訳あり集落
黒髪に茶色い瞳をした、ボロボロの灰色のローブを着た青年は、ある集落の家にいた。
劉備。字を玄徳。
彼が今いるのは、幽州の森の奥にある集落。
集落と言っていいのか分からないくらいに小さく、畑や建物が少なく、家も簡素でハリボテみたいだ。
今泊まらしてもらっているのは、ある少女の家だ。
家といっても、それほど大きくはなく、ログハウスとほぼ同じ大きさの、馬小屋と小さな畑のある木造の建物だ。
その居間で座っている劉備は、中央の鍋を見つめながら、脱いだローブにくるまっていた。
彼の目の目には、一人の少女がいる。
ピンク色の髪に女の子っぽい整った顔立ち、線の細い体、軽装の鎧に赤いマントを着た、10歳くらいの少女だ。
あの時は暗くてよく見えなかったが、改めて見てみるとずっと幼い。
そして可愛い。
幼いが妙に色気がある。
居間の角には、少女が使っていた弓と矢束、そして金属製の短槍がもたれかかっている。
おそらく防犯用なのだろう。彼女たちは黄巾賊に対してかなり警戒しているみたいだし。
少女の名前は張飛。字は益徳。
劉備とはつい30分前くらいに知り合った仲で、彼をこの村に止めてくれている。
彼女は今鍋の中をお玉で掻き回している。
鍋の中には人参や肉などが入っていて、香ばしい匂いが食欲をそそり、さっきつい手を出してしまいそうになったが張飛に怒られた。
劉備は暇なので話しかけてみる。
「その年で料理慣れしてるたあさすが女の子ってところだな」
すると張飛は少し難しそうな顔をした後に、はあとため息をついた。
「俺は男なんだけどね」
「・・・・・・・・・は?」
わんもあたいむおーけー?
この世の断りが崩れたかと思うくらいの衝撃が走った。
なんということだこんなにも麗しい女の子が実は股間にポンプアクション式ショットガンを隠し持っている一流のマフィアだっただとお!?
いやまだ年齢的にはショートバレルだとは思うし弾薬もまだ製造が始まってないとは思うがそれでもなんか新たな性癖に目覚めてしまいそうな気がした。
かのマリー・アントワネットも言っていた。
「女とやれないならオトコの娘とやればいいじゃない」、と。
いやそんなことは言っていない気がするが。
劉備は一旦冷静になってからしばらく考えた。
そして、
「ジェ・・・ジェンダー?」
「違うわあ!!ちゃんと生えとるわ立派な散弾銃がよお!!弾薬はねえけどよお!!」
「そ、そうだよね、これからの時代そういう人たちにも理解を広めてかないとね。みんな違ってみんないいって重要だよね・・」
「そんな意味で言ったんじゃねえ‼︎」
「じゃあなんで女装してるん?」
「趣味だよ!!悪いか!?」
張飛はもう半泣きになりながら、鍋を掻き回していた。
時々「ほんとにおとこのこだもん・・・」などという可愛らしい声を漏らしながら、劉備を時々睨みつける。初っ端から印象は最悪と見た劉備は更に会話を進展させようとする。
会話は以下の通りだ。
「じゃあチ○コ見して」
「見せるわけねーだろ?」
「薄い本のネタになりそうだから」
「余計嫌だわバーカ!!」
張飛は目を逸らしてから、気まずそうにいう。
相当いうのが恥ずかしいのか頬に若干紅が差している。
「アンタ、もしかして男もいけるタイプか?」
劉備は極めて平常心で答えた。
「オ○ホールなんて気持ちよけりゃいいだろーが。俺の守備範囲は二次元三次元のみならず、熟女、ロリ、ショタ、オトコの娘、ケモミミ、さらにはオ○ホールなんて必要ない!!自家発電も可能‼︎
やっぱりこれからの時代自家発電だよね!!特にオ○ニーはさ」
「おいいいい!!これ以上下ネタを言うんじゃあねえぜ運営にBANされたらどーするんだよ!!」
「おいおいいくら思春期だからってそんなに顔を赤らめんなよ。どうした?昨夜無修正ロリ画像で床オ○ってるところを見られちゃったかな?」
張飛は床をどんと叩いてさらに激昂した。
半べそ、と言うか、もう泣いていた。
「やめろよ!!必死に我慢してんだからさあ!!」
「あーはいはいすまんな」
「全くもう」と呟いた後に、張飛は再び鍋をかき混ぜる作業に移行した。
スープというものはどれくらいかき回すかで出来が決まる。長時間やりすぎてもダメだし、短時間でもダメ。
意外と奥が深い料理なのだ。
スープが煮えてきた時、居間の戸を開けて一人の少女が入室して来た。
手にはお盆が持たれており、お盆の上には湯呑みが2個あり、湯気を立てている。
少女は張飛の目の前に湯呑みを置く。
「ありがと」
張飛が例をすると、少女はコクリと頷いてから劉備のところに歩み寄り、彼の目の前に湯呑みを置いて一礼し、部屋から去っていった。
少女の服装は水帆らしく、いかにも貧民街出身というか、難民というか・・・。
劉備はこの村のことが来た時からずっと気になることがあった。
この村には妙に子供や老人が多く、みんな痩せていて、元気がない。
ちゃんとした集落のはずなのに、まるで人々はスラム街の住民のようだ。
「なあ張飛、なんでこの集落は活気がないんだ?」
すると張飛は手を止めて、湯呑みのお湯を一口口に含むと頬杖をついて遠い目をした。
まるで嫌な過去を思い出すかのような瞳で、彼は言う。
「ここはな、『訳あり集落』ってやつだよ」
「なんだよそれ」
劉備の問いに張飛はグイッと湯を飲み干して、
「孤児や難民などが集まってできた集落で、ここにいる奴らのほとんどは黄巾賊の被害に遭って故郷を追われたものばかりさ。俺もその一人さ。さっきの女の子は南の農村から姉と一緒に逃れてきたんだが、ここについた直後に姉は死亡し、今は俺の家で一緒に暮らしてるよ」
「可哀想にな・・」
何を言ったらいいかわからなかった。
ただ絞り出すように出た言葉がそれだった。
「よくもまあそんな安い言葉で片付けられるな」
張飛の目はいつもよりずっと鋭く、怒りがこもった野獣のような目つきだった。
怒っているのだろうか。
しかし直後に彼の表情は自嘲の混じったものに変わり、引き続きスープをかき回す。
「疲れただろ?もう寝てもいい時間じゃないのか?」
張飛は劉備の目を見ずにそうぽつりと言い、スープをお椀に流し込む。
手慣れている。まだ11歳くらいだというのに。
そういえば結構劉備も疲労が溜まっていた。
村から港へ、港から山奥へ、山奥から村へ。
ここまで移動していて休むなという方がおかしい。
できればスープをいただきたいが、今は睡眠欲が勝っている。
ここはお言葉に甘えて寝させてもらおう。
劉備は即座にそう判断し、ローブを自分の身体に巻きつけて横になる。
「おやすみ」
彼はそう言って意識を落とした。