表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
麦畑の見える丘で  作者: じゃがマヨ
限りなく青に近い空の下で
2/3

第2話



 「ねえ、あやね。私がどんな球でも受けてみせるから、思いっきり投げていいんだよ?」



 くしゃくしゃの笑顔のまま、彼女はそう言った。


 雨上がりのグラウンドの上で、泥だらけのユニフォームを少しも気にすることなく。




 「ヒロ!」



 私は彼女のことをそう呼ぶ。


 あだ名をつけるわけでもなく、単に呼び捨てで。


 だけど、昔から親しみを込めているその呼び名で、彼女を呼ぶ。



 「呼んだ?」



 振り向きざま彼女が言うそのセリフは、いつもどこかあどけなかった。


 何億回も言ってきた。


 「ヒロ」と。


 その度に彼女は笑顔を見せる。


 穢れのない眼差しで。


 いつだって元気な、底抜けの明るさで。




 私は、彼女と「親友」と呼べる間柄なのかもしれない。


 友達、家族、仲間。


 人間同士の、いろんな親しい関係性がある中で、私たちはもっとも信頼を寄せ合える仲なのかもしれない。



 私は彼女のことが好きだ。


 世界中の、誰よりも。



 そのことを伝える必要はないのかもしれないけれど、いつか彼女には、この胸のうちにある想いだけは、伝えたいと思うことがある。


 “彼女に嘘をついた”、あの時もそうだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ