秘密を打ち明けてから
「えっ!……暗殺者!?」
「そう、私のお父さんは暗殺者だったの。私はその後継ぎにならされたの。」
雅夜には信じられなかった。
こんなにかわいくて優しい里枝美が、昔は暗殺者だったとは……。
「…………今は暗殺なんてやってないんだよな?」
「……お父さんが逮捕されてからは、いろいろと事情聴取とかされてから、私は別の家の人に引き取られることになったの。私のお母さんは私が小さいときに死んで、私には頼る人がいなかったから。」
「……今の家族は、このことを知っているのか?」
「もちろん、知ってるわ。このことを知った上で、私を受け入れてくれたの。」
「そうだったのか。」
「この話を聞いて、私のことが嫌いになったでしょ?怖くなったでしょ?そりゃあそうよね。私はただの人殺しなんだからね。」
「そんなことねぇーよ!」
「そうに決まってるわ!」
「過去がどうであれ、里枝美は里枝美だろ?過去にとらわれずに、現在を生きていれば、それでいいじゃないか。」
「……過去は変えらないわ。」
「過去よりも大事なのは現在だ。」
「…………雅夜ならそう言ってくれると思ってたわ。でも、もう遅いわ。」
「遅くなんてない!」
「……ありがとう、雅夜。」
(タッタッタッタッ……)
そう言い残して、里枝美は走り去ってしまった。
「待てよ!里枝美ぃーーっ!」
里枝美の姿が、雅夜からどんどんと遠ざかっていった。
「どうしてわかってくれないんだよ?……里枝美。」
雅夜は夕暮れの中、1人佇んでいた……。