第12話:山脈の遺言と、古龍の影
忘れられた山脈の入り口は、霧に覆われていた。
岩肌が鋭く切り立ち、風が唸りを上げて吹き抜ける。
冷たい空気が肺を刺し、息が白く凍る。
俺たちはロープを結び、雪混じりの道を登り始める。
カイルが先頭で足場を探り、耳を澄ます。
「気配が……重い。
古龍級の影……本気で近づいてるぜ」
エラが杖を握り、淡い光を灯す。
「英雄たちの最後の遺言……ここにあるはず」
ミアが本を胸に押し当て、呟く。
「過ちの結末……私たちが受け止める」
山道は険しく、足元が滑る。
雪が頰を切り、指先が凍える。
途中、崩落の跡。
岩が転がり、埃と雪が舞う。
カイルがロープを張り直す。
「ここ……昔の戦いの痕だな。
英雄たちが、古龍とぶつかった場所」
エラが壁の傷跡を触る。
「氷の魔法の残滓……セレナのもの」
さらに登る。
頂近くの洞窟。
入り口が凍りつき、青白い光が漏れる。
エラの魔法で氷を溶かし、入る。
中は広大なホール。
天井が高く、壁に古い壁画。
英雄たちの最後の戦い。
槍が心臓を貫き、氷が翼を封じ、影が卵を毒し、光が仲間を癒す。
だが、最後に……ヴォルガノスが血を大地に注ぐ姿。
中央の祭壇。
氷の台座に、封印された巻物。
ミアが近づき、手を置く。
「これ……最後の遺言」
巻物が開く。
英雄たちの声が、幻のように響く。
ガルドの声。
「我々は……狩りすぎた。
竜は生態の頂点。
絶滅させれば、世界が崩れる」
セレナの声。
「子孫は隠れ、増え続ける。
血の呪いが、復活を呼ぶ」
ライラの声。
「過ちを認めよ。
未来の者よ……共存の道を探せ」
ミリアの声。
「血の代償を払え。
だが、憎しみだけで終わらせるな。
絆で……世界を繋げ」
声が消える。
巻物が光り、俺たちに知識を流し込む。
ヴォルガノスの真実。
古龍王は、死に際に血を注ぎ、
「人間が過ちを悟るまで、子孫は増えよ」と命じた。
復活の鍵は、「血の祭壇」。
大陸の中心にあり、そこで血を捧げれば、
古龍は完全に目覚める……または、封印が永遠になる。
エラが震える声で言う。
「これが……英雄たちの遺言。
私たちは……選ばなきゃいけない」
カイルが拳を握る。
「共存か……絶滅か」
ミアが涙を浮かべる。
「祖先の過ち……私たちが終わらせる」
だが、洞窟が激しく揺れる。
天井から雪が落ち、岩が崩れる。
奥から、巨大な影。
古龍級の影――ヴォルガノスの残滓。
体長30m、鱗が黒く輝き、目が赤く燃える。
翼を広げ、咆哮。
風圧が俺たちを吹き飛ばし、雪と岩が舞う。
「これは……本物の古龍級!」
俺は槍を構える。
「みんな……全力で!」
影がブレスを吐く。
黒い炎が洞窟を焼き、熱気が肌を溶かす。
エラの【氷の封印爆発】
巨大な氷の爆発がブレスを押し返す。
氷の破片が飛び、洞窟に響く。
カイルの【影潜行】
影に溶け込み、背後を取る。
【毒影連射】で目を狙う。
毒が影に染み、動きを鈍らせる。
ミアの【絆の盾】
光の盾が全員を包み、黒炎を防ぐ。
【全体回復】で傷を癒す。
俺は【竜影斬り】を発動。
槍が影のように伸び、鱗を斬る。
血が噴き、霧が広がる。
だが、影は再生。
「倒せない……!」
影の声が響く。
「人間よ……血を捧げよ。
それとも、共存を選ぶか?」
エラが叫ぶ。
「共存……でも、どうやって!」
影が翼を広げ、洞窟を崩す。
岩が落ち、道が塞がれそうになる。
カイルがロープを投げ、俺たちを繋ぐ。
「逃げるぞ!
遺言は持った……次だ!」
俺たちはロープを頼りに、崩落を避け、洞窟から脱出。
外の山頂。
影が追う。
だが、日光が差し、影が薄れる。
「昼間は……弱い?」
影が咆哮し、霧に溶ける。
「血の祭壇で……待つ」
俺たちは息を荒げ、座り込む。
体に光。
【リオン / レベル17 / 新スキル:血の共鳴】
全員アップ。
エラ:【氷の永遠封印】
カイル:【影の連鎖】
ミア:【代償の浄化】
ミアが巻物を握る。
「血の祭壇……大陸の中心。
そこで、決着を」
カイルが立ち上がる。
「共存か、絶滅か……俺たちは選ぶ」
俺は空を見上げる。
赤い雲が広がる。
「英雄たちの遺言……受け継ぐ。
四人で……世界を変える」
山を下りる道中。
遠くに、街の灯り。
だが、空に新たな影。
古龍復活の兆しが、近づいている。
(次回予告:血の祭壇への道。
同盟の最終決戦準備。
そして、ヴォルガノスの真の声が……!?)




