが触れる。
「これ……遺産。
装備に組み込めば、竜耐性がつく」
エラが喜ぶ。
「これで……強くなれる」
だが、地響きが強まる。
部屋の奥から、咆哮。
赤黒い霧が吹き出す。
霧の中から、現れる影。
腐敗樹竜。
樹木に竜の卵が根付いた変異種。
根が俺たちを捕らえようとする。
酸性のブレスが吐き出される。
カイルが叫ぶ。
「弱点は根元! 俺が囮になる」
彼が敏捷に動き、根を斬る。
エラの氷がブレスを凍らせる。
ミアの酸性霧が樹皮を溶かす。
俺は槍の欠片を剣に仮組みし、突き刺す。
ドスン!
樹竜が倒れる。
霧が晴れる。
勝利の余韻。
だが、ミアの顔が青ざめる。
「この霧……ヴォルガノスの血。
遺跡の奥に……何かある」
カイルが耳を澄ます。
「聞こえる……卵の音。
孵化し始めてる」
俺は剣を握りしめる。
「なら……次は、そこだ」
(次回予告:孵化する卵の脅威。
新たな竜種との激戦。
そして、伝説の真実が少しずつ……!?)




