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蒼輝石

蒼輝石(宝石大辞典より抜粋)


輝光鉱石の一種。

同鉱石群の生輝石リヴィリス根源石テラとならぶ、魂などを結晶化させて作る高純度エネルギー結晶体を指す。

基本エネルギー総量で言えば、生輝石を1とすると、根源石は100にあたり、蒼輝石は100000000。

その精製方法はやはり魂を基本とするが、他の2石と違い蒼輝石は精神と魂、2つをセットにした高純度エネルギー結晶体であるため、

同2石と比べても扱いが非常に難しい。

蒼輝石など輝光鉱石の精製、および運用等で繁栄をしていたカディアガルド皇国も、その技術的失敗により滅亡を辿ることになった。



「カディアガルド皇国?」

「確か、この大陸の歴史上唯一大陸統一をなされた国だったと記憶していますが――」

あごに手をのせてアーリィは言葉を濁す。

「その時代のことを記す古文書や、石碑などといったものが現在ほとんど現存されておらず、大陸史の空白時代とも言われている時代です」

「わたしも確か講義とかで習った記憶があります。

大陸を襲った未曾有の大災害で、空白時代――旧時代の歴史的物品の類が全て消失されたって」

「未曾有の大災害?はじめて聞いたな」

「何が起こったかは現在でも不明とされていますが、

今の時代よりも遙かに高度な文明が存在し、そこで暮らしていた人間も今の時代の人間よりも能力的にも高かったらしいです。

神の種族であれば、その時代にも存命されていた方が多いのですが、きまって口をつぐみます」

「神……ね」

ウィナはその言葉を聞き、【世界神話】をあるページを開く。

「ここに面白い神がいるんだが」

ウィナが示したページを見て、全員が息をのむ。


「……【始まりの神】ですか」

「名を【α(アルファ)】というらしいが、一番驚くところはこの神が生まれた要因に人間が関係しているということだな」

「え、人が神を生み出した……ということですか?」

「ふむ……」



始まりの神【α(アルファ)】(世界神話より抜粋)

種族神として、最初に誕生した神。

その風貌等については記述されたものは全て消失しているため、どのような姿、形をしていたかは現在でも不明。

しかし、その誕生には人が絡んでいるという。



「これじゃあ、全然わからないですねー」

「師匠に聞けば何かわかるかもしれないですが……」

「現状じゃこれ以上何かわかることはないということ、か。まあ、それを知ったからどうということはないが、」

「ウィナ。

ちょっといいかしら?」

とシアが話を割り込んで、こちらに問いを投げかける。

「なんだ?」

「わたしを宝石?にして、今のわたしの身体にのませたのって、蒼輝石じゃないのかしら?

その石の形状を見ると、アーリィから聞いたものと同じ気がするわ」

「……ご名答。

だが、どうしてそうなったかは俺もわからない」

「?どういうことですか?」

ウィナは頭をかきながら、

「精神を圧縮し、魂の代わりにさせること自体は、前から考えていたことだしおそらくうまくいくだろうと思っていた。

ただ、実際に試みたのはシアの時が最初だったわけだが。

その時まで、どういう感じで固形化するのかは想像していなく、おそらく生輝石や、根源石のような形のものだろうと考えていたが」

「できあがったのは蒼輝石ですか?」

「そう。

俺もこの宝石大辞典を見るまでは、少し種類の違うものくらいにしか思っていなかったが、この説明を見ると生輝石や、根源石とは全く別物だな」

「エネルギー量がケタはずれですよね……」

ため息をもらしながら、グローリアはつぶやく。


「でも、それだけのエネルギー量があるのにもかかわらずどうして【盲目の巫女】はこれをつくらないのかしら?」

「それは――」

「どうしてですかねー」

「なんでだろうな」

全員の頭上に疑問符が浮かび上がる。

「……ま、巨大な根源石を作るよりは、これが1つ2つあればエネルギー的な問題は解決するだろう。

あの根源石作りがエネルギーを集めて何かをするということが前提だが」

「【盲目の巫女】の目的は復讐ですから、あえて多人数を犠牲にする方法をとっているのだとすると、考えられない話ではないですね」

しこりが残る結果だが致し方なしというところか。

あとは本人にその辺を聞くしかないだろう。

「復讐……」

ぽつりとグローリアはつぶやく。

「女王様達に何があったんですか?」

「――言葉にしたら簡単なことなの。

前王はある村を襲い、実験場に仕立てあげ、そこで口にするのもおぞましい様々な実験が行われたということ。

王の好奇心を満たすためだけに」

「…………矛盾するな」

「ええ、だがそれもヘラ・エイムワードが時間を操ることが出来るということで、解決しますが」


前王に為された所行に、彼女達が関わっているのならば、彼女達が帝国の建国期から何か干渉をしているというのは物理的に無理である。

しかし、それも時間を操るといういうことで解決する。

おそらく時間をさかのぼる等をし、建国期から帝国に干渉した。

復讐のために。


「彼女の復讐は今もなお続いている――か。

だからこうして俺達がここにいるわけだが」

「そろそろ一時中断されてはいかがでしょうか?ウィナ様」

テリアに言われ、外を見るともうすっかり夜の帳が落ちていた。

「そうだな。夕食をとってからまた始めようか。テリア」

ウィナは彼女を呼び、耳元でささやく。

「……っ!かしこまりました。」

ささやきは依頼。

そう。さきほど蒼輝石の名称を口にした時、顔色を変えた者のことをウィナは忘れてはいなかった。




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