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幻と現

「早速だが、いろいろと聞きたいことがある。聞いてもいいか?」

と、ウィナは目の前にいる【真実の目】盟主リベオン・イルギス・アイウィリッシュ・ティターンに尋ねた。

あまりに率直な物言いに、機嫌を悪くするかと思ったが彼女は微笑を崩さず、どうぞと目でうながした。

「大陸に建てられた6つの塔の存在意義と、それに連なる知識を」

「いいでしょう。

ただし、条件があります」

「?なんだ」

「あとでわたしの質問もお答えいただくというのはどうですか?」

「……ふむ。まあ、いいか」

腕を組み、リベオン・イルギス・アイウィリッシュ・ティターン――盟主の要望に同意の旨を示した。

「6つの塔は、6柱の神々が封じられている塔でもあります。

かつて、世界を創造した創造神と、その眷属。

眷属は創造神がこの世界を去る時に、この地に残り自ら世界を循環させるための楔となって存在し続けています。

あの塔はそんな彼女達を守るために存在する外殻です」

「世界を循環させる――つまりは、法則の体現者ということか?」

「ええ、その通りです、【闘神姫】。

世界法則の体現者である彼女達が、万が一にでも失われることになれば、この世界の秩序は崩壊し災厄が訪れるでしょう」

「世界の……崩壊」

首を掻きながら、ウィナはため息をつき、

「まあ、そうなるだろうな。

俺として信じられない話しだが」

「何故です?」

「……世界がたった6柱――6人によって守られているなんていうのは――

なんというか、生け贄にしているような感じがする。

普通に生活しているこの地の人間が、平和に生存するための」

その答えに、盟主はまあ、と驚き瞬きをした。

グローリアも、ええっ!?声をあげた。

「面白い考え方ですね……」

「そうかな?

創造神の眷属なら確かに力があるだろうが、

力があっても精神がそれについてこなければ意味がない。

そういう意味で、眷属の神々は本当に望んで法の体現者になっているのかは不思議に思うが」

どうかなと隣のグローリアにも尋ねる。

「考えたこともなかったです……」

「こっちの世界の神は明確に存在する。

古い神とやらの一柱にもあったが、力とかを考えなければ普通の人間と全く変わらなかった。

なら、創造神の眷属もまた、力を抜きに考えれば普通の人間と大差ないだろう。

なにせ、創造神とやらはこの世界に絶望したという話しだしな」

どうかな?

とウィナの問いに盟主は、

「貴女は本当に面白い人ですね。

【闘神姫】。

ですが、この話はここまでにしましょう。

まだ肝心の話をしていませんから」

「そうだな。

――それで、6つの塔は理解できた。

それが何を意味するかだ」

「答えは簡単です。

法則を可視化させることで、法則を体現している式が顕在化します。

見えなかった世界構築の式の一端を理解できれば、その結果起こることはなんだと思いますか?」

「――世界の創造か」

「その通りです。

見えなく、触ることができない。

それはある種、完全な防衛機構であるといえます。

もちろん、それも完璧ではないので他にも様々な仕掛けを用意しますが」

「つまり、【盲目の巫女】達の狙いは、法則の書き換えということだな。

法則を書き換えるほどの何かをしたい――か」

「理解できませんか?」

「いいや、俺も人間だ。

わからないっていうことはない。ただ」

ウィナは、そこで口をつむぐ。

「ウィナさん?」

「……いいや、なんでもない。

それで相手の狙いはわかった。実際、その法則を操作するのはどれくらいかかるものなんだ?」

「それは、現在解析をおこなっている【盲目の巫女】次第でしょう。

世界を構築した顕在式です。

そうやすやす人が理解できるものではありません。

それに、【盲目の巫女】は魔法の才能がほとんどありません。

時間はかかるでしょう。おそらく次の新月――」

「次の新月というと、あと3日か。

……ずいぶんと差し迫った状況だな」

肩をすくめる。

たった3日で、現状を変えるにはなんとかしろ、ということだ。

無理な要望にもほどがある。

「――ちなみにあんたにはどうにもできないのか?」

ふと、【真実の目】の世界を調律する組織が何もせずに指をくわえているというのも変な話しだ。

「できますよ」

ウィナの問いに、彼女はあっさりとできると宣言した。

「えっ……」

あまりのことにグローリアは言葉につまり、

ウィナは片眉をピンと跳ね上げた。

「ほう。

なら何故動かない?」

「【闘神姫】。

貴女は理解できているのではないでしょうか?」

「…………世界滅亡にはならないから関係ない――か?」

その通りです。

と盟主は答えた。

「そ、そんな……わからないじゃないですかっ!!

儀式に失敗するとか、なにか別のことが起きるかもしれないのにっ!!」

グローリアの詰問に彼女はただ微笑を浮かべるだけ。

「つまり、知っているんだな?」

「!?」

グローリアのはっとした声。

「そうならないと知っている。だったら静観しているのもわかるな」

皮肉を口にする。

黙して語らない彼女に、ウィナは問いかけた。

「全てはヴィムアークーー預言書に書かれているーーそういうことか?」

「全てが書かれているわけではありません。ウィナ・ルーシュ。あれは記録を保存する媒体であり、そしてある一つの物語の終りが書かれているにすぎないのです。」

「ある一つの物語?」

「それ自体はどこにでもある物語です。ただ……彼は偶然にも力をえてしまった。

それが全ての始まりだったのですーー」

盟主は語った。

預言書と言われているものの真実を。

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