4、お互い様じゃん?
お待たせしました!
ウィッグをつけて帽子を深く被り、メイド服を着た私の姿を見てみる。
うん!我ながらこれはどうかと思う!
まず、メイド服に帽子は似合わん!
どっちも質がいいのは確かだ。
しかし!
破ってはいけない暗黙の了解を知らずに破ったような、なんとも言えないバランスなのだ。
次に!
なんか知らんが、お嬢様オーラがぷんぷんしていることだ!
ほら、よくいるお忍びで街に行くお嬢様?みたいな、「あいつって、貴族っぽいよな」オーラが消えてないのだ。
おまけに、アンバランスとはいえ質の良すぎる服を着ていることから、貴族さをより際立たせている。
いや別に貴族じゃないし。
だけど、これはダメだ。
バレる、間違いなく。
多分私を攫ってきた人たちに。
けど、これ以上地味な服が見つからないのだ。
それに、なんかあった時にお金になりそうだし!
そう考えたら、この中から一つや二つ頂戴してきた方がいいのかな?
……………………ハッ!いけない。
危ない危ない。
こっちが泥棒になるところだった。
まぁ、この服着て逃げようとしている時点で立派な泥棒なんだけど…
それは、まぁ、お互い様でしょ?
なんなら、手術失敗されてるし、あっち側の方が悪いよね?
でも、下手なことして、訴えた時に「あいつは服を盗んで逃げました!」とか、言い返されたら洒落にならん。
最悪、両方仲良く捕まる。
なら、「逃げる用の服を使っただけで〜す!私悪くありませ〜ん!」
って、言えた方が良さげかも。
よし、決めた!
これで逃げる!
んで、訴えて勝〜つ!
そして、パン屋さんになって幸せになるんだ!