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046. 戦の予兆

平明神(たいら みょうじん)です。

最高に面白い小説を皆様に読んでもらいたいと、いま出せる全力で作った作品です。どうか応援をお願いいたします。


面白い、続きが読みたいと思われた方は当ページの下部にある部分から評価をつけて頂ければ幸いです。


※ 小説家になろうさまでの連載はひと月に一回、複数話をまとめて投稿いたします。

なお、他サイトでは今まで通りのペースで投稿いたします。

詳しくは著者のX(旧Twitter)をご覧下さい。

https://twitter.com/@TairaMyoujin


「ええ⁉︎ ど、どういうこと? ここはどこ?」


「す…凄い! 凄いよユーゴ! こんなことができるなんて」


「わぁっ! 話には聞いていましたけれど…」


「ほ……本当にベルトガルドだ。もう何でもありだな、ユーゴは」


 ユーゴ、チアキと共に【幽世の渡航者(ワンダフルダイバー)】を潜ったフィールエル、ネル、リリ、レイア。

 四者四様の反応で感想を述べた少女たちを無視して、ユーゴはチアキに確認する。


「今日の旦那のスケジュールはいつ空いてる?」


「確か、今日はこれから会議が詰まっておる。明日の午前中ならいつでも大丈夫だ」


「確認しなくていいのか? 旦那に」


「ん? ん、んん。大丈夫だ、ほほほ……」


「…? まぁいいや。じゃあ明日会いに行くと伝えてくれ」


 チアキと別れたユーゴは、リリとレイアに伝える。


「あの場に残してたら、あのベ……ベ? 名前は忘れたが、あのつるっぱげが戻ってくるかもしれねぇから、ひとまず連れて来ちまったけど、明日、ソラカにでも送る。今日はどっか宿に泊まれ。ひどい格好だぞ、お前ら」


 先ほどまでダンジョンに潜っていたリリとレイアは、確かにひどい有り様だった。

 ネルの【祈癒】は負傷や疲労を回復させるが、埃などの汚れや衣類の破損はどうにもならない。

 冒険者ならこれぐらいなら当然なのだが、リリは改めて指摘され、顔を赤らめ、服の匂いをチェックしている。


「ユーゴ。それはひどいぞ」


「ユーゴさん。デリカシーを持ってください」


 またも聖女二人に叱られたユーゴ。


「それよりもユーゴ。あの動きといい、強さといい、さっきの白いゲートと言い、あなた、一体何者なの?」


 レイアが珍獣を見る目で尋ねた。


「俺は以前、神代の遺跡を攻略してだな─── (以下略) 」


 ユーゴは伝家の宝刀【神代の遺産】と言う話で煙に巻いた。リリもレイアも、やはりというかそれを鵜呑みにした。

 ユーゴの定宿になりつつある宿に四人も部屋を取った。

 ユーゴが部屋で一息つくと、力強くノックが鳴った。

 千里眼を使うまでもない。ノックにも性格が出る。


「何か用か、フィールエル」


 そこにはやはり、フィールエルが立っていた。真剣な表情で。


「少し良いか、ユーゴ。この子が何か異常を察したようだ」


 フィールエルが言うと、彼女の背中から光り輝く少女が現れた。背には翼、頭上にはには光の輪。


「あぁ、これが天使か…」


 思わずつぶやいたユーゴにこ(・)れ(・)扱いされた天使が頬を膨らませてむくれた。


「彼女はマリエル。この状態の彼女の声はボクにしか聞こえないが、周りの音は彼女に聞こえるんだ。これって言うなと言っている。いや、そんなことより、マリエルがこの街に何かが集まってきているみたいだと言っている。マリエルはボクから少しは離れて行動できるが、あまり遠くまでは離れられないから詳しくは……。ユーゴは何か感じないか?」


 千里眼を発動しながら、ユーゴはようやく理解した。

 ゼスト (フィールエル) と初めて会った日の夜、ゼストがどうやってユーゴのいるデニス邸とユーゴの部屋の位置を知り得たのかを。

 この天使が不可視化して、ユーゴを尾行していたのだ。


「これか。なんだこいつら……」


 千里眼の映像には、ベルトガルドに向かって遠くから飛来する、飛蝗(ひこう)のような黒い塊が視える。

 千里眼の視点をズームインすると、それは飛行する人型をした生物の群だった。

 個体ごとに顔つきや体格に差あれど、全体に共通する特徴がある。ベルタリオやチアキのように、コウモリのような羽と頭部に角が生えている点だ。


「ま、魔人族じゃないか! 魔人族が集団でやってきているのか⁉︎」


 ユーゴから話を聞いたフィールは仰天した。


「魔人族ってなんだよ?」


「魔族の中でも特に知能に長けた種族だ」


 そういえばフィールエルは魔人と戦ってきた聖女だと言う話をユーゴは思い出した。

 同時に、同じ特徴を持ったベルタリオとチアキも魔人族であると気づいた。


「魔人族が最近やけに活発になっている気配があったが、それにしてもこれは異常すぎる。それにこの国の王と魔人の王は犬猿の仲だとも聞く。もしかしたら、それは魔人軍の侵攻かもしれない。だとしたら、これは大変なことだぞ」


 フィールエルが憂慮していると、廊下の向こうからリンリンとリコリコがやってきた。


「お客人」


「ベルタリオ様が」


「「お呼びです」」


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


 ひとまずユーゴ一人官邸に赴く事にした。今日は会議で忙しいはずなのに、ユーゴが呼ばれたということは緊急事態の可能性が高い。

 つまり、面倒で且つ愉快な話にはならない気がしたからだ。

 最上階にある国王 (正式には大統領)執務室の扉が見えた時、扉を開けて誰かが退出してきた。

 人影はニつ。

 一人は九十年代日本のロックバンドか怪しい占い師のようなひらひらした服を着た、長身痩躯の男。ヤギの角と蝙蝠のような羽根がある。魔人族だ。

 もう1人は、青髪をツインテールに結った少女で、なんと、だいぶアレンジされているがセーラー服を着ている。ツインテールの根本には貝殻で作られた髪飾りを付けて、細い脚には鱗の意匠がなされた防具がニーソックスのようにつけられている。


「なんだ、貴様は…」


 魔人の男が、ユーゴを睨めつけて誰何した。

 髪と瞳の色、そして顔立ち。ベルタリオと瓜二つと言っていい位似ている。違いは、この男の額に傷があることだけだ。


「……化物め」


 吐き捨てるように言って、魔人族の男は去っていった。

 セーラー服の少女は魔人の男の言葉を聞いて興味深そうな視線をユーゴに向けたが、男の後を追うように去っていった。

 ユーゴとすれ違うとき、香水だろうか、爽やかなサボン香の中から微かに潮の匂いがした。


「羽と角を生やしてる奴に化け物って言われてもなぁ……」


 謂れのない非難を浴びたユーゴは、愚痴りながら執務室へ入った。


「ユーゴか。すまんのう、わざわざ来てもらって」


 室内にはベルタリオと腹心の部下数名がいたが、チアキの姿は無い。


「何かあったのか?」


「ああ。……皆、済まないが席を外してほしい」


 人払いが済むと、ベルタリオは申し訳なさそうに切り出した。


「すまぬユーゴ。お主に協力すると言った話だが、難しいかもしれん。少なくとも今すぐには無理になってしまう」


「理由を聞かせてもらえるか?」


「うむ。つい先程まで、魔王の称号を持つものが二人、ここにおった」


 先程の男と少女だろうと言う子は見当をつけた。


「奴ら…男の方は【奏星の魔王(セイタン)】と呼ばれる魔族の王。グレン・ツェット・ガイツという。女のほうは【冥海の魔王(リヴァイアサン)】と呼ばれる海族の女王。名はパレア・シンクロンだ。そして、お主も知っておろうが、私は【千獣の魔王(ベヒモス)】と呼ばれる獣人、鳥人たちの王だ。まぁ私は大統領と名乗っておるが」


 旅の途中で【千獣の魔王(ベヒモス)】の名は耳にした事があるが、もちろんユーゴはその称号がベルタリオにつけられたことなど知らなかった。

 しかし、さも知っていたと言うふうに一つ頷いた。


「もともと我々は対立関係にあった。それこそ昔は直接闘り合っておったくらいにのう。ここ数十年は小康状態を保っており、三竦みといったところだった。だが、ここに来て、とうとうその均衡が崩れた。本来、険悪だったのは私とグレンだけでパレアはどちらにもつかず中立だった。そもそも彼女は海の住人。住む世界が違うから、私とグレンの感情的な対立や利害の対立などには見向きもせんかったのだ。ところが、急にグレンに付いた。何かの餌で釣ったのだと思うが、とにかく二人で宣戦布告をしにきたのだ」


「つーことは、始まるってことか」

「うむ。戦争だ」

ここまで読んでいただきありがとうございます!

「面白やん?」とか「あかん、続きが気になるわ」と思われたら、

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