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ナノライト  作者: かざぐるま
第一章 Who defined humans.
7/57

第七話 蹂躙

 



 各人(かくじん)の行動は早い。


「緊急事態だ。訓練は中止、――行くぞ。」

「はい、急ぎましょう…!」

「…シロンも、このまちにいるはず。」

「あいつならもう動いてるだろ。」

「うん、たぶん。…みなみもんだっけ。」

「あぁ、街のど真ん中突っ切っていくか。」

「…いっぷんもあれば、じゅうぶんだね。」

「ヒシ。お前は住民の避難に向かえ。」

「…了解です。兄ちゃんを頼みました。」

「分かってる。前線に立つのは俺達の役目だ。」


 今日も北門付近で訓練をしていた俺達は

 兄の声が聞こえた瞬間、街に向かって駆け出していた。


 ロットは青色のピアスに向かって何かを話している。

 それは紺糸(こんいと)メンバーに必ず支給される妖具で

 遠隔で声を飛ばす通信機のような役割を果たすらしい。


 街に着いてすぐ、俺は二人とは別方向に足を進めた。

 『光』を纏ったまま、暗闇に包まれた街を駆け抜ける。


「…………。」


 避難は順調のように見えた。

 街に勤める防衛士達は片っ端から家の戸を叩き、

 今もなお眠りについている住民に避難を促している。

 路上では大人の男性達が中心となって避難誘導が行われ、

 幼い子供や老人、女性を安全圏へと逃がしていた。

 …赤子の鳴き声は聞こえるものの、大半の人間は冷静だ。

 日頃からこういった事態に備えていた甲斐あってだろう。


「……………。」


 少しして、目的地である孤児院に辿り着いた。

 扉の前では院長さんが泣き喚く幼い少年を(なだ)めている。


「いいかい、北門まで逃げるんだよ!」

「うん、わかった」

「よし、この子らをお願いね。」


 彼女が年長らしき一人の子供に素早く指示を飛ばすと

 その子は数人の年少に寄り添うように走り去っていった。


「院長さん!手伝います!」

「! あぁ、頼むよ!」


 孤児院の中にはまだ三十余りの孤児達が残っている。

 とても一人の女性で(さば)き切れる量ではないだろう。


「半分は連れていきます!

 院長さんももう半分と共に避難を!」


 俺は、年長者と年少者をペアにして手を繋がせた。

 これで(はぐ)れる子が出ることはまず無いはずだ。


 目指すのはここから近い北門。

 全ての孤児が無事に逃げられることを願って。




 ---




 南門での戦闘は膠着(こうちゃく)状態が続いていた。

 こちらも爬竜(リザード)も、基本戦術はヒット&アウェー。

 軽率な突撃は死を招く。互いにリスクは冒せない。


 ただ、一つだけ懸念点があるとすれば…。


「動かねぇな…。」

「私達の戦力を窺ってるようです。

 …奴らが動けば戦況は間違いなくひっくり返ります。」


 褐礫(あかれき)サブリーダー、『フヅキ』は冷静にそう述べた。


 戦闘が開始してから、リーダー格の爬竜(リザード)

 並びに龍人(スケイル)は一度も戦いに介入してきていない。

 奴らは不気味なまでの沈黙を保っていた。

 虎視眈々と、まるで何かの転機を待つかのように。


「……仕掛けますか?」

「いや、まだいい。雑魚(リザード)を削るぞ。」

「了解です。」


 俺はフヅキにそう指示を飛ばした。

 奴らが動かないならば、むしろ都合が良い。

 その転機とやらが訪れる前に、削れるだけ戦力を削れ…



 ――嫌な時の勘というのは、よく当たるものである。



「西門より通信!爬竜(リザード)の大群が西門付近に出現!

 その数、()()!!! 戦線の崩壊が近いとのこと!!」


「「「 ―――!! 」」」



 紺糸(こんいと)メンバーからの報告、この場に激震が走った。

 五十と言えば、こちらの爬竜(リザード)の数を大きく上回る。

 西門に控えさせていた游蕩士はそう多くないはずだ。

 …下手をすれば、化物共が街中に雪崩れ込むことになる。

 そうなった場合何が起こるか? ――人間の蹂躙だ。



 最悪の事態は防がねばと思った時、…"最悪"が続いた。



『 ……GUAAUUU……, 』


 遂に己の足を以てこの地へ降り立った龍人(スケイル)

 それは、奴が戦いに参加するという意思の表れ。

 前哨戦の終焉と、災禍の到来、人類の危難を告げている。

 フヅキの言った通り、此処からは戦況がひっくり返る。

 刹那の油断が死に直結するような、高次元の戦いだ。


 ――考えろ。必要なのは現状把握と未来予測。


 …目下の問題は人員不足。南門,西門共に救援は必須。

 猶予は僅かだ。他街からの応援は望めないだろう。

 メーセナリアに在中する戦力だけで事を終わらせろ。

 この場で幻妖を殺れるのは、……五人か。

 ならば、現状で割ける戦力は三人。他二人は遊撃。

 街中には戦える奴も数人居る。それまでは三人で凌げ。


「――街中の全游蕩士、防衛士に声を掛けろ!

 手の空いてる奴は西門の対処だ、化物を街に入れるな!!

 …ロット!シロン!!あの幻妖は俺達で()()ぞ!!!」


 相手は街一つを滅ぼし兼ねない災厄の化身、"幻妖"。

 此方はとても老成したとは言えぬ、未熟な三人の人類。



『 ……GUAARRRLLLUUAAAA!!!!!! 』



 ―――無謀な挑戦が、始まる。




 ---




 数分の後、俺は子供達を連れて北門へと辿り着いた。

 既に到着していた子供も含めて、確認の点呼をとる。

 その点呼が終わるよりも早く、院長さんが声を出した。


「…っ、一人、足りない……!」

「!!! 誰ですか!」

「ノイク! 茶色髪の男の子!

 一番最初に逃がしたはず、途中で逸れたんだ!!」

「俺が探しに行きます!皆さんは…」


 不意に、街全体に男の声が鳴り響いた。



「こちら西門!! 包囲網が破られた!!!


 五十匹の化物が街内に侵入中!! 増援を願う!!!」



 それは、最も望まなかった,恐れていた展開。

 これで一般人に危害が及ぶ可能性が生まれてしまった。

 既に、街の中は安全圏から戦場へと移行している。


「マズいな…、」


 思わずそう言葉が零れた。

 つまり、迷子の少年を一刻も早く救助しなければ…

 …いや、考えるな。救助するのが俺の役目だろ。


「ノイク君は必ず助けます!皆さんも指示通りの避難を!」


 院長さんにそう伝え、俺は即座にその場を離れた。


 発見が遅れるほどその子の生存率は下がるだろう。

 さっき通って来た道を戻って探すしかないか…?

 いや、それでは間に合わない。効率と確実性を上げろ。


「……上から…!」


 俺は『光』を纏った足で家の壁を駆け上がった。

 恐れを押し殺して、屋根から屋根へと跳び移り。

 …跳んで、飛んで…、ノイクという少年を探し続ける。


 ――院長さんから聞いた特徴を持つ少年は見当たらない。


「…居ない、…違う…、―――!」


 が、避難誘導をする人の中に見知った顔が在った。

 俺は屋根から飛び降り、その少女の名前を呼ぶ。


「リエルさん!!」

「! ヒシさん、どうしたの!?」

「ノイク君が行方不明です!捜索を!」


 即座に顔色を変えた彼女は、一度力強く頷いた。

 それ以上の説明は要らないようだ。…頼って正解だ。

 俺は近くの家の屋根へと駆け登り、捜索を再開した。

 下と上、二方向からアプローチを掛ければ見つかる可能性は上がるだろう。


「……どうか、無事で……」


 生存を祈って、俺はひたすら屋根を駆け続けた。

 『光』で夜闇を照らしながら、流星の如きスピードで。


 西門が突破されたという知らせから十分は経っていた。

 化物の気配はメーセナリア全体に散らばり始めている。

 それは、人類の安全地帯が侵されているという何よりの証拠だった。


「居た!!!」


 その時、家下から少女の声が響いた。

 俺は屋根から滑り落ちるようにして地上へ降りた。

 …リエルが泣きじゃくる茶髪の少年を抱きかかえている。


「ノイク君で間違いないですか!」

「うん!怪我もしてない!」

「ここはもう危険です、すぐに避難を――」


 そう言い掛けた時。…突如、夜空に悲鳴が鳴り響いた。

 その悲鳴のすぐ近くに、化物の妖力の気配が()()

 悲鳴は女性の物だった。恐らく逃げ遅れた一般人だ。


「俺が行きます! ノイク君をお願いします!!」


 返事も待たずに、俺は悲鳴の元へ走り出した。

 場所は大通りから離れた、少し広めの裏道。


『『 …GYAA…, 』』

「―――――っ!!!!」


 そこへ飛び出すと、真っ先に二匹の化物が目に入った。

 今まさに、怯える親子に鋭い爪が刺さろうとしている所。

 後数秒遅れていれば、二つの生命が消失していただろう。

 …だがそうはならなかった。俺の剣は間に合ったから。


「―――んっ…!」


 俺は勢いを殺さずに、爬竜(リザード)へ飛び掛かった。

 手には爺ちゃんから貰った片手剣。放つ妖術は…『光』。


『 …GYAA…? ……GYUUU……, 』


 瞬時に危険を察知した爬竜(リザード)はそれを回避。

 俺はそれを見送ってもう一体にも斬りかかってみるが、危うげも無く躱された。


「…この二人から離れろ。」

『『 GYUU……!! 』』


 俺は親子を庇うように二体の化物の前に立ちはだかった。

 狩りの邪魔をされた爬竜(リザード)威嚇(いかく)するような唸り声を上げている。

 …されど、暫くは睨み合いが続きそうな雰囲気だった。

 ならば好都合。無力な住民を逃がせるだけの時間はある。


 化物共から意識を切らないようにしながら

 避難を促す為、俺は背中越しに親子の様子を伺う。


「お母さん、立てる…?」

「杖が、…。」


 母親らしき女性が震える手で少し遠くの地面を指差した。

 爬竜(リザード)達の足元には半分に折れた杖が落ちている。

 どうやら母親の方は足腰がかなり弱いらしい。

 杖無しで立てない程だ、走って逃げるのは難しいだろう。


「俺が時間を稼ぐので、どうかその間に…、」


 俺がそう言いかけると、戦況に細やかな変化があった。

 爬竜(リザード)は親子を挟み込むように陣形を変えたのだ。

 『逃がさない』ということだろう、退路は断たれた。

 これでもう、親子が戦線を離脱する方法は消え失せた。


 ……討つしかない。


「すぐ倒すから、待っててね。」

「――うん!」


 そう返事をした少女の手は、依然小刻みに震えていた。


 生死の境目、怖くない訳が無い。

 今俺に出来るのは、その恐怖を取り除くこと。


 一体二の戦闘、おまけに守るものまで付いている。

 勝てるかではない、勝たないといけないんだ。

 負ければこの親子を殺すことになる。



『 GYAAA!! 』



 爬竜(リザード)の初撃を合図に、戦闘が始まる。




 ---




 幼い少年を抱きかかえて、戦闘音が鳴り響く街を走る。

 私の腕の中で、ノイクは今も泣きべそをかいている。

 それはそうだ、彼にとってこれは未知の恐怖なのだから。

 彼だけではない、この街の住民の半数以上はそうだろう。

 突然の襲撃に、底知れぬ不安を憶える者が大半だろう。

 それは去年游蕩士に成ったばかりの私も例外ではない。


「もう着くからね!」


 私はノイクの背中を摩りながらそう慰めた。

 私がしてあげられることなんてこのくらいしか無い。

 だから、その一握りのことを精一杯してあげよう。


 ……ヒシさんは、無事だろうか。

 心の中で(つか)えになっているのはそのことだ。

 あの時、「私も行く」と言えたらどれだけ良かったか。

 彼の横に並んで戦えていたらどれだけ良かったか。


「リエルちゃん!」

「院長さん、ノイクくんは無事でした!」

「あぁ、本当に良かった!」


 ノイクは、院長さんの姿を見た瞬間私の元を離れた。

 涙と鼻水を垂らしながら院長さんに抱きつくノイク。

 それを見て、ようやく私も肩の荷が下りた気分だ。

 これで私の仕事は終わった、すぐに彼のとこに――、


「あ!テロスさん!」

「…! リエルか、」


 テロスが二組の親子を引き連れて北門へとやってきた。


「怪我は…見た感じ大丈夫そうか。」

「無いです!そんなことより、ヒシさんが!」

「! 何があった?」


 私はテロスさんに状況を簡潔に説明した。

 彼はそれを静かに聞き届けると、的確な指示を飛ばす。


「あいつのとこには俺が助けに行く!

 リエルは街民の護衛を頼みたい! 行けるか?」

「…、了解です!」


 テロスは近くに居た防衛士と共に走り去っていった。

 預かった任務は『ヤハナシ村まで街民を護送すること』。

 恐らく、往復で数時間は要する任務だ。

 …行って帰ってくる頃には戦闘は終わっているだろう。

 院長さんが、私の顔を心配そうに覗き見てくる。


「…リエルちゃん? 大丈夫かい?」

「…うん、ごめんなさい。――みんな、付いて来て!」


 ……余計なことは考えるな。やるべきことをやろう。




 ---




「ザウロスさん!貴方も早くお逃げください!」

「儂のことは気にせんでええ。民の避難を急げ。」

「っ、はい!」


 若い防衛士が十余名の街民を連れて街の外へ出て行った。

 それを見送った老人は、再び暗い街の中へと目を向けた。


 化物は続々と街の内部へと侵入してきている。

 老人も全身を以てその気配を強く感じていることだろう。


「守り切れよ、テロス。」


 彼は己の大切な息子を思い浮かべながらそう口にした。

 老人がその青年に逢ったのは、今から二十年も前の話。

 その時の青年は哀れな被害者だったが、今はもう違う。


 彼は護る側の人間として、前線に立っているのだから。


 最早老いぼれに出来ることなど無い。

 心中で思いを馳せながら、老人は固く眼を閉ざした。


『 GYAAAA……!!!! 』


 ――ふいに、周囲で悲鳴が巻き起こった。

 見ると、一体の爬竜(リザード)が老人に向かって来ている。

 後ろから数人の防衛士が追いかけているが、あれでは間に合わないだろう。


「皆さん!! お逃げください!!!」


 その中の一人が必死の形相でそう叫んだ。

 先程、最後の防衛士が護送の為にこの街を離れた為

 現在、この北門付近に防衛士は一人として存在しない。


 爬竜(リザード)は、絶好の餌場に目を付けたのだろう。


 だが、老人の視線はその化物に向けられていない。

 彼が見ているのは、まだ十歳にも満たない子供達だ。


「…ぉ、おねぇちゃん……」

「……っ…だいじょうぶ、だからね。」


 …一人の少女が、己よりも更に幼い少年を抱きしめた。

 会話の内容から、二人は姉弟だということが窺える。


 ――それは、あまりにもか弱い抱擁だった。


 震えの止まらぬ手で、消え入るような声で。

 それでも、自分よりも小さな存在だけは守り抜こうと。


 …幼き少女の、無謀とも呼べる行動。

 そんなもので爬竜(リザード)の蹂躙を止められる訳が無いというのに。



「お嬢ちゃん、危険だから離れてなさい。」



 ――だからこそ、老人が動いた。


 その勇気ある行動を称えるように。


 その決死の行動を無駄にしない為に。


 老人は、手に持つ杖から刀を引き出した。


 丁寧に手入れされていることが分かる細身の美しい刀。


 誇りとして、戒めとして、強く握り締めていた長い刀。


 その刀に濃密な『水』の妖力が流し込まれていく――。


『 GGYYYAAAA!!!! 』

「―――――。」


 次第に『水』の妖力は透き通った雫へと姿を変えた。


 切先から(したた)る露は宝石の如く輝き、


 やがて、刃先に薄く滑らかな水の膜が張られた。


『 GGGGYYYYYAAAAAA!!!!! 』

「―――――――。」


 一連の流れを見ても、化物は躊躇(ちゅうちょ)することなく突き進む。


 奴にとってここで退却することは無駄でしかないからだ。


 爬竜(リザード)は全力で、刀を構える老人の首元に飛びつき…




「――《時雨(しぐれ)》」




 …体を真っ二つに切り裂かれ、絶命した。


 運が無かった、そう表すしかない。

 普通ならば、力無き人間を喰らい尽せていた場面だろう。


 そこに居たのが()()()()()()でなければ。


「……嫌な流れだのう…。」


 ザウロスは夜空に浮かぶ月を眺めながらそう呟いた。




 ---




   同時刻、南門。


   褐礫(あかれき) リーダー、ベイド

   紺糸(こんいと) リーダー、ロット

   卯杖(うづえ) リーダー、シロン


   三名共に、()()()()()()()


   死者・重傷者、()()


   ()()()()()()()()()()()




 ---




『『 GUULRYUUU…, 』』

「しぶといんだよ…!」


 爬竜(リザード)は再度攻撃を仕掛けてきた。

 足を狙った尻尾での薙ぎ払い、食らえば足の骨は即座に砕かれるだろう。


「……危なっ…、―――!!!!!」


 それを躱した先に待ち構えていたのは、もう一匹の尻尾。

 ――俺の頭を直接狙った、一撃必殺の振り落とし攻撃。

 俺は既の所で剣を翳し、勢いを受け流すことに成功した。


『 GUUURRYYAA…!! 』


 が、すかさずもう一匹の尻尾が差し込まれた。

 その攻撃の狙いは俺の右手、鋭い片手剣にあるようだ。

 これさえ封じれば、俺に抵抗手段が無いと見ての行動か。

 的確に相手の弱点を突く動きだ、やはりこの化物は賢い。


「………、………。」


 その事実を脳内で纏め、俺は咄嗟の判断で()()()()()()


『 …GYUUU……!!! 』

「……よし……。」


 鞭のような尾が眼前を通り過ぎるのを待ってから

 空中に置き去りにした剣をしっかり掴み直し、…反撃。


 俺は剣先を真下に向け、間髪入れずに振り下ろした。

 狙いは爬竜(リザード)の堅い背中。突き立てるように…


『 ――GYYRLLAAA!!!! 』

「……!!!! …厄介な…、」


 …その時、背後から別の尾が迫ってきた。

 その鋭い尻尾は、俺に戦線の離脱を強制してくる。

 従うのは癪だが、そうしなければ死ぬのは俺だ。


「………リセットかよ。」


 俺の退却と同時、化物共も安全圏へと下がって行った。

 こいつらは不利な流れを断ち切る判断が絶妙に巧い。

 戦場が良く見えている。…厄介この上ない化物だ。


『『 GUULRYUAA…!! 』』


 爬竜(リザード)による尾を振り回しての威嚇行為。

 だが、奴らの尻尾が持つ切れ味は本物だ。

 俺から軽率に飛び込むのは自殺行為以外の何物でも無い。


 戦いは再び束の間の睨み合いへと移っていく。



 ◇



 戦況は十数分前から変わっていない。

 二体の化物は狡猾で、賢明で、強靭だ。

 おまけに、数の利という自分達の優位性を理解している。


 こいつらは常にお互いを庇い合うように立ち回っていた。


 片方が隙を見せれば片方が立て直しの時間を稼ぎ

 自分達が少しでも不利になったと感じれば距離を取る。

 実に合理的な作戦だ。敵ながらその連携は称賛に値する。


 俺が無暗に距離を詰められないということも大きい。

 俺が一体の爬竜(リザード)を少しでも深追おうものなら

 もう片方が震える親子の首を即座に刈り取るだろう。


 この睨み合いの距離感も俺の有効射程を知ってのことだ。

 このまま俺の消耗を待てば、こいつらに負けの芽は無い。


 逆に言えば、きっかけを作らぬ限り俺に勝ちの芽は無い。

 何か一つ、小さな契機を。―――アレを試す価値はある。


『『 GUULRRRYUAA…!! 』』

「………、………っっ…。」


 再び爬竜(リザード)による猛攻が始まった。

 相変わらずの堅実な戦闘方式。付け入る隙が少ない。


 …けど大丈夫、避け切れない速さではない。

 タイミングを図れ。相手をよく視ろ。機会は来る。

 その為に必要なのは、奴ら二匹の位置関係と()()()


『 GUUULLLRRAAAA!!!!! 』

「……、………。」


 俺の眼を狙った爬竜(リザード)の攻撃が空を切った。

 鳴り響いたのは鋭い風切り音。…そろそろ見慣れたな。


 俺は威嚇し返すように、剣を高く振り翳してみた。

 妖力も籠っていない、形だけの弱々しい予備動作。

 しかし奴は危機を感じた様子で素早く一時退却を選んだ。

 それに合わせてもう一体の爬竜(リザード)も後ろへ退いて行く。


「……やっぱりだ。」


 こいつらには"性格"がある。

 小さけれど、明確な性格の違い。…利用しない手は無い。


 俺はチラリと後ろを振り返り、親子に声を掛ける。


「…少し、眩しくなります。」


 それを聞いた彼女らはギュッと目を瞑った。

 盤面はこれで揃った。後は、俺の実力次第だ。


『 …GYUUU……, 』

「………っ……。」


 俺は、懐から取り出した小さな妖石を

 人間を注視する片方の爬竜(リザード)に向かって投げつけた。

 …俺も目を瞑り、意識を集中させ、…妖術を発動させる。


 ――その妖石は奴の頭部にぶつかる寸前で()()()()()()


『 GYUUAE!? 』


 驚嘆の声を出して"臆病"な爬竜(リザード)は更に距離をとった。


 それを確認し、俺は距離を詰める()()をして見せた。


 …すかさず"豪胆"な爬竜(リザード)が庇うように立ち塞がる。


『 GYYUURRAAA…!!!! 』

「――読み通り…!」


 "臆病"な爬竜(リザード)なら後退するだろうという博打。

 "豪胆"な爬竜(リザード)なら前に出るだろうという博打。


 今この瞬間、その両方が的中した。


 ――結果的に生み出されたのは、一騎打ちの状況。


 先の閃光、あれを食らえば数十秒は視界が戻らない。

 "豪胆"な爬竜(リザード)が単身で挑む数十秒だ。

 邪魔な横槍も,無用な介入も、差し込まれる心配は無い。

 俺にすれば千載一遇の好機。ここで仕留めるしかない。


『 GGYYYAAAAA!!!! 』


 大きく振られた尻尾を躱し、俺は剣を振り下ろした。

 横に逃げた爬竜(リザード)をすかさず追撃。

 俺の斬撃を弾こうと、爬竜(リザード)の尻尾が振られた。

 俺はその軌道をしっかりと目で捉え、剣の角度を変え、


 ――奴の硬い尻尾を、半分にぶった切った。


『 !!!?? ,GUAAAA!!! 』


 爬竜(リザード)は激しい叫声を上げて体当たりをしてきた。

 硬く鋭い鱗が突き刺さり、俺の皮膚が大きく抉られる。

 皮膚から赤い鮮血が飛び散り、爬竜(リザード)の鱗を染めた。

 しかし、自身の身体が汚れようとも奴は攻撃を止めない。


『 GGGGYYYYRRRRLLAAAA!!!!!! 』

「……痛……、………っ……、」


 俺は親子が座り込んでいるすぐ横の壁にまで押し込まれ

 一切の身動きを取ることが出来なくなってしまった。

 剣を持っている右手も、ガッシリと抑え込まれている。


『 GAA… 』

「…おにい、ちゃん…。」


 左斜め下から、恐怖に震える少女の声が聞こえた。


 俺を押さえつけながら怒気の篭った声を上げる爬竜(リザード)

 切断された奴の尻尾は、もう再生が始まっていた。

 再生が完了すれば、真っ先に俺を殺すだろう。

 その後は、怯える親子を丁寧に斬り殺すのだろう。

 そうして、新たな獲物を求めて街を闊歩するはずだ。


 ―――それも全て、"尻尾が元に戻れば"の話。



「…これで、終わり。」



 俺は左手の袖から、特殊加工された妖石を取り出した。

 華やかさの欠片も無い、古臭さすら感じさせる暗器だ。

 裁縫に用いる手縫い針を十数倍に拡大したような()()

 鋭く尖った先端部分、…生物の殺害に特化していた。

 ノールに特注し、俺専用に作ってもらった武器だった。


『 …GYUUEE…?? 』

「………、…っ………。」


 ――俺は、針の先端で爬竜(リザード)の喉元を()()()


 しばらくして、そいつは力無く地面に崩れ落ちた。

 それは、あまりに静かで、呆気(あっけ)の無い最期。


 …奴の死体の横に深緑の妖石が出現した。


『 ……GYUEAA…? 』


 視力が回復した"臆病"な爬竜(リザード)

 同胞の変わり果てた姿を見て何を思ったのだろうか。

 自分を庇って死んだ仲間の姿から、何を感じたのか。


「……集中しろ。」


 思考を無理矢理断ち切る。

 そんなことを考えたとて、体が鈍るだけだから。


 これは殺し合い。相手は、感情の無い化物。

 それで良いだろ。何も考えるな。心を捨てろ。


『 GYYAEEEAAAAAA!!!!! 』


 そいつは目を赤く染め、空に向かって叫び声をあげた。

 傍らの親子の体がビクりと震えたのが確認できた。


「大丈夫です、すぐに終わらせま――」



 そう言って親子の居る方へ視線をずらしたとき

 俺が立っている場所の、斜め後ろの家が吹き飛んだ。

 比喩表現ではない、一瞬にして倒壊したというだけだ。



 土埃が舞うその場所から現れたのは、()だった。

 漆黒の鱗で月光を飲み込み、歪んだ口元で全てを嘲り。

 鋭い鉤爪と大きな翼を携えたそいつは、手を振り上げ…



「―――は?」



 なんで、こいつが、ここにいるんだよ。

 ベイドとか、ロットとかが、足止めしてたはずだろ。

 そいつらのことをどうしてきたんだよ。



 なぁ、答えろよ、聞こえてんのかよ、…龍人(スケイル)



 弱者の問い掛けに、その幻妖が答えるはずも無く。



 ―――俺は、一突きで、()()()()()()()




 ---




 目を覚ますと、凄惨(せいさん)な現場が広がっていた。

 地面に横たわって動かない者が多数存在している。

 知らぬ者では無い。酒を酌み交わした友も混ざっている。

 俺が数年前に褐礫(あかれき)へ勧誘した才能ある人材も、

 紺糸(こんいと)の期待の新人だって游蕩士内で噂されてた奴も、

 卯杖(うづえ)のベテラン游蕩士も、気の良い中年の防衛士も…


 体を動かそうとすると、激しい痛みが走った。

 痛みは危険信号だ、脳がそれ以上は無理だと叫んでいる。

 ――ここが限界か? …ふざけんじゃねぇぞ。


 少し遠くの方で未だ激しい戦闘音が鳴り響いていた。

 まだ動ける者が爬竜(リザード)の大群と戦っているらしい。

 現防衛団団長『シュック』や、褐礫(あかれき)の『フヅキ』

 紺糸(こんいと)サブリーダー『ミドル』等を指揮官とし、奮闘中だ。


 こちらの軍勢は十五名程度、対する化物は二十五体以上。

 化物側には三尾を持つ準幻妖級の爬竜(リザード)が未だ健在だ。

 人間側は相当な苦戦を強いられているように見える。

 …それでも、彼らはなんとか持ちこたえていた。

 指揮官を務める三人の優秀さがあってこその粘りだろう。


「――クソが。…持ち堪えてんのが()()なんだよ…!」


 現在の戦況が示す事実はただ一つ。

 ――龍人(スケイル)が、今この場に()()()ということ。


 俺達を瞬く間に降したアイツが此処に居れば

 十五人程度の人間など速攻蹴散らされているはずだ。

 小蟻を踏み潰すかの如く叩きのめされてるはずだ。

 嵐の如き苛烈さを以て既に蹂躙が完了しているはずだ。


 奴がどこに行ったのか?考えるまでも無い。街の中だ。

 未だ多数の街民が残っているはずのメーセナリア内部だ。

 遭遇した住民は、知覚すら追いつかぬまま死ぬのだろう。

 心臓を一突きされただけで、その生命を散らすのだろう。

 小枝を割る程度の微少な力で、四肢を捥がれるのだろう。

 …或いは、この妄想が既に現実と成っている可能性すら…


「なぁ、教えろよ。」


 その結果が訪れるのは、誰の所為だ?


 この悲惨な光景は、誰の所為だ?


 あの鳴り止まぬ悲鳴は、誰の所為だ?



「…全部テメェらの所為だ、化物共…!!!!」



 俺の擦り切れるような声は、残響の後虚空へ消え失せた。

 この怒りは奴らに届いたか。この嘆きは受け取られたか。

 俺が継いだ誓いを、果たしてこの星の主は聞き入れたか。


 …いいや、必要無ぇ。お前らは俺に寄り添うな。



 纏めて、ぶっ壊してやるから、そこで待ってやがれ。



「…………ん…………。」


 街の外壁近くで、小柄な少年が立ち上がったのが見えた。

 彼は龍人(スケイル)の蹴りをモロに食らい

 数秒宙を舞い、数十メートル後方へ吹き飛ばされた後

 この世で最も頑丈な石の壁に叩きつけられていたはずだ。

 現在の彼は、立ち上がることすら困難な容態だろう。


「…………ふぅ……。」


 遠くの方で、頭から血を流している女性が目覚めた。

 彼女は龍人(スケイル)の拳を腹に叩き込まれ

 地面を大きく抉るようにして殴り飛ばされていたはずだ。

 常人なら、即死していてもおかしくはなかっただろう。


「「 …………。 」」


 彼らは自身の短剣,愛刀を手に持って

 血を垂らしながらフラフラと街の中へと歩いていく。

 今にも倒れそうな足取りで、今にも死にそうな外傷で。

 ――"目"だけは、狩人のようにギラつかせながら。


「………スゥ……。」


 どうするべきかなど決まっている。

 負けるつもりで挑む勝負など無い。

 自分のミスは、自分の敗北は、自分で取り戻せ。

 生き残っているのは幸運だ。だが、次は無い。

 次負ければ、愛する妻を死なせることになる。

 愛する子供を、この瞳で拝むことが出来なくなる。


「「「 ……………。 」」」


 俺は大剣をしっかりと握りなおし、立ち上がった。

 既に歩き出していた二人の横に並び、再び戦場へ……



「――勝つぞ。」

「当然だ。」

「あたりまえ。」



 敗北は許されない。




 ---




 嫌な予感がした。

 壁の外にあったはずの巨大な気配が、

 ズルりと街に入り込んで来たのを感じた。

 その気配がある地点に向かっていると気づいた。

 間にある家屋を全て薙ぎ払って、一直線に。


 俺が目指す場所には、化物の気配が二つあったはずだ。

 それと、人間の気配が三つ。…内一つはヒシの物だった。

 残る人間の気配二つは非常に微弱。恐らく一般人だろう。

 この情報だけで、ヒシに課せられた責務の重さが分かる。


 俺が向かっている途中で、化物の気配が一つに減少した。

 ヒシが勝利を収めたということだろう。立派な戦果だ。

 兄として、誇らしい限りだ。ヒシは既に相当強い。

 彼に少し猶予が在れば、残る化物も仕留めていただろう。


 だが、その未来が訪れることは無かった。

 巨大な気配が彼の場所へと辿り着いてしまったから。

 余りにも強大な災厄が、彼に降りかかってしまったから。


 鈍間(のろま)な俺が辿り着いたのはその数秒後。

 …俺が視たのは、鋭い鱗を自慢気に晒したソイツの姿だ。


 身の毛がよだつような気色の悪い唸り声を上げるソイツ。

 嫉妬心を抱いてしまう程引き締まった肉体を持つソイツ。

 "幻妖","最強"などと持て囃されて来たであろうソイツ。

 ()()()()()()()()()()を俺に見せつけて来たソイツ。


 ソイツの足元には、俺の愛弟が転がっていた。

 弟は虚ろな目をしていて、胸元はポッカリと空いていて。

 彼の美しい金色の瞳からは徐々に『光』が失われていく。

 まるで、『彼』が彼の中から居なくなるかのように。

 ただの血に染まった抜け殻になってしまったかのように。



「人の弟に、何してんだぁああああああああッ!!」



 俺は龍人(スケイル)に向かって全力で走った。

 持て余していた元気を大地に放出し、飛ぶように駆けた。


『 …GYAA, GYRAAA…!!!!!! 』


 すると、間に割って入ってきたのは一匹の爬竜(リザード)

 ヒシと戦っていた個体だろう。その顔は少し湿っている。

 俺は赤銅色に輝かせた大剣を天に掲げ…


「どけ!!!!」


 …目の前の障壁に対し、力任せに振り下ろした。

 対象となった化物の体は血を撒き散らしながら弾け飛ぶ。


 その様子に目もくれず、俺は再び『力』を込め直す。

 一秒も経たないうちに靴に溜まった妖力を妖術に変換。

 俺は爆発的な加速で龍人(スケイル)に正面から迫った。

 即座に剣の妖力も妖術に変換。イメージは――



「ぶっ飛ばす……!!!」



 ――憤怒も鬱憤も激昂も哀情も…全てを力に換えて。

 俺は筋肉が張り裂けんばかりの勢いで剣を振り下ろした。


『 GAAA, 』


 大剣を己の太い前腕部で受け止めた龍人(スケイル)

 陳腐で弱々しい斬撃、奴は呆れたような溜息を吐いた。

 奴が見せた小さな油断。――瞬間、俺の妖術が発動し…


「…ハッ!!!!」


 漆黒の巨体が、空高くへと勢い良く吹き飛んだ。

 しかし落下の瞬間、龍人(スケイル)は身を翻して足から着地。

 奴は遠くから俺のことを睨んだ。…明確な敵意と共に。

 遂に慢心を消した悪の化身。――状況は悪化したらしい。

 先の攻撃でダメージはほとんど受けていないようだった。


 ――それを見て、俺は防衛士としての覚悟を決めた。


「マネド!! 彼女達を逃がせ!!」


 連れて来た防衛士の男に指示を飛ばす。

 彼はその指示を聞くより早くに行動を始めており

 訓練通りの素早い動きで足腰の弱い女性を背に担ぐと

 幼い少女の手を引いてその場を足早に去っていった。


 …これで、一先ずの懸念は消えた。


『 GAAA!! 』

「――っ!!」


 俺は地面を強く蹴り、体を斜め後ろへと逃がした。

 直後、轟音と共に斬れるような風圧が俺の半身を掠めた。

 俺が先程まで立っていた場所にクレーターが出来ている。


『 …GGULLAAA…? 』


 それを作り出した張本人である龍人(スケイル)

 巻き上がった煙の中、ゆらりと俺の方を向いた気がした。


 直後、舞う土埃の中から奴の黒色の太い足が突き出る。

 避けられないと判断した俺は、大剣を盾にし受け止めた。

 金属同士がぶつかり合ったかの如き甲高い音。

 どうやら、奴の黒光りする鱗は飾りでは無いらしい。


「……!!!??」


 表せぬ危険を感じ、俺は上半身を反らせた。

 目で追えぬ速度で目の前スレスレを通り過ぎたのは()

 まさか拳が空を切ったとは思えぬ轟音が夜空に響いた。


『 …GGAAUUU…. 』


 龍人(スケイル)が体勢を立て直しを試みた。

 ――その数瞬の隙を見逃さず、俺はようやく反撃に移る。


 地面を蹴る瞬間、左足に込めた『力』を解放し

 龍人(スケイル)に接近出来るだけの推進力を獲得した。

 その勢いを乗せた右足を龍人(スケイル)に触れさせる。


「――フッ!!!」


 蹴り飛ばす瞬間、右足の妖術も発動。

 既に壮絶な勢いを持つ脚に、更に『力』を上乗せした。

 妖術の重ね掛け、掛かる重圧は想像を絶するだろう。

 俺の全力。…石をも穿つ一撃、天をも貫く一振りだ。


『 ………!!!! 』


 それは見事に龍人(スケイル)の腹部に直撃し

 奴の重たい身体は、再び後方へと大きく吹き飛んだ。


 確実に弱点を撃ったのだ。芯を捉えた感触があった。

 奴には防御の様子も見られなかった、流石に無傷では――



『 GUAAUUU…, 』


「…バカげてるだろ。」



 龍人(スケイル)は、変わらない余裕の表情で立っていた。

 己に楯突く下等生物を、遥か上空から見下すかのように。


 …もう一つ、驚くべき事実がある。

 こいつは今の所、純粋な身体能力のみで戦っている。

 つまり、だ。――こいつは未だ、()()を使っていない。



「怪物がよ!!!」



 メーセナリアで行われる幻妖と人間の、一騎打ち。


 誰が仕組んだ悪戯か。必然の巡り合わせだったのか。


 それは奇しくも、二十年前のあの日と酷似していた。




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